山崎俊輔先生(スポーツ・健康科学教育研究センター)「本との出会いも『一期一会』」

☆新入生向けの図書案内
一期一会」。この言葉を私は大切にしたいと思っている。
最近、海外で柔道を指導したり、交流したりする機会が多くある。そこで出会うほとんどの人が、一日か短期間の触れ合いである。将来、私の人生の中で二度と巡り合うことができない可能性の方が多い。その対象が子供であっても大人であっても、またアフリカや欧米の人達であっても、今ある自分を精一杯出して柔道を教え、ありのままの自分を出せるように努めている。そして、その思い出やその人たちの顔や気持ちを自分の心に深く刻み込むようにしている。
「本との出会い」も「人との出会い」も大切にするという意味では同じであると思っている。
本を読むにあっても心を込めて読み、登場人物の気持ちや志、また時代や背景、作者の気持ち等を考えながら、そこから何かを学んでいきたいと思っている。
そして、そのような気持ちでいると、「以心伝心」、人との出会いと同様、素晴らしい本と出会うことができるように思う。
学生時代、柔道のみに明け暮れる日々を過ごしていたが、周りの人達の影響からか、色々な分野の本を沢山読んでいたように思う。高校時代までほとんど本を読んだことがなかった
ため、著名な小説、歴史小説、英雄,偉人伝等、手当たり次第「乱読」していた記憶がある。
今も、専門書以外は、読みたい本を読みたいと思う時に読むようにしている。
「人の出会い」「本との出会い」が、今の自分の基礎になっていることは間違いない。
スポーツや勝負の上での駆け引きや心の持ち方、また指導者として選手や学生を育成する上でも、色々と今までに学んできたことが役立っている。
人生を歩んでいく上で、「難局にぶつかったとき」「志を持って進むとき」等の色々な場面で、大切な知恵と力を与えてくれているように思う。
これからも、「良き人との出会い」「良き本との出会い」に出会えることを楽しみにしている。
そして、「素晴らしい人や本との出会い」に感謝し、素晴らしいと思うことができる自分自身の感性を日々養っていきたいと思っている。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.29 2012) より