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ジョージ・オーウェル 著 『動物農場 おとぎばなし』

文学部 3年生 匿名希望さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名: 動物農場 おとぎばなし
著者:ジョージ・オーウェル
出版社:岩波書店
出版年:2009年

今、激動するこの時代におけるフィクションの存在意義とは何か。京都では35人の若者が凄惨な事件で未来を奪われた。香港も日韓関係も混沌としている。一見フィクションなど読んでる場合ではないと思われるかもしれない。しかし、このような社会だからこそ実はフィクションに存在意義がある。そしてそれを代表するのがこのディストピア小説である。

   トランプ大統領が誕生した際、ジョージ・オーウェルの代表作『1984』は非常に注目を集めた。しかし彼のもう一つの名作であるこの『動物農場』はご存知だろうか。農場主である人間を追い出した動物たちの政治の話である。はじめは民主政治が行われていたにも関わらずいつの間にか、ある豚によって独裁制が始まるのだ。この作品の顕著な点は動物全員の合意によって作られたはずの「七戒」がいつの間にか独裁豚によって改竄されている点だろう。詳しくは英語の原文を読めばいかに都合よく改竄されているか分かって頂けるはずだ。ここでの批判対象が全体主義的な共産主義であるのは言うまでもないが、もう一つ重要な点は、権力に対して国民が思考停止していることである。豚以外の動物たちは七戒の改竄や歪曲、独裁に漠然とした違和感は抱くものの誰も指摘ができない。これは全体主義社会に生きる市民への風刺であり、警告である。著者が懸念した最大の点はこの「国民の沈黙」だったのではないか。

   しかし、この現象は現代にも見受けられる。民主主義国家であるはずの日本人の多くが沈黙を貫いている。今回の参議院選での投票率は過去最低を更新した。これでは動物農場の動物たちと変わらないのではないか。だからこそ今読んで頂きたい。『動物農場』は中学生を対象年齢とした寓話調であるため原文でも非常に読みやすく、誰でも理解しやすい。あえて寓話としているのは、フィクションというものが現実とかけ離れた架空の世界のことではなく、我々に降りかかる可能性のある危険を孕んだ、極めて現実的な側面を持つことを皮肉的に示唆しているためなのではないか。夢と希望に溢れるお伽話の世界は現実には存在しない。かといってフィクションは現実逃避するためにあるのでもない。むしろあえて、今後の社会で起きても不思議ではない側面を誰の目にもはっきりと見せることは、想像力に訴えるフィクションにしか果たせない役割なのではないか。是非一度『動物農場』を手に取って頂きたい。

 

辻 邦生 著 『夏の海の色』

文学部 2年生 匿名希望さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名: 夏の海の色
著者:辻 邦生
出版社:中央公論社
出版年:1977年

あなたにとって、思い浮かぶような夏の思い出は何だろうか。夏はきっと思い出くらいがちょうどよいと思う。私にとってこの作品を手に取るきっかけとなったのは、高校三年生の頃に解いた国語の問題で、本文として表題である短編の「夏の海の色」を読み、惹かれたからである。

それくらい、美しい文章だった。改めて読み返してもそう思えるように、この中には夏の憧憬が広がっている。この本は辻邦生による「ある生涯の七つの場所」という連作短編集の二作目に当たり、フランス人女性と私の緩やかな愛の生活と、少年や青年とその周りに描かれる魅力的な人々との関係や恋愛についての合計14の物語が交互に描かれている。これは、一作目である「霧の聖マリ」から引き続き「黄いろい場所からの挿話」と「赤い場所からの挿話」が交互に語られている。これは、七冊からなる物語が平行に描かれているためであるが、この作品だけでも読み味わうことができるようになっている。

古い城下町である。城跡、石垣、夏の昼下がり、濃く影を落とす公園に、木陰で昼寝をする行商人。表題作で描かれるのは、そんな景色が広がる夏の物語だ。第三希望の中学校に進学が決まった少年は、叔母の妹である咲耶の紹介で、彼女の住む街で過ごす夏の日々の中、地元の中学校の剣道部の練習に参加することになる。海辺の街で行われる合宿に参加することになった際、咲耶は「私」に、絶対に海で泳がないようにと約束させるのであった。わけも説明しない彼女との約束を合宿が終わるまで守り続けた「私」は、二人で船に乗り沖合の赤いブイの近くにたどり着いたとき、その悲しい理由を知ることになる。

咲耶に抱く少年の淡い恋心と、彼女の抱える秘密が、美しい城下町の描写と夏の匂いに溶け込んで、少年の一夏の思い出と心の成長が淡くシリアスに紡がれている。

この本の中では、このような夏の物語が他にも収録されている。自分の中にある夏の思い出を思い返すように、少し感傷的な心で読み進めて欲しい。もうすぐ秋になる、そんな夏の終わりや初秋に浸って欲しい。あなたの夏の海の色に向けて。

2019年度 第2回ブックハンティングツアーを行いました!

2019年8月1日(木)、丸善&ジュンク堂書店 三宮駅前店及び三宮店において、学生と図書館職員によりブックハンティングツアーを行いました。当日は、図書館に置きたい本を書棚から選び、ハンディーターミナルを使って裏表紙に記載されたISBN(バーコード)をスキャンして選書を行いました。

今回は7名と多数の学生にご参加いただきました! 次回は10月に実施を予定していますので、希望される方は参加してみてください。

参加された学生さんの感想です

**文学部 濱野 鈴花さん**
 図書館に入れたい本だけでなく、個人的に買いたくなるような本も見つけられて楽しかったです。
 2店舗回ったことで店ごとの本の配置などの差を感じられたのも面白かったです。

**文学部 畑田 亜美さん**
 私は今回初めてこの企画に参加しました。普段から書店に足を運びますが、文庫や特設コーナーしか見ないことが多いです。このような機会があることで、普段は見ることのないジャンルの本もゆっくりと見てまわることができました。特に自分の所属する学科に関係する書籍のコーナーは面白かったです。図書館で借りて読むのも良いですが、実際に書店で選ぶのも違った楽しみがありました。今回書店で気になった本の中で、図書館に所蔵されている本も多かったです。夏期休暇を利用して、これらの本をたくさん読もうと思います。そして、機会があればまた参加したいです。

**文学部 友江 輝人さん**
 今回初めて選書ツアーに参加しました。昼からの参加ということもあり時間こそ短かったものの、自分の興味が沸いた本を、誰かが手に取るかもしれないということを考えながら本棚に向き合う時間はとても楽しく、気づけばすぐに時間が経っていました。
 そうやって本棚に向き合う時間を過ごしていると、自分がこうやって本を選ぶということに純粋に時間を使えていたのは随分前になってしまったような気がしました。今では、本屋に直接足を運ばせることなく本を選び手に取ることができるので、その便利さにいつしか、新しい本に出会うということの大切さを何処かへ置いてきてしまったような気分になりました。それに気づくことができたのも、この選書ツアーに参加した大きな意味であると思いました。

**文学部生**
 学生の役に立つ本を選ぶのは、思っていたよりも大変で図書館での選書の苦労を知ることができた。また、既に所蔵されている本が予想外に多くて、既存の本と被らない選書をするのは難しかった。しかし、書店の現場に実際に立ち、大学に置く本を自分で選ぶというのは貴重な経験だった。
ライブラリーサーティフィケイト挑戦中の学生はもちろん、本に少しでも興味がある人はぜひ参加して欲しいです。

**文学部生**
 ブックハンティングツアーに初めて参加をさせていただきました。私は、午前のみの参加でしたが、大きな書店で2時間近く本を眺め、選書を行う機会は今までになく、とても楽しむことができました。また、改めて自分の好きな本のジャンルが分かったと思います。大学の図書館の中に入る本を選ぶということもあって、選書には時間がかかると思いましたが、50冊近くも選んでしまいました。そして、2時間という長い間、本を選ぶことができるのかなと思った部分はありましたが、選んでいたらあっという間に時間が過ぎていたことに驚きました。とても楽しい体験をブックハンティングツアーで送ることができました。また、機会があったら参加をさせて頂きたいです。

**文学部 金澤 舞奈さん**
 このツアーに参加できたのは、全くの偶然でした。今回は参加を希望する学生が多く、途中で募集は打ち切られました。そのとき、私はまだ参加希望の旨を伝えていませんでした。この場合、普通ならば参加の辞退があるのを待つか、参加自体を諦めるかでしょう。私は知人を介して職員の方に参加希望の旨が伝わり、半ば強引に参加枠に入れてもらったのです。
どうしてもツアーに参加したい。そう思ったのは、私がもう4年生だからです。学生生活はもう残り少ないものとなっています。まだ学生のうちに学生のために何ができるかと考えたとき、店頭選書ツアーを思い出しました。
次回の10月が、私にとってツアーに参加できる、最後のチャンスです。そのチャンスは逃さないようにしたいです。

**フロンティアサイエンス学部 岩田  和也さん**
 店頭選書を通じて、同じ分野を学ぶ人たちがどのような本を読めばよいか、また有用な知識を得ることができることができる本を探す難しさを学ぶことができました。特に、私は生物、化学を専門に勉強しているため、物理や知能情報関係の知識がまったくありませんでした。このため、物理学科や知能情報学部の知り合いに希望する参考書などを聞いてはいましたが、実際にその本を探すことがは困難を極めました。いくつかの参考書を手に取っては内容を詳しく読み、知的好奇心を満たすことができるか吟味し、私なりに最適な本を考えて選書しましたので、読んだ人が満足してもらえることを心から期待しています。

 

オープンキャンパス開催

 2019年8月4日、オープンキャンパスが実施されました。何千名も来場者があるこのイベント、図書館にも1000人を超える見学者が来場されました。
 3回実施された図書館見学ツアーにもたくさん集まってくださいました。写真はKONANライブラリサーティフィケイトにエントリーしている学生ボランティアによるツアーの様子。しっかり案内してくれてとても助かりました、ありがとうございました!
 本当に暑い中、たくさんのご来場ありがとうございました。
 なお、夏休み中の開館日は高校生の方も利用していただけますので、オープンキャンパス以外でも受験勉強などでぜひ利用してもらえればと思います。詳細は図書館HPをご覧ください。

『週刊読書人』に、マネジメント創造学部・小栗珠実さんの書評が掲載されました!

 マネジメント創造学部2年生、小栗珠実さん(KONAN ライブラリーサーティフィケイト2級保持者)の書評が、2019年6月14日発行の『週刊読書人』(第3293号)に掲載されました!
 小栗さんが取り上げたのは、司馬遼太郎の『燃えよ剣』。新撰組副長 土方歳三の生涯を描いた名作です。小栗さんの熱い書評は、週刊読書人ウェブからも読むことができます。
https://dokushojin.com/article.html?i=5544

燃えよ剣 司馬 遼太郎(著) - 新潮社
司馬遼太郎
燃えよ剣 上・下(新潮文庫)

甲南大学図書館の所蔵資料では、以下の本に収録されています。
司馬遼太郎著『燃えよ剣 ; 奇妙さ』(新潮現代文学46)
新潮社, 1979.5
所蔵場所:2階開架一般 918.6/46/298

『週刊読書人』は、書評専門の週刊新聞です。日々出版される数多くの本の中から、各分野のプロの読み手が選りすぐった本の書評が掲載されています。
書評キャンパス」は、大学生が投稿した書評が掲載される人気コーナーです。大学生なら誰でも投稿できるのですが、投稿された書評は週刊読書人の編集者の丁寧かつ厳しいご指導をクリアしなければ、紙面には掲載されません。とはいえ、プロの編集者に文章をみていただける貴重な機会です。挑戦してみたい方は図書館2階ヘルプデスクにご相談ください。

ライブラリサーティフィケイト学生企画『古典文学を知ろう!』を開催中!

 現在、図書館入館ゲート入ってすぐのところで、KONAN ライブラリ サーティフィケイトの1級要件である学生企画として、『古典文学を知ろう!』を開催中です。

 ほとんどの学生さんは普段あまり触れる機会のないであろう日本の説話集、「宇治拾遺物語」、「日本霊異記」、「今昔物語集」について、知能情報学部3年の藤澤さんが紹介してくれています。理系ならでは?の面白い視点でいくつかのお話しが紹介されていますので、ぜひ紹介パンフを手に取ってみてください。

 この企画は9月まで開催しておりますので、図書館にお立ち寄りの際はぜひ見てみてください。もちろん展示されている関連図書は貸出可能ですので、この夏休み、ちょっと古典に触れてみるというのはいかが?(夏休み特別貸出は7/25からです!)。

特設コーナー設置作業中