月別アーカイブ: 2015年4月

杉村芳美(経済学部) ほか執筆 『次の本へ』

<教員自著紹介>
 学生のみなさんには、読書の習慣をぜひ身に付けてほしいと思います。読む量は多くなくても、いつもそばに本がある、いま読んでいる本がある、そして次に読みたい本がある、というのがふつうになるように。それには、「次の本」をどう見つけていくのかが大切になります。この書物には、自分の読書をつないでいくヒントになる、84人の「本から本へ」が詰まっています。
 
■『次の本へ』 杉村芳美[ほか執筆] 苦楽堂編 2014年10月
■請求記号 019.04//2005
■配架場所 図書館1階開架一般、フロンティアサイエンス
■著者所属 経済学部 教授 
■杉村先生からのお薦め本
『ウェブ時代をゆく』(梅田望夫著、ちくま新書)
  『次の本へ』で取り上げた本です。新しい時代の勤勉像が描かれています。
 

三好大輔先生(フロンティアサイエンス学部)「絶対的な何か」–藤棚vol.32より

☆新入生向けの図書案内 
 「近頃の若者は、、、」皆さん、こんな言葉を耳にして憤慨したことはありませんか?一方で、「どうせ頑張ったって、、、」と思わず言ってしまうことはありませんか?私は、皆さんの倍以上の時を過ごしてきました。以前は、「近頃の若者は、、、」と言われて腹を立てていました。また最近では、「どうせ頑張ったって、、、」と、しょぼくれているような気がします。
 「こんなオヤジになりたくない!」と思った皆さんに二冊の本を紹介します。
 一冊目は、岡本太郎著の自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間” を捨てられるか (青春文庫)です。「芸術は爆発だ!」の芸術家です。著者は、20 年近く前に亡くなっています。ですが、今読み返してみても、とても納得できる言葉が記されています。私の理解は次の通りです。相対的価値観(人からどう思われるか)はどうでもいい。絶対的価値観(自分の信念)を貫き通せ。つまり、閉塞感があったり、社会が悪かったり、うまくいかない様々な理由があっても、ありのままの自分と向き合って認める。そこから己だけの道を突き進め、と言われているような気がします。
 二冊目は、植松努著のNASA より宇宙に近い町工場(ディスカヴァー・トゥエンティワン)です。もしかして、この著者のTED での講演等を見た方もいるかもしれません。講演も感動的ですが、本書も感動的です。著者は、「どうせ無理」という言葉を世界から無くそう、と訴えます。周りから何を言われても、自分の目標や夢に向かって行くべきである、と仰っているように思います。
 この二冊の著者は、生い立ち、人生の目標、職業等、何一つ共通点がありません。ですが、メッセージは共通しているように思います。それは、自分の中に絶対的な何か(目標、価値観、信念等)をもつことが大切だ、ということでしょうか。
 もちろん、この著者たちは成功者ですよね。では、私たちは、そんな何かを見つけることが出来ないのでしょうか?そんなことはないはずです!これらの本を読んで、私みたいなオヤジでも、目覚めたつもりで頑張ろうと思っています。月並みな言葉ですが、皆さんのこれからの人生には無限の可能性があります。自分の大切な何かを見つけて、それと共に自分らしく進んで行きたいですね。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.32 2015) より

佐伯邦夫先生(マネジメント創学部)「組織を率いる、戦略を仕事とするならば推薦するこの一冊」–藤棚vol.32より

☆新入生向けの図書案内 
 私の父は、既に亡くなりましたが、陸軍士官学校卒業、戦争が終わるまでは職業軍人でした。私が生まれる前で、生前あまり父も積極的に語る事はなかった。大学に入り、少し父と同じ本を読み、同じ思索が出来ないか、或いは父と共有できるものはないかと思い、士官学校時代勉強になった本はないかと尋ねると、「クラウゼヴィッツ著の戦争論だ」とニヤッと笑った。何、まだ軍隊を引き摺っているの?と言うと、これは経営の原点としても通用する。お前も読むと良い。確か岩波文庫だったと思う。翻訳も複雑で、すっと読めない。ドイツの特徴であろう論理の几帳面さ、使われた言葉の硬質さ、難解だった。
 米国大学院留学前はJerome D. Salinger, のThe Catcher in the Rye、Kurt Vonnegut(カート・ヴォネガット)のモンキーハウスへようこそ、ハイアニスポートなど、雑誌The NewYorker に掲載される短編的、いかにもアメリカ的、都会的文章を読んでいた。当時の読解力では分厚い小説は難しく、ショートストーリーは助かった。
 戦争論はMBAを卒業し、NYで働き始めた際何冊かの本と共に、時間がある時読み直した。著者のクラウゼヴィッツ(Carl PhillipGottfried von Clausewitz:1780 - 1831)はプロイセンの軍人。戦争の研究に没頭し、政治、軍事政策の中枢でプロイセンのために働き、軍事教育者としても有名になった。「戦争論」の執筆途中で病いにたおれ、51歳でこの世を去った。
 「戦争論」が有名なのは、近代戦争を体系的に研究した最初の著作であり、戦略だけでなく、戦争と政治の関わりを包括的、体系的に論述しており、軍事戦略、政治学、そして経営戦略を学ぶ者にとって基本書とされている。科学的な分析方法(彼自身は「戦争は科学ではない」と言い切っているが)や哲学的手法をつかい、戦争研究を学問として確立させたという点で、それまでの戦術・兵法書と大きく異なる。そこでは勝つ事よりも負けない事を優先、そして補給線(兵站)の確保を強調している。ビジネスにも大切な点である。難解だが一読に値する。薦めます。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.32 2015) より

灘本明代先生(知能情報学部)「専門に関係するいろいろな本を読んでみよう。」–藤棚vol.32より

☆新入生向けの図書案内 
 みなさん、高校と比べて大学は教科数が多く、それに伴い教科書もたくさんあり、驚きませんでしたか?
 教科書をぺらぺらとめくると難しい事がたくさん書かれていてびっくりされたかもしれません。
 1年生のうちは様々な一般教養を学んで行きますが、徐々に学部毎の専門教科の授業が増えてきて、卒業するころには様々な専門知識を習得することが出来るかと思います。専門に関する事は授業で先生方が教えて下さいますが、それに付随した様々な知識を自ら習得することも心がけて下さい。
 この時、みなさんはインターネットを用いて知識を習得することが多いかと思いますが、是非一度図書館に行って本棚を見てみて下さい。
 図書館は学部毎に本棚があり、専門書やそれに付随する本がたくさんあります。難しそうな専門書の隣には、皆さんにとって興味深い本があるかもしれません。そして是非、隣の本棚も見てみて下さい。意外と興味深い本がたくさんあるかと思います。知識の宝を是非図書館で発見して下さい。
 例えば、コンピュータの授業を受けているときに、スティーブ・ジョブスやビル・ゲイツ等のコンピュータに関する人々の伝記本を読んでみると、新たな発見があったり、コンピュータが身近に感じることが出来ると思います。科学者の伝記本も同様におもしろいです。松下幸之助や本田宗一郎等の著名な経営者の伝記本もたくさんあります。もちろん歴史上の人物の本や、政治家の本等、様々な伝記本があります。
 「伝記なんて小学生の時読んだよ。」と言わずに、大学生になってから、自分の専門や様々な人々の伝記本をよまれると、授業が身近な物になると思います。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.32 2015) より

伊東浩司先生(スポーツ・健康科学教育研究センター)「想像の翼をひろげよう」–藤棚vol.32より

☆新入生向けの図書案内 
 新入生の皆さん、大学入学おめでとうございます。大学生活は、授業はもちろん、課外活動やサークルなど皆さんにとって新しい生活が待っています。それと同時に、多くの自由な時間を得ることが出来ます。今は、ネットから多くの情報を得られる時代ですが、少し時間が出来た時には, 本を読んでみてはいかがでしょうか。
 私の専門は、スポーツ(陸上競技)です。スポーツの世界で成功する人は、知らないこと・出来ないことを理解してから物事に取り組む人だと言われています。そのスポーツに関する本には、本格的に競技を取り組む現場で必要とされている最先端の情報が書かれているスポーツ医科学の専門書から、初めてスポーツに取り組もうとしている人むけの入門書まで幅広くあります。また、スポーツビジネスやスポーツ心理学など、学部で学ぶ内容ともリンクするものも多くあります。もちろん、そのようなジャンルの本を読むことも大切だと思いますが、私自身がお勧めするのが、オリンピックなどで金メダルをとった選手やチームなどが書かれている本です。なぜ、勧めるかというと、そこには、我々が想像することが出来ない練習や人間ドラマ、そして、人としての成長過程が詳しく書かれていることが多くあります。近年の本になると最先端の医科学などの取り組みが書かれていて大変興味深いものもありますが、少し時代を過去に遡ったものになると、スポーツ医科学が進んでおらず、人としての頑張り(根性)や発想などが多く書かれています。とんでもない発想が、今の最先端の取り組みと似ていることや今、当たり前にスポーツの現場で行われていることの出発点はここだったのかなど、驚いたり、勉強になることが多く、読んでいて楽しくなっていきます。
 昨年(2014 年)秋まで放送されていたNHK連続テレビ小説「花子とアン」の番組内でのフレーズになりますが、本を読むことで想像の翼をどんどんひろげて、立派な甲南生になって行って欲しいと思います。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.32 2015) より

KIRK Stanley Arthur先生(国際言語文化センター)「Reading for Enjoyment in English: Some Hints」–藤棚vol.32より

☆新入生向けの図書案内 
 Have you ever tried to read a book inEnglish, but it took too much time and yougave up? Maybe the answer to your problemis reading for enjoyment instead of justreading to study. Many books have been rewrittenin easier English for language learners.These books are called‘ graded readers’, andyou probably read a few of them in your firstyearEnglish class. Reading graded readersis one good, low-stress way to continue yourEnglish study outside of the classroom. Hereare some hints that will help:
 Hint 1: Choose a book that is not too difficult.First, you should find a book that is writtenat a suitable level for you. To do this, read 2or three pages of a book, and count the wordsthat you do not know. If there is an average of2 or 3 new words on each page, the difficultylevel is suitable for you. If there are more than2 or 3 new words per page, the book is toodifficult. Put it back on the shelf and choose aneasier one.
 Hint 2: Choose a book that suits yourinterests. For example, how about a bookabout a famous person you like, or a story thatyou already enjoyed reading in Japanese, or abook about one of your favorite movies? If youalready know about the topic and you like it, itwill be more interesting (and easier!) to readabout it in English.
 Hint 3: Read when your mind is most alert:Some people can concentrate on readingbetter in the morning, but others concentratebetter at night. I like to read in the morningbecause that is when my mind is fresh, butyou might be a ‘night person.’ You need tofind the time that is best for you.
 Hint 4: Find the most suitable environmentfor reading: The best place to read alsodepends on each person’s preference. Ilike to read in a quiet coffee shop with softbackground music, but some people like toread on the train. Others prefer to read alonein their room.
Hint 5: Share your reading with a friend.Meet regularly with friend who also likes toread, and talk together about your reading,sharing your reactions and opinions. This willmake reading in English even more enjoyableand will motivate you to read more!
 Please try!
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.32 2015) より