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マネジメント創造学部 S先生へのインタビュー

文学部4生 Iさんが、マネジメント創造学部 S先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

 

―読書の頻度はどのくらいですか?

 

 専門書は毎日ではないですが、論文にないものを求めてかなりの頻度で読んでいます。娯楽の本に関しては月1~2回程度で、本を買ったら読むという感じです。ただ娯楽の本は読み始めると最後まで読まないと気が済まないので、仕事を優先してここ4、5年読めていません…。

 

 

―図書館や書店はそれぞれどのくらい利用されますか?

 

 図書館については、楽しみの本を求めて、西宮キャンパスCUBE近くのアクタ西宮にある西宮市立北口図書館を利用していました。最近は専門書を調べるために、甲南大学図書館のweb検索のみを利用しています。

 書店は月に1~2回程度利用しています。書店には、新刊に加えて2、3年前の見過ごした本がまとめて置いてあることもあって、専門書だとこの章を読んだら授業に活かせるかも?これと合わせると面白いかも?と考えながら本を探しています。

 

 

―面白そうな本の見つけ方や、手に取る決め手を教えてください。

 

 やはりタイトルと帯の面白さです。帯に関しては誰が推薦しているのかも気にしていて、例えば好きな作家さんが推している新人作家さんには興味がわきます。あとは雑誌に書かれている書評を読んだり、好きな作家さんの新刊だったら買ったりすることもあります。

 

 

―読書の魅力は何だと思いますか?

 

 「自分の知らない/知りえない人が書いたものだ」ということです。普段生活していると、自分と似たような人ばかりと知り合い交流することが多いと思います。だから、身近な人ならば、人としてどういう反応をするのか想像できてしまいます。ですが、本だと自分とは全く異なる環境で生きてこられた知らない方が、自分には理解できない「人の行動」について書いているから、驚きと感動を経験します。結果として、自分が人を深く理解できていない“事実”を改めて実感することができるわけです。実社会にいたら自分がシンパシーを感じない人とは分かり合えないけれど、そういう人も含めて書ききるという点で、そこまで人を理解している作者に凄いなぁと正直尊敬しています。

 

 

―本は紙派ですか、電子派ですか?その魅力も教えてください。

 

 紙派です。電子の魅力がそもそも実物を買わなくていいというくらいで、私の場合、本は紙じゃないと集中できない気がします。

 

 

―先生のお気に入りの本を教えてください。ジャンルや作家でも構いません。

 

好きなジャンルは経済(なかでも国際金融や国際情勢に関するもの)、ミステリー、宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズです。好きな作家は宮部みゆきさん、専門書で読んでおこうと思うのはダニ・ロドリック先生、ダロン・アセモグル先生、トマ・ピケティ先生などです。宮部みゆきさんは、予想した展開と違う方向に内容が飛んでいくという意味で一級品の作品ばかりで、凄い能力を持っている方だと尊敬しています。

楽しみで読む本の作家の作品の中では、読みやすく前向きで心が温まり、かつ、いい意味での裏切りを感じさせてくれる作品が好きです。例えば中山七里『さよならドビュッシー』、城山真一『天才株トレーダー・二礼茜 ブラック・ヴィーナス』、松岡圭祐『水鏡推理』シリーズがお気に入りです。

人に理解させようという意味で分かりやすいなと思える専門分野の書籍だと、フィリップ・アギヨン『創造的破壊の力: 資本主義を改革する22世紀の国富論』があります。

 

―学生の間に読んで欲しい本を教えてください。

 

 お好きなものをどうぞ!その人その人で心に響くのは違うので、「とりあえず読んでみてください」と言いたいです。どのような本でも、読んだ先に必ず何か見えてくるものがあると思います。

 

 

【感想】

 本を選ぶ時は私も帯を見て選ぶことが多いので、やはり帯から得られる情報は大きいのだなと思いました。また読書の魅力について、自分が理解できていない人を知ることができるというお話にはなるほどなぁと納得しました。たしかに自分自身が共感できないキャラクターだとしても、作家の方は最後まで書ききるので本当に凄いと思います。

 最後に、先生には急なインタビューの依頼にも関わらず快く受けてくださり、感謝申し上げます。非常に楽しく有意義なインタビューを行うことができました。素敵なお話をありがとうございました。

 

 

☆先生からのおすすめ本☆

■『さよならドビュッシー
中山七里著
■ 東京 : 宝島社 , 2010.1
■ 請求記号 913/N
■ 配架場所 図書館 . 2F中山一般

 

■『ブラック・ヴィーナス : 天才株トレーダー・二礼茜
城山真一
■ 東京 : 宝島社, 2017.2

 

■『水鏡推理
松岡圭祐
■ 東京 : 講談社, 2015.10

 

■『創造的破壊の力 : 資本主義を改革する22世紀の国富論
フィリップ・アギヨン, セリーヌ・アントニン, サイモン・ブネル著 ; 村井章子訳
■ 東京 : 東洋経済新報社 , 2022.12
■ 請求記号 332.06//2166
■ 配架場所 図書館 . 1F開架一般

 

 

(インタビュアー: 文学部4生 Iさん

住野よる著 『青くて痛くて脆い』

 

 

知能情報学部 4年生 Hさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 青くて痛くて脆い
著者 : 住野よる

出版社:KADOKAWA
出版年:2018

私たちは学生生活の中で、「自分だけの居場所」や「分かり合える仲間」を強く求める時期を経験する。周囲とうまく馴染めず、理想ばかりが先行してしまうことも少なくない。住野よるの『青くて痛くて脆い』は、そうした若さ特有の不安定さや危うさを、決して美化することなく描き出した作品である。

物語は、大学生の主人公・田端楓が、かつて同じ理想を語り合った秋好寿乃と再会することから動き出す。二人は「モアイ」という小さなサークルを立ち上げ、世の中を良くしたいという純粋な思いを共有していた。しかし、その理想は次第に現実とのずれを生み、時間の経過とともに歪んでいく。現在の楓は大学生活にも人間関係にも満足できず、過去にしがみつきながら生きている。ある出来事をきっかけに、彼は過去の「モアイ」と向き合うことになり、自分自身の弱さや醜さを直視せざるを得なくなる。

本作の大きな魅力は、登場人物たちが決して理想的な存在として描かれていない点にある。正しさを語りながらも他人を見下し、自分の価値観を押し付け、傷つけてしまう姿は、決して他人事ではない。特に楓の内面描写は非常にリアルで、自己正当化を繰り返す思考や、他者への嫉妬や恐れが生々しく描かれている。読者は彼に共感しつつも、「これは自分自身の姿ではないか」と問いかけられるだろう。

また、タイトルにある「青くて」「痛くて」「脆い」という言葉は、登場人物たちの精神状態そのものを象徴している。若さゆえに理想を強く信じ、だからこそ簡単に傷つき、崩れてしまう。その過程が丁寧に描かれているからこそ、本作は青春小説でありながら、読後にほろ苦さを残す。

『青くて痛くて脆い』は、理想を持つことの尊さと同時に、その危険性や未熟さを突きつける物語である。読み終えた後、自分の過去の言動や、今の人間関係を静かに振り返りたくなるだろう。青春のきらめきよりも、その裏側にある痛みを知っている人にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊である。

柚月裕子著 『教誨』

 

 

知能情報学部 4年生 Hさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 教誨
著者 : 柚月裕子

出版社:小学館
出版年:2025

柚月裕子の『教誨(きょうかい)』は、死刑囚として刑の執行を受けた女性の心の内側を丹念に描き、人間の「罪」と向き合うことの意味を深く考えさせる長編犯罪小説である。単なるサスペンスとしての面白さにとどまらず、読後に静かな余韻を残す重厚なテーマが印象に残る作品だ。

物語は、遠縁の死刑囚・三原響子が執行によって死亡し、その遺骨と遺品の引受人に指名された吉沢香純とその母・静江のもとに連絡が入るところから始まる。響子は十年前に我が子を含む幼女二人を殺害したとされ、「毒親」「ネグレクト」と社会的に糾弾された人物だった。しかし香純の記憶する響子は、報道されたイメージとはどこか違っていた。響子が最期に遺した「約束は守ったよ、褒めて」という意味深な言葉を解き明かすため、香純は響子の教誨師であった下間将人住職の助けを借りながら、青森県の菩提寺へ向かう旅に踏み切る。そこから、彼女は事件の背景と真実に少しずつ迫っていく。

本作の魅力は、単純に事件の真相を追うミステリーとしての面白さだけではない。響子という人物像が、世間のレッテルや報道とは異なる多層的な側面を見せることで、読者は「罪」とは何か、人はどのように裁かれうるのかを問われる。響子の行為そのものは決して許されるものではないが、彼女を取り巻く環境や人間関係がどのように作用したのかを想像させ、事件の当事者と第三者という距離感を繊細に描き出している。響子の最期の言葉が示す真意を追いながら、香純の視点を通して私たち読者もまた、罪に対する固定観念を揺さぶられていく。

読み進めるうちに、事件の背景や登場人物の思いが丁寧に重なり合い、「正義」とは何かについての問いが静かに立ち上がる。死刑制度や社会的な裁きについての明確な結論は提示されないが、それこそがこの作品の強さでもある。『教誨』は、人間の深層を抉り出す文学的な犯罪小説であり、罪と向き合い、人を理解しようとする姿勢の重さを読者に突きつける一冊だろう。

ヴィクトル・ユゴー著 『レ・ミゼラブル』

 

 

文学部 1年生 Oさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : レ・ミゼラブル
著者 : ヴィクトル・ユゴー [著] ; 永山篤一訳
出版社:角川書店
出版年:2012

『レ・ミゼラブル』は19世紀前半のフランスを舞台とした歴史小説である。日本では過去に「あゝ無情」というタイトルで翻訳されており、そのタイトルならば聞いたことがあるという人もいるかもしれない。今回はそんな『レ・ミゼラブル』について、少しでも知ってもらうことが出来れば幸いである。

この物語は窃盗の罪を犯したジャン・ヴァルジャンが数十年間の服役を経て、出所するところから始まる。どこにも受け入れてもらえる場所は存在せず、各地を放浪する彼はディーニュにあるビアンヴニュ司教の屋敷を訪れる。司教はそんなヴァルジャンを心優しく受け入れて、一晩泊めることを快諾する。しかし長年の投獄からすっかり心が荒れていたヴァルジャンは、司教が大切にしていた銀の食器を盗み出してしまう。翌日、ヴァルジャンを連れてきた警官たちに対して、司教は「それは元々彼にあげる予定のものだった」と彼を釈放するように求める。さらに、釈放されたヴァルジャンに対して司教は残りの銀の食器、燭台を手渡し、彼にこれからは正直者であるように諭す。ヴァルジャンはそんな司教の振る舞いに感動し、心を入れ替えて生きていくことを誓うのである。

物語中には物事や社会の本質を突く言葉が数多く存在する。例えば窃盗の罪で捕まった当初、ヴァルジャンは「俺がこういった罪を犯したのは貧しさのためであり、そういった状況を許している無慈悲な人間社会に人を裁く権利はあるのか」と考える場面がある。ヴァルジャンは幼い頃に両親を亡くし、7人の子供を持つ姉の一家のもとで育った。しかし姉の夫が亡くなってからは、状況が変わってしまったため、このような盗みを犯したのだ。そこから私は、こういった過去を持つ彼を一概に悪とは言えるのだろうかと考えた。

本書には感動する場面も、また存在する。先ほど述べたヴァルジャンが改心するきっかけになった出来事もそうだ。巧みな表現で描かれた文が更にそういった感覚を助長させる。無情な社会の中でも、自分が正しいと思うことを貫くヴァルジャンの姿は、見ていてとても考えさせられる。いったい彼はどのような生涯を送るのか、実際に読んでみて、様々なことを感じて欲しい作品だ。

今村翔吾著 『イクサガミ 地』

 

 

知能情報学部 4年生 Hさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : イクサガミ 地
著者 : 今村翔吾

出版社:講談社
出版年:2023

「天」の巻が「有象無象が入り乱れるカオスな乱戦」だったとすれば、この「地」の巻は「選び抜かれた怪物同士による、高度で冷酷な殺し合い」だ。
4 部作の真ん中に位置する第 2 部は、物語のつなぎ目としてテンポが落ちる、いわゆる「中だるみ」が起きがちである。しかし本作において、その懸念は完全に杞憂に終わる。舞台は東海道の中盤から、天下の険・箱根へ。参加者の人数は大幅に減ったが、その分、生き残っているのは一騎当千の修羅ばかりだ。戦闘の密度、駆け引きの知能レベル、そして殺意の純度が、前巻とは比較にならないほど跳ね上がっている。ページをめくる手が次第に重くなるほどの緊張感――まさに「地」を這いずるようなヒリヒリとした焦燥感が、読者の精神を容赦なく削ってくる。

本作の魅力は、主人公・愁二郎の成長だけにとどまらない。立ちはだかるライバルたちのキャラクター造形が、格段に深みを増している点にこそある。彼らは単なる悪役ではなく、それぞれが「譲れないもの」や「歪んだ美学」を抱えている。その信念同士が正面からぶつかり合うからこそ、命のやり取りに避けがたい悲壮なドラマが生まれるのだ。中でも、ある「凶悪な敵」との対峙は、圧倒的なアクション描写の極致でありながら、生き残ることの意味を問いかける哲学的な名シーンとして強烈な印象を残す。

さらに、デスゲームの主催者の存在、そして「蠱毒(こどく)」の真の目的といった、物語の根幹に関わる謎が、少しずつ、しかし不気味な輪郭を伴って姿を現し始める。アクションの興奮と並行して、「このゲームの裏で何が起きているのか?」という知的好奇心が脳を刺激し続ける構成も見事だ。

読み終えた直後、読者を襲う感情は二つある。「凄まじいものを読んだ」という虚脱感と、「頼むか
ら今すぐ続きを読ませてくれ」という強烈な飢餓感だ。「地」は、「人」へと至るための、あまりにも贅沢で、そして残酷な滑走路である。覚悟を決め、この激流に身を委ねてほしい。

今村翔吾著 『イクサガミ 天』

 

 

知能情報学部 4年生 Hさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : イクサガミ 天
著者 : 今村翔吾

出版社:講談社
出版年:2022

もしあなたが「時代小説はおじさんが読むもの」「歴史の知識がないと楽しめない」という偏見を持っているなら、この一冊でその価値観は完全に覆されることになるだろう。今村翔吾の「イクサミ 天」は、歴史小説の皮を被った、極上のノンストップ・エンターテインメントだ。

舞台は明治 11 年。武士の時代が終わりを告げ、刀を奪われた侍たちが生きる場所を失いつつある頃。京都に集められた 292 人の猛者たちに告げられたのは、東京までの道中で殺し合い、「木札」を奪い合うという狂気のゲームだった。
優勝賞金は現在の価値で 100 億円。まるで「イカゲーム」や「ゴールデンカムイ」を彷彿とさせる設定だが、本作の凄みは、それが「明治」という過渡期に行われる必然性にある。時代の波に飲まれ、誇りだけでは食っていけなくなった男たちの悲哀が、このデスゲームに重厚なリアリティを与えているのだ。

主人公・嵯峨愁二郎は、ある少女を守るためにこの修羅の道を行く。彼に襲いかかるのは、異形の武器を操る怪人や、戦闘狂の剣士たち。特筆すべきは、その圧倒的なリーダビリティだ。著者の筆致は驚くほど視覚的で、ページをめくるたびに脳内で鮮明な映像が再生される。もはや小説を読んでいる感覚ではない。ハリウッド級のアクション映画を、文字を通して脳に直接インストールされているような感覚に陥る。

大学の講義や課題、アルバイトに追われる日々のなか、これほどまでに時間を忘れて没入できる作品に出会えることは稀だ。「天」の巻を読み終えた瞬間、あなたは間違いなく書店へ走り、続編の「地」の巻を手に取ることになるだろう。退屈な日常を打破する刺激が欲しいなら、迷わずこの「蠱毒(こどく)」に足を踏み入れてほしい。