5-2.教員インタビュー」カテゴリーアーカイブ

マネジメント創造学部 前田 正子先生へのインタビュー

マネジメント創造学部4生 塩谷 瑠緋さんが、マネジメント創造学部 前田 正子先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

 

行動経済学の処方箋 : 働き方から日常生活の悩みまで
■  大竹文雄著, 東京 : 中央公論新社 , 2022.11

■ 請求記号 S081.6/2724/29
■ 配架場所  CUBEメディアセンター 教員コーナー・図書館1階 開架小型

 

 

Q.この本を勧めてくださった理由を教えてください。

この本は行動経済学について誰でもわかりやすいよう丁寧に書いてくれています。本来行動経済学というのは難しいものではなく、とても単純なことなのですが、学生の多くは行動経済学と聞くと難しいイメージを持ちがちです。しかし行動経済学は私たちの身の回りにも常に存在しています。ですから、この本を読むことによって経済学や行動経済学に対する苦手意識を払拭し、普段の講義や研究プロジェクトに役立てていただきたいと思い、勧めました。

 

Q.この本の面白いポイントは何でしょうか?

この本の一番面白いところは、行動経済学が扱う範囲が広がっているということを知ることができる点だと思います。今まで人間は合理的な行動をとる存在だとして行動経済学内にて定義づけられてきましたが、そうではないことが近年わかってきました。そして行動経済学の対象が人だけではなく、「人々がごみを捨てるにはどうすればいいか」など、日常の行動での問題も対象になってきました。

この本を読めば、どのようにすれば人間の行動や考え方が変わるのかというのを考えながら、行動経済学の扱う範囲が広がってきていることも感じることができると思います。

また、この本の著者である大竹先生は、緊急事態宣言時に政府のコロナ政策をどのようにして動かしていけばよいかを決める権限を持っていたんです。どうしてコロナの時に○○なことが起こったのか、なぜ大勢の人が○○な行動をとったのかということを調べていたそうです。つい一昨年に起こったことの裏側がわかるので、そこも面白いポイントですね。今後いろいろな仕事をしていくにおいて、すごく役に立つと思うから是非参考にしてみてください。

 

Q.最後に学生に向けて一言!

経済学とはなにか、行動経済学とは何かということを、誰でも簡単に学びながら読める本なので、ぜひ読んでみてください!

 

インタビュー後の感想

私は今まで経済学に対してあまり良いイメージを持っていませんでしたが、この教員インタビューを通して、経済学というのが身近に存在していて、正確な知識を身につけることによって社会に存在している様々な問題の解決につなげることができるということを学びました。実際に今回前田先生に紹介していただいた本を読んでみようと考えています。

 

(インタビュアー: マネジメント創造学部4生 塩谷 瑠緋さん

司書教諭課程 廣田 千鶴子先生へのインタビュー

文学部3生 伊場田 扶弥さんが、司書教諭課程 廣田 千鶴子先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

①読書の頻度はどのくらいですか?

趣味としての読書は、毎日の隙間時間によく読みます。また、一人で出かけた時の電車を待つ時間や移動時間、お店で注文を待つ時間というような隙間時間も読書の時間です。

 

②図書館や書店にはよく行かれますか?

よく行きます。最近、私の通勤経路に大阪市立の公共図書館が移転したので、よく覘いています。あとは、大阪市立中央図書館が地下鉄の駅上にあって、すごく利用しやすいです。図書館という静謐な「場」の雰囲気が好きですね。町の小さな本屋さんも行きますが、図書館の方を利用することが多いです。

 

③面白そうな本の見つけ方、手に取る決め手を教えてください。

やはり人が薦める本には価値があるのかなと思います。新聞の書評や好きな作家さんの書評を読んで、それを購入したり借りたりして読むようにしています。あとは読書好きな人からの口コミですね。「あなたは、こういう系統が好きだからこれが良いよ。」と薦めてもらう本を読むことも多いです。

 

④本の魅力とは何ですか?

ドキドキやワクワクといった豊かな時間を与えてくれることです。人間が一生の間に経験できることは限られています。でも、1冊の本を通して多種多様な世界を見て、数えきれないくらい沢山のことを経験し、考えさせてくれます。そういう豊かな時間が、私にとっての読書であり本の魅力かなと思います。

 

⑤先生のお気に入りの本を教えてください。

私は現実と異世界を行ったり来たりするようなファンタジー系が好きです。小野不由美さんの『十二国記』、上橋菜穂子さんの『鹿の王』や『守り人』シリーズなど、壮大なスケールのファンタジーがお気に入りです。

 

⑥学生におすすめしたい本はありますか?

山崎豊子さんの戦争三部作『不毛地帯』『二つの祖国』『大地の子』をお薦めしようと思います。戦争によってもたらされた人々の苦悩や葛藤など、ぜひ読んで考える時間をもたれてはいかがでしょう。重みのある内容ですが、その重みと向き合うことはとても有意義なことだと思います。さらに自分の読んだ本について人と語り合う時間を持って、思考力や言語力により磨きをかけて欲しいです。互いの思いを否定せず考えを認め合うことが、自分の幅を広げてくれます。それが大学生の多様で多面的な読書の楽しみ方なのかなと思います。

 

【感想】

インタビューを通して、廣田先生の本の選び方が印象に残りました。私は口コミや書店で偶然見つけたものを読むことが多いので、書評を読んで選ぶということが新鮮に感じました。今後の本を選ぶ上での選択肢に入れようと思います。また、戦争ものの本は少し手が出しづらかったのですが、先生のお話を聞いて読もうと思いました。インタビューの中で、重い作品と向き合い考えることも大切だということに気付きました。貴重なお時間を頂き、有意義な時間を過ごすことが出来ました。廣田先生ありがとうございました。

 

(インタビュアー: 文学部3生 伊場田 扶弥さん

全学共通教育センター N先生へのインタビュー

文学部4生 Sさんが、全学共通教育センター N先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

Q. 普段、本は読まれますか 

A. 昔より全体的に量は少なくなりましたが、今は社会問題に関する本を中心に読んでいます。食の問題に興味があり、最近では『戦争と農業』(2017, 藤原辰史, 集英社インターナショナル)を読みました。もともとは、『フォークス・オーバー・ナイブズ』(2012年DVD日本発売)というドキュメンタリー映画を観たことがきっかけで、『葬られた「第二のマクガバン報告」』(2009, コリン・キャンベル他, グスコー出版)を読みました。本学の図書館にあります。また、グリホサート(日本での商品名「ラウンドアップ」)と呼ばれる除草剤を知っていますか。発がん性があるということで、日本以外では大きな問題になっています。お墓参りの際、雑草の茂みに使いたくなりますが、除草剤は、土から川へ流れていくため、環境汚染や食物連鎖があり、怖くて買えません。

 

 Q. フランス語を担当されている先生ですが、フランス文学でおすすめの本はありますか。

A. 『星の王子さま』(2017, サン=テグジュペリ, 内藤 濯訳, 岩波文庫)は、気になる章だけでもいいので読んでほしいです。昔、読んだことがあったのですが、一昨年、改めて授業の際に学生たちとフランス語で熟読し、新たな発見がありました。第21章で、狐がなぜ鶏のことを気にしているのか不思議だったのですが、実は食べるためだとわかりました。有名な訳にも誤訳がありますね。

 

Q好きなジャンルはありますか。

A. 推理小説が好きです。特に、謎解きの怖いものが好きです。そのおかげか、推理ものの映画を見た際、最初の10分ほどで、この人がおかしいんじゃないか、と犯人が分かることもあります。フランス語の推理小説としては、ルパンやメグレが有名ですが、『マーチ博士の4人の息子』(1997, ブリジット・オベール, 堀茂樹・藤本優子訳, 早川書房)は忘れられません。

 

Q. 本の魅力は何だと思われますか

A. 動画などに比べ、的を射た大事なことが結構書かれているということですかね。ものにもよりますが、動画だと誰が作っているか分からないし、再生回数を意識したものも見られます。それに比べて、本は作者の自分の言いたいことが素直に書かれていると思います。

 

 Q. 学生におすすめしたい本はありますか。

A. 若いときに読んでよかった本が2冊あります。『シッダールタ』と『転落』です。『シッダールタ』(1959, ヘルマン・ヘッセ, 高橋健二訳, 新潮文庫)は、親のありがたみがよく分かる本です。『転落』(カミュ, 大久保敏彦訳, 新潮文庫)は、いざ人を助けようと思った時、助けられるか考えさせられる話です。この2冊は短い小説なので気軽に是非読んでもらいたいです。

 

 感想:大学1年生からお世話になっている先生で、今回本に関してじっくりお話を聞けてよかったです。普段、日常で食べているものや、ものの見方など改めて1度立ち止まって考える機会となりました。

 

(インタビュアー: 文学部4生 Sさん

全学共通教育センター 武田 佳久先生へのインタビュー

経済学部1生 Tさんが、全学共通教育センター 武田 佳久先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

① 図書館や書店にはよく行きますか?
 茶屋町にあるMARUZEN&ジュンク堂によく行く。また、また同じ建物のナガサワ文具店があり、立ち寄って文房具を見たりする。また、その書店は天井が高く開放感がある。あまり狭い空間だと威圧感があって好きではない。また、欲しい本はネットでも買えるのだが、書店を訪れる理由は、本の数が多いからだけでなく、その書店がこの本を紹介したいという感じがいいので訪れている。


② 本を買うときの決め手はありますか?
 字の大きさやページの余白、字体などで本を決めることもある。また、著者などは関係なくデザインと余白で選ぶこともある。本は人間のようで「これなんかきれい」と思ったり、カバーも含めてかっこいいなと思ったら買う。また、人から紹介したものを買ったりもしている。


③ 大学生におすすめしたい本はありますか?
 甲南大学の学生なら「本を読む人だけが手にするもの」という本が特に初心者におすすめで、読書数が0から1にするときに読む本としてもってこいの本です。しかし、おすすめの本はその人によって異なるので、まずは3分ぐらいお話を伺ってから考えたい。


④ 本を読む重要性を教えてください。
 社会人になった時にちゃんとした文章を書けるかでその人が問われることもある。メールも同じ理由で文章によって評価される。文章を書くにはインプットすることが重要だと考える。知らない言葉では文章は書けない。そのために本を読むことでインプットする必要がある。また、文章を書くのはAIでもできる時代になるので、より創造的な文章を書くのが人の役割になる。できるだけ若いうちに本を読んでおくと、将来の自分の武器になる。


【感想】

 私は今回が初めてのインタビューで、最初はすごく緊張しました。しかし、実際にインタビューがはじまってみると先生が「ラフな感じでいい?」と優しく聞いてくれたので、緊張がほぐれてインタビューを行うことが出来ました。先生の話はすべて面白く、特に面白いと思ったのは先生が昔会社で働いていた時に就職読書部と呼ばれるブログを書いていた話です。そのブログの内容は社長や人事部長など面接や就職にかかわる人で、特に年上の人達に本を紹介してもらうというもので、先生はこの話をすごく楽しそうにお話になっていました。また、その活動が奈良の書店から紹介された本のコナーづくりの依頼が来たときは、すごくうれしかったと語っていたのが、自分の中で一番印象深かったです。

 

(インタビュアー: 経済学部1生 Tさん

経営学部 安藤 徳先生へのインタビュー

経営学部3生 木下裕介さんが、経営学部 安藤 徳先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

Q.読書はどれくらいの頻度でされますか?

A.ほぼ毎日します。寝る前に読むかな。

 

Q.どのような内容の本を読まれますか?

A.1、経営、マーケティング
  2、世界情勢、経済
  3、投資、資産運用
  4、リベラルアーツ
  5、娯楽として(小説など)

 

Q.どういった方法で本を探しますか?

A.(これといって決めていない時は)本屋さんで。ピンポイントで欲しい本がある時はアマゾンで。
あとは、書評や読んだ本の中に出てきた本、人に薦められた本などですかね。

 

Q.図書館や書店はどれくらいの頻度で利用されますか?

A.月に1、2度です。(本を)手元に置いておくため、書店を利用します。図書館は行かないです。

 

Q.どのような目的で読書をされますか?

A.一つは仕事のため、あとは知的好奇心を満たすためと、娯楽のため。

 

Q.教授は元々パナソニックで働いていたそうですが、仕事で忙しい中、いつ読書をされますか?

A.やっぱり寝る前に読むかな。あとは電車とか飛行機の中みたいに移動中は読みやすいね。というか、読まないといけないから読むという訳じゃなくて、好きだから読むという面が強いかな。

 

Q.本の内容を自分のものにするために行っている活動があれば教えて下さい。

A.一つは読書メモを作ること。ワードとかエバーノートとかで、よほど印象に残った部分を選んで記録しておく。あとはアンダーラインを引いておく。アマゾンの電子ブック(Kindle)だとマーキングしたところにリマインダーできたりして便利だしね。まあ、メモとかマーキングした部分を見て、どんな内容やったっけ?ってなったら、再読するのが一番だね。

 

Q.今までに読んできた本の中で、印象に残っている本があれば、理由と共に教えて下さい。

A.中村天風の『成功の実現』という本です。私の自己啓発の源になった本で、最近、大谷翔平選手が読んでいると言っていて、さもありなんと思ったため。

 

Q.学生のうちから読んでおくべきオススメの本があれば教えて下さい。

A.授業でも言ったことあるけど、デール・カーネギーの『道は開ける』と『人を動かす』ですね。ぜひとも読んで欲しいです。

 

Q.ネットでいくらでも情報が得られる現代社会ですが、あえて本を読むことのメリットについての考えを教えて下さい。

A.何より、情報が信用できるという点です。ネットの情報は玉石混交だから、誰がなんのためにそれを作ったのか、制作意図が分からない。その分、書物は最低でも出版社のフィルターがかかるため、幾分か信用できます。私は、良い情報はタダだとは思っていません。本なんて、一冊だいたい2000円もしないくらい。安い投資です。昔の大名だって忍びとか密偵とか雇って敵の情報を得るのに多くの投資をしていたことですし。

 

【感想】

 貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

安藤徳先生は、国際ビジネス事情の講義を受けている時に、読んで欲しい本を多く紹介されており、仕事のためだけでなく、純粋に読書を楽しむ人であると思っていましたが、今回のインタビューでそのことがよく分かりました。また、知識を定着させるためにやっていることや、本を読むことのメリット等を聞き出せたのは良かったと思います。

 今回紹介していただいたデール・カーネギーの『道は開ける』は、講義中に紹介された後に既に読んでいて、就活で苦しい心が楽になったので、『人を動かす』や、中村天風の『成功の実現』も読んでみようと思いました。

 

(インタビュアー: 経営学部3生 木下裕介さん

司書教諭課程 村上 幸二先生へのインタビュー

経済学部2生 Kさんが、司書教諭課程の村上 幸二先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

 

今回、司書教諭課程の先生でいらっしゃる村上幸二先生にインタビューさせていただきます。

 

①先生の好きな本は、なんでしょうか?

私は昔からリアリティのある内容が好きで、実話にもとづいた本が好みでした。小さい頃はもっぱら伝記を読んでいました。小学生のとき読んだ『太閤記』で、秀吉の下積み時代に信長の草履を懐に入れて温めておいたというエピソードが当時は特に印象的で、いろいろな意味で人としての生き方が学べて面白いと思いました。学校の先生が教えてくれないことも本から学ぶことができるのがいいですね。

これまで読んだ本で衝撃的だったのが、これも小学生の時に読んだ次の本です。

・『ソビエト帝国の崩壊―瀕死のクマが世界であがく』(小室直樹, 光文社, 1980年)

今の若い人には意外と思われるかも知れませんが、1980年代のソ連といえばオリンピックや軍事力で最強の国というイメージがありました。当時アメリカと冷戦の状態でしたが、子どもながらに強いものに対するあこがれのようなものがあったと思います。小学生の頃ですから部分的にしか分からなかったと思いますが、とにかくソ連が崩壊するということが書かれていて、自分はすごいことを知ってしまったという感覚でした。当時、友だちにこのことを言っても誰も相手にしてくれませんでしたが、それから10年後に本当にソ連は崩壊しました。ここから本に対する畏敬の念を感じるようになったと思います。なおこの本は2022年に復刊本がでました。

児童書にも実話に近いものがあります。次の本は著者の生涯を振り返って描かれた児童書です。

・『この楽しき日々』(ローラ・インガルス・ワイルダー, 岩波書店, 2000年)

この本を読もうとしたのは偶然というか、図書館でふと手に取った本です。開いたページがちょうど主人公が教師として働く初日の様子で、その瞬間に本の世界に引き込まれました。主人公と自分自身が重なる不思議な感覚にもなりました。大人が読んでも面白いと思います。小学校の教師をしていたこともあり、教師の生き方を描いた本は特に好きです。将来教師になりたいと思っている人におすすめです。

なお先ほど「偶然」と言いましたが、もしかしたら偶然ではないかも知れません。本との出会い方については実に面白い方法があるので、これはまた後ほどお話したいと思います。

次の本も教師の本で、ノンフィクションです。2001年に文庫本も出ています。

・『リターンマッチ』(後藤正治, 文藝春秋, 1994年)

この本は定時制高校のボクシング部顧問の先生のお話です。教師をしていると様々な壁に直面することが必ずありますが、そういった壁を乗り越える力を与えてくれる本です。

 

②先生が本を読むスタイルはありますか?

次々に新しい本を読むよりも、実は同じ本の同じ箇所を繰り返し読むことが好きで、数えきれないほど読んでいる本もあります。

 

③大学生におすすめしたい本はありますか?

ずばり学術書をおすすめします。といっても安心してください。おすすめなのはその「まえがき」です。学術書の前書きには、著者が人生をかけて研究してきた、その人生が凝縮されています。内容が難しい学術書であっても、その前書きはまた別です。自分にとって敷居が高いと思う内容の本であっても、前書きが面白いものが多くあります。学術書の前書きは、ひとつの小説と言えるかもしれません。これを読むと、人生のヒントが見つかることだってあります。なお、学術書によっては「あとがき」の方が充実しているものもあります。

 

④村上幸二先生オリジナルの本の探し方は、ありますか?

とっておきの探し方があります! まず図書館などで書架に並んでいる本を眺めます。本屋さんでもやり方は同じです。とにかく心を無にして本を眺めるだけでいいのです。そうすると本の方が自分を呼んでいる感覚になるんです。まるでおすすめの本を教えてくれるような感覚です。その本を手に取ってみて、心を無にして本をパラパラっとめくります。必ずしも最初から読むとは限りません。それも本の方が、読み始めるべきページを教えてくれるような感覚です。そこから本を読み始めます。実際こうして感動する本に出合うことが多くあります。本の方が自分を呼んでくれるということで、この探し方はおすすめです。

 

⑤司書教諭の資格は取っておいた方が良いですか? 先生が考える司書教諭の魅力を教えてください。

司書教諭は本を通して、子どもたちと触れあうことができます。例えば思春期の中高生は、小学生の時と比べると先生との距離が離れてしまいがちです。しかし本の魅力は変わりません。本の内容についての共通話題もありますが、面白い本を紹介したり本の購入リクエストに応えたりした時の心の通い合いといったものもあります。本を通しての子どもたちとの関わりは大切ですね。司書教諭の資格を持っていれば必ず司書教諭になれるという保証はありませんが、資格がなければ司書教諭になることはできませんので、もちろん取っておいた方がいいです。

 

⑥先生が司書教諭をしていて良かったと感じたことは、どんな出来事ですか?

小学校に司書教諭として勤務していた時、図書委員の指導を担当していました。ある日、図書委員の一人が、絵本の内容を劇にして発表したいと提案してきました。私はできるだけ子どもたち主体の企画を生かそうと、隣の幼稚園に依頼して劇の発表会をすることになりました。使用した絵本は『そらまめくんのベッド』(なかや みわ, 福音館書店, 1999年)です。セリフはそれぞれの役の者が言うのですが、それだけではなく実際に衣裳を着て、ベッドも段ボールで作って劇に臨みました。結果は大成功です。私は細かいことは口出しせず、ほとんど子どもたち自身にまかせて要所だけアドバイスをする形をとりました。こちらが指示をしなくても、子どもたちは積極的に企画に向けて準備をしました。衣裳も自分たちで作ってきたのです。このときの経験で、子どもが好きなことを自由にさせることは子どもの可能性を広げるのだと感じました。司書教諭をしていたからこそ実感できたことです。

 

村上幸二先生、インタビューありがとうございます。

 

【感想】

私は、③おすすめの本、④村上幸二先生オリジナルの本の探し方が心に残りました。

③おすすめの本は、なんと学術書の前書き!ということで、他の先生で同じことをおっしゃる方はいないと思います。私も学術書の前書き読もうと心に決めました。まずは私が履修している授業の先生や、私のゼミの先生の学術書の前書きを読んでみようと思います。学術書の中身は難しくて分からないかもしれませんが、前書きは、ドラマを見ているようで楽しく読めるかもしれません。初めての試みですが、読んでみたいと思います。

④村上幸二先生オリジナルの本の探し方「本が自分を呼んでくれる」というのは、素敵な探し方だと思いました。リラックスした状態で、岡本駅前の本屋さんや甲南大学図書館にふらっと入る。そして本が自分を呼んでいると思ったら、その本を手に取ってみようと思いました。この探し方は今まで読んでこなかったジャンルを読むきっかけになるかもしれません。楽しみです。早速、今日から実践してみたいと思います。

他の先生にはない、村上幸二先生独自の考え方があり、インタビューをしていて楽しかったです。

村上幸二先生、ありがとうございます。

 

(インタビュアー: 経済学部2生 Kさん