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【第5回 甲南大学書評対決】 石黒 圭著 『文章は接続詞で決まる』

10月27日(木)に開催された第5回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

ラーニングアシスタントチーム 法学部2年 筒井 直人さんからのおすすめ本です。

書名 : 文章は接続詞で決まる
著者 : 石黒 圭
出版社: 光文社
出版年:2008年

 評論をはじめとする、長文が読めるようになりたい!!
 論文・レポート等を格段にグレードアップしたい!!
 本書は、タイトルのとおり「接続詞」について書かれた本で、早稲田大学の入試問題にも登場したことのあるロングセラーです。巻末には索引もついているので、参考書や辞書のようにも使えます。

 接続詞には、文章という言語の平面構造を立体構造に作り変える力があります。したがって、書き手は接続詞を的確に用いることで文章を論理的なものに変化させることができます。 他方、読み手は接続詞を手がかりに、文章の要旨を把握することができるのです。

 同書は、接続詞を四種十類に分け、個々の接続詞の用法についてまとめています。そこでは、似て非なる接続詞についての説明がされており、いたくおもしろいです。
 そのほかにも、「よく使う接続詞で隠れた性格がわかる」というメンタリズム的なことも書かれており、読むには値千金の本であると思われます。

ぜひとも、お読みください!!! (止まれない大学生という時間が過ぎる前に・・・)

【第5回 甲南大学書評対決】 リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット著 ; 池村千秋訳『Life shift (ライフシフト) : 100年時代の人生戦略』

10月27日(木)に開催された第5回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

ラーニングアシスタントチーム 全学共通教育センター特任准教授 武田 佳久先生からのおすすめ本です。

書名 : Life shift (ライフシフト) : 100年時代の人生戦略
著者 : リンダ・グラットン, アンドリュー・スコット著 ; 池村千秋訳
出版社: 東洋経済新報社
出版年:2016年

 先日甲南女子大学との連携講座でも紹介した書です。私が甲南大学の学生時代、将来60歳まで働き年金受給して老後を過ごすといった人生が当然のように思えました。これは世間一般の常識でもあったと思います。ところがいまは人生100年時代と言われます。

 私たち世代の多くはいままで描いていた人生設計を修正せざるを得なくなったと思います。この書は人生100年時代を想定し、またその将来に向けて備えることの大切さを語っています。
 まさに「常二備へヨ」です。

【第5回 甲南大学書評対決】 北村 良子著 『論理的思考力を鍛える33の思考実験』

10月27日(木)に開催された第5回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

ラーニングアシスタントチーム 経営学部3年  地引 愛里子さんからのおすすめ本です。

書名 : 論理的思考力を鍛える33の思考実験
著者 : 北村 良子
出版社: 彩図社
出版年:2017年

 論理的思考 (ロジカルシンキング)とは、物事を筋が通るように考え整理し、矛盾などがないように結論を導き出すことです。 この本ではそんな論理的思考力が鍛えられるような実験が簡単なイラストと共に掲載されており、読めばきっとあなたも考えることの楽しさに目覚めるはず!

 ご存じの方も多いであろうトロッコ問題をはじめとする33の実験は4つのカテゴリー「倫理観を揺さぶる思考実験」「矛盾が絡みつくパラドックス」「数字と現実の不一致を味わう思考実験」「不条理な世の中を生き抜くための思考実験」に分けられています。どの実験でも自分が今までに得た知識や集中力が試されるので、脳を鍛えながらも改めて自分を見つめるきっかけにもなるかもしれません。

 私はこの本を父から譲り受けました。親子喧嘩中の父の意見はいつでも筋が通っていて、私が反論しても全て論破されるのがとても悔しかったです。そんな時何も言わずに父からこの本を差し出され読み進めていくと、自分がいかに結論以外見ていない隙だらけの思考をしていたかに気付かされました。自信家だった私には結構大きなショックです。 その後何度もこの本を読み、今ではようやく父と同じ土俵で戦うことができるようになりました。他にも、論理的思考はゼミでの研究やレポートを書くときに必ず役立つし、説得力が加わることで意見や文章の質がぐっと上がると思います。良い子の皆さんはこの本で鍛えられる論理的思考力を親への口答えに使わず、これから先のビジネスシーンなどでぜひ役立ててください。

【第5回 甲南大学書評対決】 稲盛 和夫著 『心を高める、経営を伸ばす : 素晴らしい人生をおくるために』

10月27日(木)に開催された第5回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

ラーニングアシスタントチーム 全学共通教育センター特任准教授 武田 佳久先生からのおすすめ本です。

書名 : 心を高める、経営を伸ばす : 素晴らしい人生をおくるために
著者 : 稲盛 和夫
出版社: PHP研究所
出版年:2004年

 平生の教えを現代に体現する著名な経営者。 私が稲盛和夫氏に抱くイメージです。 残念ながら去る8月24日に永眠されました。

 この書は著者の言葉を通して利他主義とは何かを語っています。利他主義とは利己主義の対義語で、自己の利益よりも他者の利益を優先する考え方です。この書は稲盛氏の言葉を借りて平生の考えを現代の言葉でわかりやすく知ることができる良書だと思います。社会に出て多くの人と関わる前にぜひ読んでほしい1冊です。

【第5回 甲南大学書評対決】 村田 沙耶香著 『コンビニ人間』

10月27日(木)に開催された第5回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

ラーニングアシスタントチーム 経済学部2年 松田 小鳥さんからのおすすめ本です。

書名 : コンビニ人間
著者 : 北村 良子
出版社: 文藝春秋
出版年:2016年

 皆さんの考える「普通」とは何ですか?
 この本の主人公、 古倉恵子は36歳の独身女性。 小さい頃から少し周りと違うといわれていた恵子は、これまで彼氏がいたことがなければ、就職もせず、コンビニのアルバイト歴は18年目。現代の言葉を使えば社会不適合とも呼ばれるような、社会にあまり馴染めていない女性です。この本では、そんな主人公が葛藤しながらも自分の生きる世界を見つけていくという物語です。

 私はこの本を読み、「普通」とは何なのだろうということを改めて考えさせられました。
現代社会における私たちは、人と同じような生き方をすることが「社会の普通」となっているように感じます。 しかし、一人一人考え方や感じ方は違い、生き方に正解なんてない。 自分の人生は人に決められるものではなく、自分自信が好きな道を胸を張って生きていけばいいのだと背中を押してくれる作品です。

 皆さんも是非この本を読み、自分の生きる道を探してみてください。

[藤棚ONLINE]知能情報学部・田中雅博先生 コラム「私の本棚」

図書館報『藤棚ONLINE』
知能情報学部・田中雅博先生 コラム 「私の本棚」

 23年前に甲南大学に赴任したしばらく後から、通勤の便利さのためにマンションに住むようになってから、自宅であまり本を増やすことができなくなりました。マンションを買うときに、私の使う部屋の壁一面に本棚を作りつけてもらいましたが、それも大したキャパシティではなく、さらに、あろうことか、妻は断捨離の番組を見るのが趣味で、ことある毎に私に「本を断捨離しろ」と言ってうるさいのも災いしています。

 文系には、自宅で主に仕事をしている先生もおられると思いますので、はっきりさせておくと、ここで言っている「本」とは、通勤の電車の中などで読む、隙間時間用の娯楽のためのものです。研究室にはもちろん大量の本が入る棚がありますが、そこには研究関係の専門書やファイル、コンピュータ関連の消耗図書がひしめいていますので、私の私物が入る余地はほとんどありません。かくして私は自宅に、幅80cmの棚が二十段ほどある作り付けの本棚に入るだけの本しか溜めることができないのです。ちなみに、私は夏休みであっても大学に来て仕事をしていますので、基本的に家には仕事関係の本はほとんど置きません。

保久良神社
保久良神社(神戸市東灘区本山町―撮影:田中先生)

 本が好きな人はたくさんいて(私も大の本のファン!)、中には立花隆のように、本は自分の脳の一部のようなものであって、建物全部書架で、どこにどんな本があるか覚えていて、必要とあればすぐに本を調べるというタイプの人がありますが、私は断捨離好きの妻による洗脳のせいか、数年開くことがない本は結局読まない本だからいらないという考えを一応理解しています。目が衰えてきた今、本を精力的に読むことができる残り時間はそんなに長くないということも感じています。学生時代から持ち続けていた、色の変わり果てた何冊かの教科書は、ここ数年でほぼすべて捨てました。

 私は、本を買うのが好きで、毎週のように近所の大型書店に行っては、本を購入します。最近コロナ渦で少しペースが落ちましたが、やはり書店に行っています。そこで、私は、まずは新書か文庫本を狙います。これは安いということ以外に、棚を低く設定できていいということと、厚みも薄いという利点もあるからです。そして、もう読むことはないと思う本から処分します。買い足す量と処分する量が均衡していますから、一定の本棚ですんでいるわけです。

 購入に際しては、大きくは、著者の名前を見つけたら買う本と、中をめくってみて買う本があります。前者の例としては、林望、藤原正彦、立花隆、内田樹、中島義道、養老孟司、向田邦子、夏目漱石、内田百閒、池波正太郎、福岡伸一、伊藤亜紗、森博嗣、飯間浩明などがあり、自分が熱狂しているときは、新刊が出ればすぐに買いました。

 処分するほうは、ハウツーものから断捨離の対象となりました。サンデル教授のものも、私は早く飽きてしまいましたので、一度読んだら処分の対象となりました。数多く出ている「スタンフォードもの」もそうです。買ってはみたけども、全然価値が見いだせなかった本も、あっという間に本棚から消える運命にあります(あえて著者の名前は出しませんが)。

 いま本棚に残っている本は、文章の書き方に関する本(これはハウツーものとは思っていません)、哲学的なもの(再度読みたくなります)、人工知能(これは、土日に持ち帰り仕事をするためにやむなく)、そして、最も多いのはまだ読むことがあると思うばらばらの本です。すでに見切り処分した本は買ったのが無駄だったということではなく、頭に入りやすいので一度読んだらもういらないという判断をしたものです。こういう本こそ、借りて読むべきだったのでしょう。そして、まだ読んでいないが、これからいつか読むつもりという本はほとんど単行本です。私のルールでは廃棄対象なのですが、立派な装丁と高い価格が幸い(か災いか)して、捨てきれません。こうやって、いま本棚に乗っている本は、フィルタをかけて残った、自分にとって価値のある本と、良いか悪いか判断できていない本ということになります。

田中先生の本棚
田中先生の本棚。

 ちなみに、実家に帰ったら、中学、高校時代に買った、明治、大正頃の文芸作家やロシアの文豪などの文庫本がたくさんありましたが、残念ながら、紙が色あせて到底読める状態ではなかったので、全部捨てました。

 ブログ読者の皆さんには何の役にも立たない記事になってしまったかもしれませんが、役にも立たない本を読むということも、脳内ホルモンの分泌をよくすることに貢献するかもしれません(何の根拠もありませんが)。ぜひお試しを。