文学部 大西 彩子 先生へのインタビュー

文学部  4年生 Nさんが、文学部 大西 彩子 先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  本はよく読まれますか。

A.  本よりは、論文をよく読みます。社会心理学の分野は、本としてまとめられるまでに時間がかかることが多く、論文で最新の研究を知ることができるため、そうしています。しかし、ノーベル文学賞を受賞した『チェルノブイリの祈り』は言語データのようで面白く、おすすめです。また、2児の子育てをしていることもあり、最近では児童書を読む機会が増えました。大人になって改めて昔好きだった児童書を読むと、作者が子供たちになにを伝えようとしているのかを考えることができて、非常に面白いです。特に、岡田淳の『びりっかすの神さま』『ようこそ、おまけの時間に』などはおすすめです。

Q.  学生の頃、読まれた本の中で思い出深いものは何かありますか。

A.  大学時代は本に夢中で、ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』や、サッカレーの『虚栄の市』などの海外の文学作品を読みました。特に、カフカやドストエフスキーが好きで、『地下室の手記』は主人公がすごく個性的なのですが、なぜか気に入って何度も読みました。

Q.  学生に向けて、研究の際に図書館利用で何かアドバイスなどあれば教えていただきたいです。

A.  論文を検索する際、PDF化されておらず、その場で見られないからとその論文の使用をすぐに諦めてしまうのはもったいないと思います。私が大学生の頃、絶版で図書館や本屋では手に入れることができなかった本を、期待せずに入った古本屋にて偶然入手できたことがあり、その本は今でも大切にしています。簡単に手に入るものより、苦労したものの方がより大切に読めるのではないでしょうか。その場で手に入らないからと諦めてしまわず、図書館の取り寄せなどをぜひ活用してほしいと思います。

Q.  先生が、ご自身の研究分野に興味を持ったきっかけは何でしょうか。

A.  中学生の頃から周りの人間関係が気になり始め、大学で自分に合うような本を探すようになりました。自分が分かっていると思っていたことが、新しい知見によって分からなくなる瞬間が好きです。色々な本や知識と出合いながら、もっと考えたいと思ったのがきっかけかもしれません。

感想  :   最近では本をあまり読まれないとのことでしたが、自身の本に対する考えや思いを真剣に語っていただき、先生の読書への思いをうかがうことができました。

海外文学作品や、児童書といったジャンルはあまり読んだことがないので、『チェルノブイリの祈り』や岡田淳の作品はぜひ読んでみようと思います。

<大西 彩子 先生おすすめの本>

スべトラーナ・アレクシエービッチ著 ; 松本妙子訳『チェルノブイリの祈り : 未来の物語』岩波書店 , 2011年

オースティン著 ; 小尾芙佐訳『高慢と偏見』光文社 , 2011年

サッカレ著 ; 平田禿木訳『虚栄の市』国民文庫刊行会 , 1925年

ドストエフスキー著 ; 安岡治子訳『地下室の手記』光文社 , 2007年

(インタビュアー:文学部 4年 N