三好大輔先生(フロンティアサイエンス学部)「絶対的な何か」–藤棚vol.32より

☆新入生向けの図書案内 
 「近頃の若者は、、、」皆さん、こんな言葉を耳にして憤慨したことはありませんか?一方で、「どうせ頑張ったって、、、」と思わず言ってしまうことはありませんか?私は、皆さんの倍以上の時を過ごしてきました。以前は、「近頃の若者は、、、」と言われて腹を立てていました。また最近では、「どうせ頑張ったって、、、」と、しょぼくれているような気がします。
 「こんなオヤジになりたくない!」と思った皆さんに二冊の本を紹介します。
 一冊目は、岡本太郎著の自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間” を捨てられるか (青春文庫)です。「芸術は爆発だ!」の芸術家です。著者は、20 年近く前に亡くなっています。ですが、今読み返してみても、とても納得できる言葉が記されています。私の理解は次の通りです。相対的価値観(人からどう思われるか)はどうでもいい。絶対的価値観(自分の信念)を貫き通せ。つまり、閉塞感があったり、社会が悪かったり、うまくいかない様々な理由があっても、ありのままの自分と向き合って認める。そこから己だけの道を突き進め、と言われているような気がします。
 二冊目は、植松努著のNASA より宇宙に近い町工場(ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。もしかして、この著者のTED での講演等を見た方もいるかもしれません。講演も感動的ですが、本書も感動的です。著者は、「どうせ無理」という言葉を世界から無くそう、と訴えます。周りから何を言われても、自分の目標や夢に向かって行くべきである、と仰っているように思います。
 この二冊の著者は、生い立ち、人生の目標、職業等、何一つ共通点がありません。ですが、メッセージは共通しているように思います。それは、自分の中に絶対的な何か(目標、価値観、信念等)をもつことが大切だ、ということでしょうか。
 もちろん、この著者たちは成功者ですよね。では、私たちは、そんな何かを見つけることが出来ないのでしょうか?そんなことはないはずです!これらの本を読んで、私みたいなオヤジでも、目覚めたつもりで頑張ろうと思っています。月並みな言葉ですが、皆さんのこれからの人生には無限の可能性があります。自分の大切な何かを見つけて、それと共に自分らしく進んで行きたいですね。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.32 2015) より