月別アーカイブ: 2022年2月

ヴァン・デル・ポスト「カラハリの失われた世界」

 L.ヴァン・デル・ポスト「カラハリの失われた世界」
(筑摩叢書170)筑摩書房 , 1982.6

南アフリカ出身のローレンス ヴァン・デル・ポストが、1955年に行ったアフリカの狩猟採集民”ブッシュマン”を探すための探検記。
初版は1958年にロンドンで出版され、ベストセラーになりました。

ノンフィクションですが、ヴァン・デル・ポストは小説家でもあるので、アフリカの大自然が抒情的に表現され、探検隊の人間関係のドラマも含めて読み応えがあります。
仲間をあつめ、武器や装備を整えて、ライオンやカバ、ワニなどの猛獣が住む土地に向かい、狩りをしながら神秘的な聖地を冒険する。
ライトノベル界隈では”異世界もの”が流行っていますが、リアル異世界には違った面白さがあります。

絶版本なので、図書館でどうぞ。

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

匿名希望

 2022年2月7日に『多読チャレンジ』50冊を達成されました。 

 前回25冊コースに挑戦した際、あと少しのところで達成できなかったため、今回再チャレンジされ、見事50冊を読破されました!

 多読は中学生・高校生の頃に授業でしたことがあったそうです。その際に文法・単語の力をつけて、今回チャレンジされたようです。

 相撲について紹介している“Sumo”J.A.Sargeant  (LV.4)がとても気に入られたそうです。裏表紙に書かれたコメントが帯に掲載されているような文章で面白いと思い、手に取ったと話されていました。

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


○『多読チャレンジ』達成の感想を教えてください。または、『多読チャレンジ』達成の為に工夫した事を教えてください。

―― 「どのレベルの本も最低5冊読む」というルールを追加してみる、ということを致しました。

○『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

―― 最近改めて英文の聴き流しをしたところ、1単元あたり100~150単語くらいしか拾えていなかった所が200~280単語に微増するようになりました。

○チャレンジする図書はどのように選びましたか?

―― Book Reviewも参考にしつつ、同系統もしくは同出版社の本を選ぶようにしました。
  また、いつか原文で読んでみたいと思っていたものをこの機会に読むことができました。

○現在チャレンジ中の『多読チャレンジャー』へメッセージをお願いします。

―― レベル6を読み切れた時の喜びはきっととてつもないものの部類に入ると思われます。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!

共通教育センター 西川 耕平先生へのインタビュー

知能情報学部 4年生  団野 和貴さんが、共通教育センター  西川 耕平先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.電子書籍と紙の本,それぞれ長所と短所がありますが,先生の意見を聞かせてください

A.電子書籍の良さは,購入して届くまでの時間が,ほとんどがゼロということ,大量に持ち運びできること,読んでいる本にリンクがあれば,クリックして,すぐにそのサイトに飛べるなどが良さですね.

電子書籍の逆の面について,1つめは,推測ですが,電子書籍は,読みやすい形に本の構成や文体が変わっているのではないかと思うことです.例えば,アマゾンキンドルには「想定読了時間」という表示が出ますが,エディターや出版社が,早く読める文体に編集しているのではないかという気がします.量は読めるかもしれませんが,単に効率的にインプットする媒体になってしまいますので,本来の書き手の意図と違うものになる気がします.

2つめは,書き込みがしにくいことですね.ハイライトを付けられますが,自由に書き込みができない場合が多いですね.1回読んで,深く納得することは少ないので,2回目,3回目に読むときのために,簡単に書き込める機能が,もっと充実すれば便利だろうと思いますね.

紙の良さは,新聞紙面のように一覧しやすいことですね.時々辞書を読み物のように読んで,メモを取って理解する事があります.こうしたときに,ページ全体を一覧して,関連用語が見えますので,辞書の上で「隣近所」の言葉も読みながら,関連性を想像する楽しみがありますね.

 

Q.学生は本を読むべきだと思いますか?本を読むメリットや読書を継続するコツも教えて下さい

A.一般的な言語能力を鍛える目的で,本を読むことは重要だと思います.アメリカの英語の先生に教えられた経験則に,「母語の能力以上に,第二言語の能力は上がらない」ことがあります.母語の文法や意味を深く理解すると,第二言語学習の際に違いが明確になり,「第二言語学習者」として,学ぶ方法が工夫しやすくなると思います.つまり「日本語をおろそかにしては,外国語を深く学べない」ということでしょうか.

また,同じく英語の先生から,「書いてある内容を文法的に正しく理解する能力は,小学校4年生までに,おおよそ形成されるので,それ以降は,文章から意味をつかみ取ること,つまり本来の目的に努力を集中するようになる」と聞きました.しかし文章を正しく理解する力は,意識しないと衰えていくと思います.意識的に書かれている文字から,文法的に理解する能力を維持していくことが必要でしょうか.言語能力を維持する点でも,本を読むことは大切と思います.

読書を続けるには,「この本から,何を手にするべきか」と意識しながら読むと良いと思います.単純に受動的な姿勢で取り組むと続かないと思います.小さい頃,「図書館の本を,全部読んでみよう」と思い立ちましたが,すぐ挫けた記憶があります.

読書の良い点として,表現が豊かになることだと思います.豊かな文章表現に触れると「感性の豊かな人」と感じて,「どんな人が書いているのか」と想像が膨らみ,魅力が増します.

最後に,書き手の立場からすれば,良い文章を書くには,模範にする良い表現を身につけるという意味で,文体や構成を丸暗記して,真似ることも一つの方法としてありうるのではないでしょうか?もちろん,そのままの文章を使うのはだめですが,それ以上に,表現の楽しみが薄れてしまうと思います.

 

感想 :西川先生はいつも様々な事象を客観的に捉えていて,「いつか先生とお話ししたい」と思い今回のインタビューが叶いました.ご自身の研究分野の視点でも読書に関する意見が聞けて,とても興味深かったです.これからも,読書以外のことについても話したいと考えています.

西川先生,改めまして,今回はインタビューにご協力くださり,誠にありがとうございました.

(インタビュアー:知能情報学部 4年    団野 和貴 )

文学部 髙石 恭子先生へのインタビュー

知能情報学部 4年生  団野 和貴さんが、文学部  髙石 恭子先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.本に接する機会はありますか?

A.自分の研究や学生相談に必要な文献を探すのは,常にありますね.趣味とか仕事や業務に直結しない本を読む機会は,仕事の忙しさと反比例します.そういった本は,余裕のある時(出張で新幹線を使うときなど)を見つけて読むのが,最近では多いです.

若い頃は,仕事に関係なく興味のある本を読んでいました.私の専攻する臨床心理学は「1人1人の人がどのように生きていくか」という人生のことに直結しているので,哲学,小説,児童文学,絵本,海外の小説とか古典文学など,手当たり次第読んでいました.人間は生きていると,簡単に解決できないことがたくさんあります.そういうものを抱えながらどのように考え生きていけばいいのかということを,本から得られると思います.例えば小説を読むと,その主人公の生き様から参考になるものたくさんあります.そこから,相談に来られたときに,自分の経験と本からその人の悩みを引き出して話を聞くことが可能になると思っています.

 

Q.学生相談の際に本を薦めることはありますか?

A.「こういうことについて悩んでいます.ヒントになる本はありますか」と言われたときは,要望に応じて探すことがあります.相談者の抱えている悩みがとても深くて簡単に解決策が出ないときは,私で答えられることも限りがあるので「この本が参考になるかもしれない」と薦めることがたまにあります.しかし,私がこういう意味だと思って読んだ本を,受け取った方が私と同じように感じられるとは限りません.また,薦めることによって「そのように考えないといけない」と思って,その人の自然な気持ちの方向を変えてしまう危険もあります.お薦めした方に「読んでみてどうだったか」と聞き,紹介して終わりということがないように心がけています.

 

Q.学生は本を読むべきでしょうか?

A.学びには本が必要であることはこれからも変わらないと思いますが,10年後がどんな時代になっているのかわからないので「近未来の人全てが本に親しまないといけない」と断言はできないと思います.でも,本は今まで人間が,人間の情緒や生き様を表し言葉にして後世に残してきたものです.日々生きていく上で上手く言葉にできないことを,どのように言語化したらいいか,自己理解したらいいか,人に伝えたらいいか,そういう手がかりを本が教えてくれると思います.例えば,自分の気持ちを相手と共有するときに,すぐに「私の気持ちはこのようになっています」と喋ったり書いたりできるケースは少ないでしょう.苦労して言葉にして,どんな風に嬉しいのか悲しいのかということを言葉で表すほかないと思います.人間はいきなり進化するわけではないので,若いときに「言葉」に触れられる本に出会うことがとても大事ではないかと私は思います.

ただ,時代によってやるべきことが異なり,今の人は昔にはなかったものを取り込まないといけないので,そのエネルギーと時間を考えるとなかなか「言葉」に触れることは難しくなっていると感じます.例えば,SNSなどで短い言葉をやり取りする機会が最近多いですが,長い文章で自分を表現することが今の日常ではなかなかありません.でも,時代が流れても人間の根幹は変わらないと思うので,少しでも「言葉」に触れ自分自身のことを「言葉」にする機会を作ってほしいです.

 

感想 :今回の髙石先生とのインタビュー,キーワードは「言葉」ですね.髙石先生の研究テーマでもある「人がどのように生きていくか」という視点で,読書を考えることができました.人間が急に変化しないことを考えると,これからも「言葉」を介したコミュニケーションは続いていくと思います.誰もが知っている共通の「言葉」で自分をどう表現できるか,ということはこれからも重要になります.社会人になっても読書を継続したいと強く感じました.

非常に楽しい時間でした.髙石先生,改めましてお時間をいただき,ありがとうございました.

(インタビュアー:知能情報学部 4年    団野 和貴 )

[藤棚ONLINE]法科大学院・宮川 聡 先生 推薦『戦中派不戦日記』

図書館報『藤棚ONLINE』
法科大学院・宮川 聡 先生 推薦
『 戦中派不戦日記-昭和20年 』

山田風太郎著
講談社文庫, 2002

 今回紹介したいのは,多くの作品(映画化もされた『魔界転生』や,NHKでドラマ化された『警視庁草子』に代表される明治時代を題材にした小説など)を残した山田風太郎の「戦中派不戦日記-昭和20年」です。最初に出版されたのは1971年ですが,文庫本になった1985年に初めて手に取った記憶があります(今では,電子ブック[KADOKAWA]で読むことができます)。

 これは,著者が書き残していた昭和20年1月1日より同年12月31日までの日記をほぼそのまま出版したものです。この日記は,東京医専(現在の東京医科大学)の学生であった著者が,将来出版されるとは夢にも思わない状態で,太平洋戦争の末期・敗戦直後の混乱期に考えていたこと,経験したことをそのまま記載したものであり,その当時の事情を知る上でも貴重な資料になっています(なお,これ以前の時期[昭和17年~19年]については,「戦中派虫けら日記 滅失への青春」というタイトルで出版されています。亡父が兵庫県養父郡で医師をしていた著者が,入試に失敗し一度はあきらめた医師になる夢を実現し,東京医専に入学するまでのさまざまな葛藤について記載されています)。

 時間の経過とともに戦況が不利になり,東京をはじめ多くの都市部が毎日のように米軍のB29による空襲を受けるようになった時期の普通の市民の生活の様子をうかがい知ることのできる記述もたくさんあります(空襲のために命からがら逃げ惑う様子も臨場感たっぷりに書かれています。いわゆる東京大空襲では,11万人以上がなくなり,300万人以上が被災したとされています。)。また,東京医専が信州地方へ疎開することになり,大学の授業を行うために必要な機材などを輸送するために梱包作業に学生が駆り出された様子や,疎開先での授業の内容などについても詳しく記載されており,現在の読者でも想像することができるのではないかと思います。さらに当時の大学生が敗戦をどのような気持ちで迎えることになったのかについても,詳細に記述されており,戦争を知らない日本人が国民の大多数を占めるようになった現在,改めて読み直してみる意味があるのではないでしょうか。

 なお,著者は,昭和21年から昭和27年までの日記も公刊(小学館文庫)しており,戦後の混乱から復興へと一歩を踏み出す時期の東京の様子についても貴重な情報を提供してくれています。

KONANライブラリサーティフィケイト学生企画『一日一読・おやすみ前の短編小説』

KONAN ライブラリ サーティフィケイトの1級学生企画
『一日一読・おやすみ前の短編小説』

マネジメント創造学部 西山叶子さんによる、「ミニ冊子」企画の第1弾!

「読書をしたいけれど時間がない・・・
そもそも読書が苦手・・・
そんなあなたに向けて、寝る前にサクッ と読むことができる短編小説を厳選しました。
私のお気に入りの小説が、あなたのお気に入りになるとうれしいです。」

ミニ冊子は、図書館入口と、2階中山文庫の展示スペースで配付しています。
CUBEメディアセンター、ポートアイランドキャンパス図書室でも入手できますので、ご一読ください!

よい本と共に、心地よく寝落ちできますように・・・。