月別アーカイブ: 2019年7月

『週刊読書人』に、マネジメント創造学部・小栗珠実さんの書評が掲載されました!

 マネジメント創造学部2年生、小栗珠実さん(KONAN ライブラリーサーティフィケイト2級保持者)の書評が、2019年6月14日発行の『週刊読書人』(第3293号)に掲載されました!
 小栗さんが取り上げたのは、司馬遼太郎の『燃えよ剣』。新撰組副長 土方歳三の生涯を描いた名作です。小栗さんの熱い書評は、週刊読書人ウェブからも読むことができます。
https://dokushojin.com/article.html?i=5544

燃えよ剣 司馬 遼太郎(著) - 新潮社
司馬遼太郎
燃えよ剣 上・下(新潮文庫)

甲南大学図書館の所蔵資料では、以下の本に収録されています。
司馬遼太郎著『燃えよ剣 ; 奇妙さ』(新潮現代文学46)
新潮社, 1979.5
所蔵場所:2階開架一般 918.6/46/298

『週刊読書人』は、書評専門の週刊新聞です。日々出版される数多くの本の中から、各分野のプロの読み手が選りすぐった本の書評が掲載されています。
書評キャンパス」は、大学生が投稿した書評が掲載される人気コーナーです。大学生なら誰でも投稿できるのですが、投稿された書評は週刊読書人の編集者の丁寧かつ厳しいご指導をクリアしなければ、紙面には掲載されません。とはいえ、プロの編集者に文章をみていただける貴重な機会です。挑戦してみたい方は図書館2階ヘルプデスクにご相談ください。

[藤棚ONLINE] 文学部・川口先生推薦本 『Re:ゼロから始める異世界生活』

図書館報『藤棚ONLINE』
川口茂雄 先生(文学部) 推薦

書名:Re:ゼロから始める異世界生活
著者:長月達平
出版社:KADOKAWA
出版年:2014年~

 情報とモノがあふれているウェブ以後時代、スマホ時代。どの商品を買えばいいのか、その商品にどういった価値があるのか、なかなかわからない、と感じる人が少なくない。口コミ、ユーザーレビューに頼るか? いやいや、ユーザーレビューなんて誰が書いているかもわかったものではない。では、なにか賞を受賞したモノなら良いモノだろうと判断するか?
 日本()の小説、特に芸術的に高い価値がある小説はどれだろうか。小説の価値の基準などというものは、他の芸術ジャンルでも同様だが、やはり単純に明確ではない。
 芥川賞を受賞している小説なら特に読む値打ちがありそう、だろうか。しかし、お笑い芸人のような人やテレビコメンテーターのような人が唐突に書いたものが候補作に選ばれたり、さらには受賞したりする様子を見て、この賞の価値を疑問視する見方が強まっていると言う人もいる。他方で、紙の本が売れなくなってきているスマホ時代にはそうした話題性も大事なのだ、大目に見てあげようではないか、という(大人の?)意見もあるかもしれない。たしかに。
 しかし、そうした最近の状況を度外視しても、考えてみればずっと何十年も前から、賞をめぐっては色々あったのだ。1935年の第一回芥川賞で太宰治が受賞しなかったこと、およびそれをめぐる経緯は、よく知られたものである。当時選考委員にはあの川端康成もいた。それから1979年・80年には村上春樹が候補に挙げられ、一定の評価を受けはしたが、結局二度とも受賞を逃している。事後的に今日の観点からすればなのであまり偉そうに言ってはいけないが、ともかくも、よりによって太宰と村上春樹という相当な水準の書き手の作品価値を見定められなかったというこれらエピソードは、賞の存在意義を高めるエピソードだったとは一般にみなされていないように思われる。(他方で芸術においては、あるいは芸術に限らず、何かを受賞しなかったことをむしろ名誉とするという反骨精神的な観点も時に見出される。若くして認められ賞なりを受ける者は一つ上の世代の価値観に迎合した側面があり、したがってそうした者は真に独創的ではなく、少し時を経たのち成熟期を迎えることなく早くに創造性の枯渇にいたらざるをえない……とするような。) このようなわけなので、やはり、そもそも個々の賞にどのくらいの意義があるかどうかについても、読者・消費者は結局そのつど自分で手間をかけて、みずから読み、自分なりの考えや判断を時間をかけて練ってゆくしかないものなのだろう。
 《ライトノベル》というジャンル呼称が定着して十数年が経つ。しかしその呼称が差す範囲ははっきりしていない。SF、ファンタジー、恋愛、職業、等々が内容だと漠然と言われたりする。だが、だとすれば、過去の既存“小説”もそれらを内容としていたと言えてしまわないか。そして、《ライトノベル》が“芥川賞の対象になりうる種類の小説”とは本質的に異なるのかどうか、まだ本格的に問われたことはないように見える。《ライトノベル》は“小説”というエクリチュールのジャンルよりも格下にすぎないのか。いや、あるいはむしろ逆に、今では《ライトノベル》の側がもはや“小説”など相手にしていないのであるのかどうか。またたとえば、カズオ・イシグロの最近の仕事は《ライトノベル》的ではないのかどうか? バルザックの『あら皮』は? トーマス・マンの『トニオ・クレーガー』は? ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』は? ガルシア=マルケスの『コレラの時代の愛』は?
 『Re:ゼロから始める異世界生活』は、《ライトノベル》であるという。芥川賞の候補にならなかったし、各大学の図書館にも普通は所蔵していない(そのことで各図書館に学生の皆さんは性急に苦情を言うにはおよばない、ご存じのように、歴代の芥川賞選考委員たちでさえいつも価値判断には苦労させられてきたのであるから)。だから読む価値はない、だろうか。それは―――そう、読者が自分で読んで判断すればいい。
 ただしこの作品を判断するのは、第6巻まで読み進めてからにすることを強く推奨いたしたい。第6巻(アニメ版を見るなら第18話)こそがこの作品の核心の部分であり、最も偉大な部分であると考えられるからだ。―――そこまで読み終えた読者は、改めてこう問いたくなるかもしれない。この途方もない作品は、ラノベなのか、小説なのか、いったい何なのか、と。でももはやそのようなジャンル分け・レッテル貼り自体がもしかすると、もう一度、ここでやり直されるべきなのかもしれない。新しく。すべてを、もう一度。何度でも。そう、ゼロから。

ライブラリサーティフィケイト学生企画『古典文学を知ろう!』を開催中!

 現在、図書館入館ゲート入ってすぐのところで、KONAN ライブラリ サーティフィケイトの1級要件である学生企画として、『古典文学を知ろう!』を開催中です。

 ほとんどの学生さんは普段あまり触れる機会のないであろう日本の説話集、「宇治拾遺物語」、「日本霊異記」、「今昔物語集」について、知能情報学部3年の藤澤さんが紹介してくれています。理系ならでは?の面白い視点でいくつかのお話しが紹介されていますので、ぜひ紹介パンフを手に取ってみてください。

 この企画は9月まで開催しておりますので、図書館にお立ち寄りの際はぜひ見てみてください。もちろん展示されている関連図書は貸出可能ですので、この夏休み、ちょっと古典に触れてみるというのはいかが?(夏休み特別貸出は7/25からです!)。

特設コーナー設置作業中