<教員自著紹介>
「台湾や韓国の経済発展は日本の植民地支配のおかげである」。この説明は、日本の植民地支配を正当化する際にしばしば持ち出されます。「支配によって発展できた」というのは絶望的ではありますが、本当にそうだったのかもしれません。どちらなのでしょう?本書は、日本植民地で最大の産業であった製糖業を事例に、日本植民地とアジア地域の相互連関の存在を証明することで、この問いに挑戦した研究書です。
■『砂糖の帝国 : 日本植民地とアジア市場』
■平井健介 東京大学出版会,2017年9月
■請求記号 588.1//2017
■配架場所 図書館1F 教員著作
■著者所属 経済学部 准教授
【平井先生おすすめの関連図書】
①日本の植民地支配の功罪を考えたい人に
マーク・ピーティー著 ; 浅野豊美訳『植民地 』読売新聞社、1996年
藤原辰史『稲の大東亜共栄圏」』吉川弘文館、2012年
②世界史において「砂糖」がもたらした影響について
シドニー・W・ミンツ著 ; 川北稔, 和田光弘訳『甘さと権力』平凡社、1988年
エリザベス・アボット著 ; 樋口幸子訳『砂糖の歴史』河出書房新社、2011年
【その他 平井先生の最近の執筆文献】
①平井健介(2015)「甘蔗作における「施肥の高度化」と殖産政策」須永徳武編著『植民地台湾の経済基盤と産業』日本経済評論社
②Hirai, Kensuke (2016), “the peasant’s dilemma: finance and fraud problems in purchasing fertilizer in Taiwan (1910-1930s),” in Sawai, Minoru (ed.), Economic Activities under the Japanese Colonial Empire (Monograph Series of the Socio-Economic History Society, Japan), Tokyo: Springer.
③Hirai, Kensuke (2017), “two paths toward raising quality: fertilizer use in rice and sugarcane in colonial Taiwan (1895-1945),” in Furuta, Kazuko and Grove, Linda (eds.), Imitation, Counterfeiting and the Quality of Goods in Modern Asian History, Tokyo: Springer.
④Hirai, Kensuke (2017), “assimilation and industrialization: the demand for soap in colonial Taiwan,” in Furuta, Kazuko and Grove, Linda (eds.), Imitation, Counterfeiting and the Quality of Goods in Modern Asian History, Tokyo: Springer.