
知能情報学部 4年生 船本 敬人さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)
書名 : アルケミスト
著者 : パウロ・コエーリョ著 ; 山川紘矢, 山川亜希子訳
出版社:KADOKAWA
出版年:2014年
人は誰でも一度は「自分はこのままでいいのだろうか」「本当にやりたいことは何だろうか」と考えた経験があると思う。『アルケミスト』は、そのような人生の問いを難しい言葉ではなく、一人の少年の旅の物語として描いた作品である。物語形式で書かれているため読みやすく、普段あまり本を読まない人でも最後まで読み進めやすい一冊だと感じた。
本書の主人公は、羊飼いの少年サンチャゴである。彼は夢に見た「宝物」を求めて旅に出る決意をし、スペインからアフリカの砂漠へと向かう。その旅の中で王、商人、錬金術師などのさまざまな人物と出会って多くの言葉や経験を通して成長していく。物語自体はとてもシンプルでありながら運命、選択、失敗の意味などの人生に関わるテーマが随所に散りばめられている点が印象的であった。
本書で特に心に残ったのは「本当に望んでいることに正直であることの大切さ」が繰り返し描かれている点である。サンチャゴは旅の途中で何度も迷いや不安を抱くが、そのたびに自分の心の声に向き合って前に進む選択をしていく。その姿は、進路や将来について悩むことの多い大学生の姿と重なる部分が多いと感じた。また、本書では失敗や遠回りも無駄ではなく、それ自体が意味を持つ経験として描かれており「うまくいかない時間」にも価値があるという考え方は印象的であった。
『アルケミスト』は、成功の方法を具体的に教える本ではない。しかし、何かに挑戦することや自分の気持ちを信じて行動することの重要性を物語を通して静かに伝えてくれる作品である。読み終えた後には、自分自身の目標やこれから何を大切にして生きていきたいのかを自然と考えさせられた。特に、日常生活の中で見過ごしがちな小さな選択や出会いが将来につながっていくという視点は印象深く、普段の行動を振り返るきっかけにもなった。人生に迷いを感じている人や新しい一歩を踏み出すことに不安を抱いている人にとって、心に残る一冊であると感じた。
