【第9回 甲南大学書評対決】 寺地はるな著 『川のほとりに立つ者は』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

グローバル教養学環 STAGEチーム 1年  岡山 奈津希さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 :川のほとりに立つ者は 
著者 : 寺地はるな
出版社: 双葉社
出版年:2022年

「川のほとりに立つ者は、」の続きが気になる、そんなプレゼンをしてくれました。

 

以下、岡山さんからの書評です。

 

「あなたはあなたの大切な人のことをどれだけ知っていますか?」と問われるとあなたはどのように答えますか?もしかしたら何もかも知っていると言い切る人もいるかもしれません。また、このような言葉もあります。「川のほとりに立つ者は、水底に沈む石の数を知りえない」この言葉の意味をあなたはわかりますか?

この本にはこれらの問いの答えが隠されています。この本は私たちがまさしく経験したコロナ禍により、人と人の繋がりがわかりにくくなっている中で、人間関係の難しさを描いたお話です。この小説にはミステリー要素もあり、一体「当たり前」とは何だろうと考えさせられるような作品です。

この本を読んだあなたは、明日からきっとあなたと関わるたくさんの人にやさしくなれる、と私は思います。ぜひこの本をたくさんの人に読んでいただきたいです。

 

 

第9回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

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【第9回 甲南大学書評対決】 伊岡瞬著 『代償』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

グローバル教養学環 STAGEチーム 1年  稲垣 秀亮さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 : 代償
著者 : 伊岡瞬
出版社:角川書店
出版年:2016年

自身のエピソードを織り交ぜながらプレゼンしてくれました。

 

以下、稲垣さんからの書評です。

 

今回僕が紹介する本は伊岡瞬さんが書かれた『代償』です。

会いたくもないような人はいますか?主人公の圭介にとってそれは、達也、という同級生でした。
まず小学4年生だった圭介は両親を火事で亡くし、同級生でもある親戚の達也家に引き取られます。圭介は少しずつ達也の本性を知っていきます。生き物を道具のように扱い痛めつける、もちろんそれは圭介もです。そんな地獄のような日々を圭介は過ごしますが、数年後、達也から逃げ弁護士になります。

弁護士の仕事をしていたある日、一通の手紙が届きます。
「私は無実の罪を着せられました、どうか助けてください  親友のたっちゃんより」
圭介は両親が亡くなった、あの時に現場にいた達也から何か聞き出せるかもしれない、そう思い達也の元へと向かいます。

優しいけど不器用な圭介と人を遊び道具のように扱う達也。圭介は何を代償に何を得るのでしょうか。そんな復讐劇がこの『代償』には描かれています。ぜひ読んでみてください。

 

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【第9回 甲南大学書評対決】 本田健著 『20代にしておきたい17のこと』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

グローバル教養学環 STAGEチーム 1年  玉岡 穂ノ佳さんからのおすすめ本です。

 

 

書名 :20代にしておきたい17のこと
著者 : 本田健
出版社: 大和書房
出版年:2010年

著書の本田健さんからの応援を力に、元気いっぱいに紹介してくれました。

 

以下、玉岡さんからの書評です。

 

”人生の90%は20歳で決まる”

20代はお金持ちになりたい、とか海外旅行に行きたいなどの感受性豊かであり、多くのことを学べる期間です。ですが、多くの人が、ただ深く考えず働いただけであり、大切なことが分からない20代を過ごし、その後苦労しているそうです。

この本は、著者の本田健さんが、自分の20代の頃を振り返り、20代で知っておくべき内容が詰まっています。私は、中学受験や大学受験といった、周りに言われた道ぐらいしか見えていませんでした。ですが、この本を読み、今起きている嫌なことや辛いこと、無駄だと思うことは30代で回収される伏線だと思うことができました。

自己成長や人生の方向性模索している人、将来に対する不安や迷いを抱えている人、自分自身のあり方や方向性を考えている人に読んでいただきたいです。

 

 

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【第9回 甲南大学書評対決】 高橋則夫著 『刑の重さは何で決まるのか』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

法学部教授 竹内 健互 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 刑の重さは何で決まるのか
著者 : 高橋則夫
出版社:筑摩書房
出版年:2024年

竹内先生3冊目のおすすめ本です。先生のご専門分野の図書を紹介してくださいました。

 

以下、先生の書評です。

 

「刑が軽い」。裁判実務と日常感覚の「ズレ」はどうして生じるのでしょうか。世界三大発明と言えば、火薬・羅針盤・活版印刷ですが、「ルール」も人類にとって偉大な発明の一つです。

本書では、刑法学の世界、処遇論の世界、量刑論の世界、刑法学の新しい世界という5つの寄港先立ち寄りながら、「犯罪とは何か」、「なぜ刑が科されるのか」という刑法(ルール)に投げかけられる究極の問いに向けて航路を進めていきます。

本書で、その「答え」は時代や社会の価値観などに伴って「変更可能性」を免れないものであるおとが示されていrます。「人間とは何か」という一筋縄ではいかない難問(アポリア)も背後に待ち受けています。だからこそ、「考えるのが面倒だ」と思うかもしれません。しかし、刑法は「他人ゴト」ではないのです。唯一絶対の「答え」もありません。でも、そこにこそ「刑法」の奥深さと醍醐味を感じてもらいたいと思います。

 

 

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【第9回 甲南大学書評対決】 筒井康隆著 『残像に口紅を 復刻版』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

法学部教授 竹内 健互 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 残像に口紅を 復刻版
著者 : 筒井康隆
出版社:中央公論新社
出版年:2022年

竹内先生2冊目のおすすめ本です。50音が世界からなくなっていく世界の結末を知りたくなる、そんなプレゼンをしてくださいました。

 

以下、先生の書評です。

 

「ダザイスト」に「ハルキスト」。筒井康隆も「ツツイスト」と呼ばれる愛読者層が形成される有名な作家です。

なぜ数ある筒井先品の中から本書を選書したのか。一つには、本書の舞台が「御影」だからです。筒井はかつて御影に仕事場を持っていました。

理由はそれだけではありません。本書では、物語が進むにつれて使われる文字見(音)が一つずつ消えていく「リポグラム」という手法が採られています。冒頭から「あ」が消えます。これにより「あ」が名指す対象(例えば、「明日」や「iCommons」)はその言葉も含めて存在もろとも作中世界から忽然と消え失せます。使える言葉が減っていく中で世界からは次から次へと言葉が指し示す対象(あるいはその「イデア」)が消えていくわけです。そうした制約と仕掛けの中で物語は進みます。

「最後に残る文字」とは何か、タイトルの「残像に口紅を」とはどのような意味か。それは本書を読んでの「お楽しみ」です。

 

 

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【第9回 甲南大学書評対決】 ミシェル・フーコー著 『監獄の誕生 : 監視と処罰 新装版』

10月22日(火)に開催された第9回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

法学部教授 竹内 健互 先生からのおすすめ本です。

 

 

書名 : 監獄の誕生 : 監視と処罰 新装版
著者 : ミシェル・フーコー
出版社:新潮社
出版年:2020年

竹内先生1冊目のおすすめ本です。学生のうちこそ背伸びして高い本を読んでみてほしいと紹介されました。

 

以下、先生の書評です。

 

学生時代こそ背伸びして「分かりにくい」本を手に取ってみましょう。本書はそんな一冊としてオススメです。

かつて刑罰は身体刑が中心でしたが、近代以降、犯罪者を「監獄」に収容して精神を矯正させる刑へとあり方が大きく変化しました。この刑罰制度の大転換は「人道主義」の成果なのでしょうか。フーコーによれば、そうではありません。「君主権的権力」から「規律権力」へという権力メカニズムの変容によるものです。建築様式としての「パノプティコン」という刑務所施設では受刑者は常に誰かに監視されているかもしれないと意識する結果、自分で自分を監視して規律を内面化するようになり、従順な個人が効率的に作り出されます。フーコーは、こうした「監獄」のシステムに、工場、軍隊、病院に代表される近代の管理システムの原型を見出しました。

本書は約半世紀前のものですが、今も現代社会を分析する視角としての有用性を失ってはいません。

 

 

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