
知能情報学部 4年生 Tさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)
書名 : 罪と罰
著者 : ドストエフスキー著 ; 工藤精一郎訳
出版社:新潮社
出版年:1866年
『罪と罰』は、主人公ラスコーリニコフが殺人という重大な罪を犯した後、その精神がどのように崩れていくのかを中心に描いた長編小説である。本作は犯罪小説という枠を超え、人間の心理や倫理観を深く掘り下げた作品だと感じた。
主人公は、自分を「特別な存在」と考え、社会のためであれば罪も許されるという思想を持っている。その考えのもとで殺人を犯すが、行為の後、彼は想像以上の苦しみに襲われる。罪を合理的に正当化しようとする一方で、良心の呵責や恐怖から逃れることができず、精神的に追い詰められていく様子が非常に細かく描写されている点が印象的だった。
この作品で特に強く感じたのは、「罪は行為そのものよりも、その後の内面に深く残り続ける」ということである。主人公は警察に捕まる前から、すでに自分自身によって裁かれているように見えた。罰とは法律によって与えられるものだけではなく、自分の内面で背負い続ける苦しみそのものなのではないかと考えさせられた。
また、ソーニャをはじめとする周囲の人物の存在が、主人公の内面に大きな影響を与えている点も重要である。ソーニャは決して強い人物ではないが、他者を受け入れ、苦しみを分かち合おうとする姿勢を持っている。その存在によって、主人公は少しずつ孤立から抜け出し、自分の罪と向き合う覚悟を固めていく。この過程は、人が社会の中で生きるためには他者との関わりが不可欠であることを示していると感じた。
出版年は古いが、描かれているテーマは現代にも強く通じる。自分の正しさを過信し、他者を軽視する考え方は、現代社会でも見られる問題である。その意味で本作は、過去の物語ではなく、今を生きる私たちへの警告でもあると感じた。
読み進めるには集中力を要するが、その分、人間の弱さや矛盾、そして責任について深く考えさせられる作品であった。自分自身の価値観や倫理観を見つめ直すきっかけとなる、非常に重厚な一冊である。
