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【第10回 甲南大学書評対決】 伊坂幸太郎著 『ペッパーズ・ゴースト』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

女子ラクロス部チーム 文学部人間科学科3年  岩田 眞穂さんからのおすすめ本です。

 

 

書名:ペッパーズ・ゴースト
著者:伊坂幸太郎
出版社:朝日文庫
出版年:2024年

伊坂幸太郎さんの大ファンということで、気合の入ったプレゼンです!

 

以下、岩田さんからの書評です。

 

発売時のキャッチコピーが「明日を観て、世界に立ち向かえ!」と、あるように主人公の檀は他人の未来を見ることが出来る中学校教師です。この能力をきっかけに檀はとある出来事に巻き込まれていきます。

作者は伊坂幸太郎です。伊坂幸太郎作品の特徴である個性的な登場人物と様々な立場の人々が一つの物語に関わり、展開していくストーリーは本作でも魅力の一つです。教え子が渡してきた自作小説に登場するバディ、能力によって新幹線事故から助けた教え子の父親、能力をきっかけに関係を持つようになる謎のサークルと参加者たちが登場します。そこに、檀の能力と5年前の事件など様々な要素が絡まるとき、物語は一つの展開と結末を迎えます。檀は「明日を観て、世界に立ち向かう」ことが出来たのでしょうか。それはぜひ、皆さん自信で確認して見てください。

読みやすい文体と軽快な会話、スピード感があり読後感も良い作品です。小説入門としてもおすすめの一作です。

 

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

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【第10回 甲南大学書評対決】 湊かなえ著 『告白』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

女子ラクロス部チーム 文学部歴史文化学科4年  田渕 晴さんからのおすすめ本です。

 

 

書名:告白
著者:湊かなえ
出版社:双葉文庫
出版年:2020年

こちらはライブラリーサーティフィケイトでも人気の作品です。

 

以下、田渕さんからの書評です。

 

この本は、作者である湊かなえさんの代表作でもあり、ミステリー小説です。衝撃的な内容と独特な語り口で大きな話題を呼びました。

物語は、教師である主人公の森口悠子が、終業式のホームルームで、自分の娘を殺害した犯人を告白するところから始まります。彼女の告白で、事件の真相が少しずつ明らかになっていき、物語は関係者や周囲の人々など登場人物たちの視点で進んでいくので、様々な視点から物語を楽しめます。それぞれの登場人物が抱える秘密や心の葛藤が明らかになっていき、語り手の視点が変わることで真実が浮かび上がります。予測不可能な結末へと展開していき、目が離せません。

人間の感情や罪、復讐といったテーマが織り交ぜられ、また色々な視点から物語を読むことができ、読者を引き込む話となっています。

 

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

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【第10回 甲南大学書評対決】 木下半太著 『鈴木ごっこ』

4月23日(水)に開催された第10回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

 

女子ラクロス部チーム 文学部人間科学科4年  友金 春日さんからのおすすめ本です。

 

 

書名:鈴木ごっこ
著者:木下半太
出版社:幻冬舎文庫
出版年:2015年

著者の木下さんからコメントをいただき、少し緊張した面持ちでのプレゼンです。

 

以下、友金さんからの書評です。

 

この本は、見知らぬ男女4人の共同生活が描かれたお話です。

巨額の借金を抱えた4人に課されたミッションは1年間鈴木家として暮らすこと。年齢も性格もバラバラな4人ですが、1年間同じ屋根の下で暮らすことで徐々に変化していく家族模様がリアルに書かれています。家族ごっこをしていく中で新たなミッションが課される。このミッションを失敗したら4人の未来は無い。

読んだ人は必ず「そういうことかー!」と言うこと間違いなし。ミステリー小説が苦手な方でもサクッと読める作品になっています。

 

 

第10回 甲南大学書評対決、生協書籍部で実施中!

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湊かなえ著 『告白』

 

 

知能情報学部 4年生 Tさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 告白
著者 : 湊かなえ著
出版社:双葉文庫
出版年:2010年

「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」中学校内で娘を亡くした教師が、ホームルームでクラスメイトたちに告白するところから物語は幕を開ける。教師は娘を殺した生徒A,Bとした。この二人が協力して娘を殺したことを知った教師は、エイズ感染者である夫の血液を牛乳に混ぜて二人に飲ませることで制裁を下し、教室を去った。教師の告白をきっかけにクラスメイトは二人をいじめるようになっていく。のちに牛乳は教師の夫によりすり替えられ、二人がエイズを発症することはなかったが、教師の復讐はこれで終わりではなかった。

この物語では、登場人物が交代で語りてを担い、それぞれの告白をしていく。教師の校内での事件の真相の告白から始まり、教師が去った後の教室の異様さを語る学級委員長、家庭内で起きた事件の経緯と、弟に制裁を下した教師への怒りについて語るBの姉、Aと共に教師の娘を殺し、その裁きを受け精神が追いつめられる様子や、日常的に母親から理想を押し付けられていたことに対する苦悩について語るB、母親への歪んだ愛を抱き、母親の気を引きたいがために教師の娘を殺害したことを誇らしげに語るA…。別々の視点から事件の一連について語られることで、その真相が浮き彫りになっていく。

端的で分かりやすい説明、展開の速さ、構成の見事さにより、読者のページをめくる手は止まらず、そのスピードは次第に速くなっていくに違いない。登場人物の狂気さには目を背けてしまいたいが、その登場人物ひとりひとりにもしっかりとした行動原理があり、読者の同情を誘う顔もある。人間も少しの思い込みやタイミングの違いで、一歩間違えれば異常と化すことが感じられる。物語の終わり方も衝撃的で、ある意味では救われ、ある意味では救われないといった印象を持った。生まれ育った家庭環境や、教師の下した制裁から生み出される人々の狂気、恐怖を、ぜひ味わっていただきたい。

角田光代著 『八日目の蟬』

 

 

知能情報学部 4年生 Tさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 八日目の蟬
著者 : 角田光代著
出版社:中公文庫
出版年:2011年

希和子は浮気相手とその妻が出かけた自宅に忍び込んだ。部屋で泣く赤ん坊を抱き上げようとした際に、赤ん坊が希和子に向って笑いかけた。希和子は夫婦の間に生まれた赤ん坊を見るだけのつもりだったが、気づくと赤ん坊を抱えて逃亡していた。希和子は赤ん坊に薫と名付け、友人の家や老女の家、宗教施設のエンジェルハウスなど、生活の場を転々としながら薫を育てる。小豆島での生活を最後に、希和子が誘拐犯として薫と引き離されるところで逃亡劇は幕を閉じる。大人になった薫こと恵理菜は、エンジェルハウスでかつて共に過ごした千草の接近をきっかけに、希和子や自分の親、そして自分自身について、見つめ直すこととなる。

逃亡生活の最中、希和子の目に入る様々な媒体から自分に捜索の手がどこまで伸びてきているのかを知る際の焦燥や、薫の授乳やおむつ替え、発熱からくる子育てをした経験のない希和子にとっての困惑や不安など、その心情描写はあまりにもリアルで、まるで読者も希和子と共に逃亡していると錯覚させられる。そのため、逃亡劇としてのドキドキハラハラとした感覚が読者をまとう。また、エンジェルハウスでは外部からの情報が遮断され、希和子と薫は女性のみの集団生活を強いられるため、そのカルトチックでミステリアスな空気感に、読者も不安にかられるだろう。物語後半では、希和子や実の母を通して、薫が子供に対する愛情について考え、葛藤する姿が描かれる。浮気相手の子供を育てる、それは倫理的には問題があるのかもしれないが、生命の運命として、種の保存として子供を育てるのは本能、むしろ必然ではないのか。生まれてくる子供は、美しい世界をその目で見る、それを果たす義務が自分にはあるのではないか、あなたも考えさせられるだろう。

このように、一つの物語の中で様々な感情に出会い、思考させられるのも、本作の魅力の一つであるかもしれない。ぜひ手にとって、筆者の生命に対する美しさの考え方や、登場人物たちに対するいとおしさを感じてほしい。

西岡壱誠著 『頭がいい人は○○が違う : 偏差値35から東大に合格してわかった』

 

 

知能情報学部 4年生 Kさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 頭がいい人は○○が違う : 偏差値35から東大に合格してわかった 
著者 : 西岡壱誠著
出版社:日経BP
出版年:2023年

多くの人がよく「私は頭が悪いから…」と言うが、これには、「頭のよさとは先天的なものである」という前提が見え隠れしていると考えられる。つまり、後天的に「頭をよくする」なんてことは無理と考えているのであろう。高校まで勉強がまったくできなかった筆者は、偏差値35から2浪して東大に合格している。つまり、「頭のよさ」はある程度自分の意思と努力で作れると考えられる。また、筆者は「頭がいい人とそれ以外のひとでは、何が違うのだろう?」という問いに対する答えを自分なりに出すために執筆している。

そもそも、「頭がいい」というのは、頭の使い方、つまり、思考法が優れているとも言える。頭がいいとされる人間の頭の使い方として、課題や目標を分解する、頻繁になぜかと問う、調べればわかることはすぐに調べる、自分の弱みをよく探す、合格体験記を熟読する、丸暗記を避けるなどがある。つまり、「分からない」という状態を嫌う傾向にあるといえるだろう。

思考を変えるためには、まずは行動から見直すとよい。ルールを守る、上手に手を抜き仕組みを活用して頑張りすぎない、スケジュールを立てずにやることリストを作る、「小テストの満点」にこだわる、最新ツールを試す、努力の限界を見極めて早い段階であきらめるなどの行動に変化させるとよいだろう。「心」を変えることもまた、思考と行動を劇的に変える。素直な心を持つことで、情報の吸収が早くなる。新しい情報を吸収することで、「行動」も変わりやすくなる。

このように、頭がいいとされる人間の思考や行動、心をマネすることで、後天的に「頭をよくする」ことができる可能性が見込まれる。全てを同時にマネするのは難しいと考えられるので、まずは自分がマネしやすい部分から順にマネするとよいのではないだろうか。

最後に、筆者の問いに対する答えは、「自責思考」なのか「他責思考」なのかという違いだ。頭のいい人は自責思考である傾向にある。