七月 隆文 著 『ぼくは明日、昨日のきみとデートする 』

 

法学部  1年生   建内 桃さんからのおすすめ本です。

書名 : ぼくは明日、昨日のきみとデートする
著者 : 七月 隆文 著
出版社:宝島社
出版年:2014年

 『ぼくはは明日、昨日のきみとデートする』を紹介します。
 この本は実写化しているので知っている人も多いと思います。

 私も映画を見て、もう一度ゆっくりこの物語を読みたいと思い小説を読みました。

 本のタイトルや表紙からは恋愛小説を思い浮かべると思います。もちろん恋愛小説なのですが、それだけではなくSFの要素も入っている物語です。

 美術大学に通う恋愛経験のないたかとしくんが電車で高嶺の花のえみちゃんに一目惚れし、普段だったら女の子と話すこともないのですが、えみちゃんに惹かれ、声を掛ける場面からはじまります。

 散歩に誘い、帰り際にたかとしくんがえみちゃんに「またあえる?」と聞きます。その時えみちゃんは泣き出します。その時はなぜえみちゃんが涙したのか、たかとしくんにも、読者である私にもわかりませんでした。その後たかとしくんはえみちゃんと交際することになるのですが、えみちゃんはことあるごとに涙を流します。

 ここまでの話だと普通の恋愛のように思えますが、えみちゃんには大きな秘密があります。それがえみちゃんが事あるごとに涙する理由です。
 この秘密をたかとしくんが知った時、物語は切なく大きく転換します。

 この物語はぜひ、2回読んで下さい。
 1回目に読んだ時と、えみちゃんの秘密を知った上で読んだ2回目では、180度違う物語のように感じます。1回目は純粋な恋愛物語、2回目はえみちゃんの行動全てが切なく思えてきます。

 もっとも印象に残っている場面は、冒頭の、散歩をして別れる場面です。1回目はいい感じのカップルのデートのように思えますが、2回目に読んだ時には切なく、残酷に感じると思います。物語の始まりなのにどうして切ないか疑問に思うと思いますが、2回読むことでその理由もわかります。

   最後に私のお気に入りのフレーズを紹介します。
 
   「僕たちはすれ違っていない。一つの輪になって繋がっているんだ」

   この本を読んだ後なら素敵で心に響くフレーズになると思います。
   是非読んでみてください。