藤原 和博著『本を読む人だけが手にするもの』

 経済学部 3年生 匿名希望さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名: 本を読む人だけが手にするもの
著者: 藤原 和博
出版社:日本実業出版社
出版年:2015年

私が今回おすすめする理由は、普段、読書をしない人がこの本書を読むことで、これから読書をしようかなと思わせるような本であると感じたからである。これまで、読書をする習慣のない人にはもちろん、読書をする習慣のある人にも読んでもらいたい一冊である。

今までに、「本を読みなさい」と親や先生に言われたことはないだろうか。そもそも、子供のころに親や先生にそう言われて、「なぜ、本を読まなくてならないのか」と思ったのではないだろうか。そして、そう言われつつ本を読まなかった人も大勢いるだろう。読書をする意味を見いだせなかった人に強く薦めたい。

本書を読み、特に私が興味を惹かれた部分は、幸福論と読書の関係性である。日本は戦後、一貫して右肩上がりに成長を遂げてきた。日本を成長させようと、みんなが一緒になって日本をよくしようという考えだった。それが20世紀型の成長社会が象徴する「みんな一緒」という幸福論であった。しかし、成長が止まり、成熟された社会となれば「みんな一緒」という時代から、「それぞれ一人一人」という時代に変わったのである。それぞれ一人一人が自分自身の幸福論を編集し、自分オリジナルの幸福論を持たなければならない時代になったということ。自らの幸福論を構築していくには、幸福をつかむための軸となる教養が必要であり、それは自分で獲得しなければならず、読書は幸福の追求に役立つ。読書をすることで得られることが本書には多く書かれている。

本書には、著者がおすすめする50冊の本を紹介しているが、本書を読んで、面白そうだと思えば読めばいいし、興味がないと思えば、無理に読む必要はないと私は思う。同じ本でも、人によって得られるものを違うので、おすすめされているから読むような義務感で読むのは良くないと思う。文学賞を受賞した話題の本だから読もうといったようなミーハーな気持ちでも、自らが読もうとすることが大切である。