
知能情報学部 4年生 Fさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)
書名 : 窓ぎわのトットちゃん
著者 : 黒柳徹子
出版社:講談社
出版年:1981年
『窓ぎわのトットちゃん』は著者・黒柳徹子の幼少期をもとに、教育とは何か、人を理解するとはどういうことかをやさしく問いかけてくる一冊である。物語は、落ち着きがなく好奇心旺盛な少女トットちゃんが、最初に通っていた「普通の学校」を去るところから始まる。授業中に席を立ったり、窓の外に強く惹かれたりする彼女の行動は、集団の中では「困った振る舞い」とみなされ、個性として受け止められることはなかった。この導入部は、誰もが一度は経験したことのある「周囲と合わない感覚」を思い起こさせ、自然と物語の中に引き込まれる。
その後、トットちゃんが出会うのがトモエ学園である。電車の車両を使った校舎、授業の順番を自分で決められる自由な学び、障がいのある子どもも当たり前のように受け入れられる環境。そこは、これまでの学校とはまったく異なる空気をまとっている。中心にいる小林宗作校長は、子どもを型にはめるのではなく、一人ひとりの話に耳を傾け、その子の良さを信じて伸ばそうとする人物である。トットちゃんが安心して自分らしくいられるようになる過程は、読んでいて胸が温かくなる。
トモエ学園の教育が印象的なのは、「できないこと」を直そうとするのではなく、「その子が持っている力」に目を向けている点である。落ち着きのなさも、見方を変えれば豊かな感受性や探究心の表れであり、抑え込むべきものではない。トットちゃんが少しずつ自信を取り戻していく姿は、子どもだけでなく、大人の心にも静かに響いてくる。
本書は、教育論を声高に語る本ではない。それでも読み終えたあと、「もし自分が小林校長のような大人に出会っていたら」「自分は誰かの個性をきちんと見ているだろうか」と考えずにはいられなくなる。子どもの頃に読めば救われ、大人になってから読めば立ち止まって考えさせられる。そんな不思議な力を持った一冊であり、ぜひ手に取ってほしい作品である。





