文学部 稲田 清一先生へのインタビュー

文学部  4年生 Nさんが、文学部 稲田 清一先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  週にどれぐらいのペースで本を読まれますか。また、最近読まれたものの中で、よかったものは何でしょうか。

A. 仕事以外の本ですと、決まってはいないですが、週に1冊くらいでしょうか。年間だと大体40~50冊ぐらいだと思います。ここ最近ですと、王力雄の『セレモニー』(藤原書店、2019年)が一番面白かったです。中国共産党総書記の暗殺計画に巻き込まれた一技術者を描いたSF小説です。また、劉 慈欣のSF小説『三体』も読みました。今、アメリカや日本では、一部で中国SFブームとなっていることもあり、おすすめです。

Q. 学生の頃、どのような本を読まれていましたか。

A. 陳舜臣の探偵ものや歴史小説をおもしろく読みました。『阿片戦争』や『秘本三国志』などが印象に残っています。そのほか小説だと、1970年代の文庫のブームなどもあり、筒井康隆、野坂昭如といった作家をよく読みました。小説は昔も今も変わらず好きです。

Q. 学生に向けて、研究の際の文献の調べ方、図書館の利用法など教えていただきたいです。

A. 私自身は買う主義で、手元に置いておきたい本は基本的には買います。図書館だと、借りたいときに貸し出しになってしまっていることもあるのでそうしています。しかし、高価な本など入手が難しいものもあるので、そこは効率の問題ではないでしょうか。レファレンスは卒業論文の指導の際、よく学生に行くことを勧めています。レファレンスに質問をすることで見つかる答えがありますし、何より自身が何を知りたいのかわかっていないと人にうまく質問することができません。自分の理解のためにも、レファレンスは積極的に使っていくべきだと思います。

また学生の皆さんにぜひ勧めたいのは、相互利用で本を取り寄せられることです。甲南大学の図書館に無いからと借りるのを諦めるのはもったいないです。

Q. アジア史、中国史に触れる際、おすすめの本は何かありますか。

A. 小説ですと、先ほども紹介した『セレモニー』がいいと思います。小説以外ですと、上田信著『海と帝国:明清時代』がいいのではないでしょうか。歴史を学ぶうえで、国単位で歴史を見ることはやめたほうがいいと思うのですが、この本はその視点がよくあらわれた概説書だと思います。

感想  :   稲田先生はすでに一度インタビューを受けていらっしゃったということで、新しい質問項目を考えるのが難しかったです。しかし、先生の本に対する考えを聞くことができたのはとてもいい経験となりました。劉 慈欣の『三体』は私も買ったのにまだ読めていない本だったので、これを機に読んでみようと思います。

<稲田 清一先生おすすめの本>

劉慈欣著 ; 大森望, 光吉さくら, ワン・チャイ訳『三体』早川書房 , 2019年

陳舜臣著『阿片戦争』講談社 , 1987年

陳舜臣著『秘本三国志』講談社 , 1986年

上田信著『海と帝国 : 明清時代』講談社 , 2005年

(インタビュアー:文学部 4年 N