月別アーカイブ: 2017年12月

古川治 (教職教育センター) 『深い学びのために : アクティブ・ラーニングの目指すもの 』

深い学びのために

<教員自著紹介>
2020年から学校で実施される新しい教育課程では、高等教育の影響を受けてアクティブ・ラーニングという、生徒が「主体的で対話的で深い学び」が可能になる学習方法が求められている。しかし、学校の学習活動では「アクティブ」はあるが「深いラーニング」がないという現象も生起している。
『教育フォーラム』60号の本書の巻頭論文は、アクティブ・ラーニングを授業に取り入れながら、学習結果として「「深いラーニング」をいかに実現するかについて、理論的、実践的に指針を指し示すものである。

■『深い学びのために : アクティブ・ラーニングの目指すもの
■梶田叡一責任編集 金子書房,2017年8月
  古川先生は、「アクティブ・ラーニングにおける<深い学び>とは」 を執筆されました。
■請求記号 370.5/60/2001
■配架場所 図書館1F 教員著作
■著者所属 教職教育センター 特任教授

古川治著 (教職教育センター) 『ブルームと梶田理論に学ぶ』

ブルームと梶田理論に学ぶ

<教員自著紹介>
1970年代、日本の教育は「落ちこぼれ」という学力低下問題に直面していた。1973年、梶田叡一博士(当時国立教育研究所)らは、「すべての子どもたちが、十分時間をかけ、授業途中に、その都度評価(形成的評価)をして、つまずいた子どもには補充学習を施してやれば、どの子も学習を習得できるというアメリカのB.ブルーム(シカゴ大学教授)のマスタリーラーニング(完全習得学習)の理論や学習方法や評価方法を日本に紹介し、わが国では広くその実践が広まった。
本書、戦後の相対評価から現在の到達度評価への改善とその中心的役割を担ってきたブルーム理論とそれを発展させた梶田理論の定着・発展について分析、解明したものである。

■『ブルームと梶田理論に学ぶ
■古川治 ミネルヴァ書房,2017年3月
■請求記号 371.7//2032
■配架場所 図書館1F 教員著作
■著者所属 教職教育センター 特任教授

紺野キリフキ 『ツクツク図書館』

  文学部 1年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

ダ・ヴィンチブックス<br> ツクツク図書館

書名:ツクツク図書館
著者:紺野キリフキ
出版社:メディアファクトリー
出版年:2008年

 学校の図書館で、なんとなく手に取って、初めて借りた本。とても私の好きなタイプの書き方、描き方、雰囲気で、物語の中に一気に引きこまれた。読んだ後も、しばらく引きこまれたままだった。ぜひともいろいろな人にオススメしたい一冊である。

 町のはずれにある「ツクツク図書館」。ある日、とても寒がりの着ぶくれた女が一人、「職員募集」の張り紙をみて、ツクツク図書館にやってくる。仕事内容は、なんと本を読むだけ。女は、雇われることになる。しかし、女は真面目に働かない。なにせ、この図書館には、つまらない本しかないのだ。ツクツク図書館には、「魅惑的な一文から始まる小説の部屋」や「子どもにはまだ早い部屋」など、様々な部屋がある。しかし、どの部屋にも、あるのはつまらない本ばかり。だが、あるとき、一緒に働いている戻し屋ちゃんから「伝説の本」の話を聞く。伝説の本を探そうと、夜の図書館に忍び込む二人だったが、そこで思わぬ事件を引き起こしてしまう。

 不思議な世界観のこの本。しかし、登場人物の姿をありありと思い浮かべることが出来る。現実的だけど、現実にはないような、だけど日常の一部を切り取ったような、そんなお話なのである。登場人物たちの雰囲気も独特で、とても魅力的だ。人だけでなく、猫もまた、重要なこのお話の一員なのだ。

 この本を読んで印象に残ったフレーズがある。「猫は言葉を覚える代わりに、記憶を失った。」というフレーズだ。着ぶくれた女に飼われている猫のギィは、前の飼い主が書いた本を読むために、辞書のことばを覚えた。だが、飼い主と別れてしまった理由や飼い主が好きだった「ニャア」という鳴き声も忘れてしまう。それでも、猫は本を読み続ける。いつか、飼い主が書いた本に出会うために。

 

 

有栖川有栖 『 幻坂 』

  文学部 1年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

幽books<br> 幻坂

書名:幻坂
著者:有栖川有栖
出版社:メディアファクトリー
出版年:2013年

 

 私が有栖川有栖さんの作品と出会ったきっかけは、ドラマ「火村英生の推理」を見たことだ。もともと推理小説が好きだった私と妹は、有栖川有栖さんの作品にどっぷりとはまっていく。ドラマは、キャストも良く、非常に楽しんでみることができた。見ていた人も多いだろう。ドラマを見ていた人にも、ぜひ一度原作を読んでみてほしい。まるでドラマを見ているかのように、本の中に引きこまれることだろう。

 ところで、この本は、実は火村英生シリーズではない。今回は、火村英生シリーズ以外の本の中で、私が好きな作品を紹介する。この本には、大阪にある坂にまつわるお話が収められている。ゾクッとするような怖いお話から、涙がこぼれてしまうほど感動するお話もある。もちろん、クスッと笑ってしまうようなお話も。

 私がこの本の中のお話で一番好きなお話は、「真言坂」だ。主人公がストーカー被害に困っているとき、相談に乗ってくれた男性。しかし、その男性はストーカーが主人公の女性の家にいたところに出くわしてしまう。男性がストーカーをとがめたところ、相手はナイフを取り出し、男性は刺されて、亡くなってしまう。だが、亡くなってからも、男性は女性を見守る。

 「真言坂」の主人公の女性は、翻訳の仕事をしており、「I’ll leave if you want」という言葉を訳すのに行き詰まる。男性が亡くなってしまってから、何年も後、結婚することになった主人公は、結婚相手と一緒に真言坂を訪れる。そこに男性が現れ、それが最後となった。男性は去るときに、穏やかにこう告げる。「俺、行くわな。」

 「真言坂」を読んで、私はこころが穏やかになった。このお話を読んだのは、私が受験生だったころだ。大学受験を控えていても、本を読むことはやめられなかった。だが、その時期にこの本と出会って、読んでよかったと思っている。

ダン・ブラウン 『ダ・ヴィンチ・コード 』

  文学部 1年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

ダ・ヴィンチ・コード〈上〉ダ・ヴィンチ・コード〈下〉

書名:ダ・ヴィンチ・コード 
著者:ダン・ブラウン
出版社:角川書店
出版年:2004年

 

 ルーブル美術館館長ジャック・ソニエールが死に際に残したメッセージから物語は始まっていく。大学教授であり、宗教・美術研究家のロバート・ラングドンは、フランス司法警察から、宗教象徴学者の立場から、事件に対するラングドンの見解を聞きたいと協力の要請を受ける。しかし、フランス司法警察は、ソニエールと会う約束をしていたラングドンを容疑者として疑っていた。そこに、ソニエールの孫である暗号解読捜査官ソフィー・ヌヴーが現れる。ソフィーは、ラングドンに、容疑者として疑われており、逮捕される可能性のある、危険な状況にあることを伝える。ソフィーはラングドンの協力を得るため、彼の脱出を手伝い、二人ともフランス司法警察に追われる立場となってしまう。ラングドンとソフィーは、ソニエールが残した暗号とその謎にまつわる様々な人物たちに翻弄されていく。

 私はもともと絵画に興味があったが、近代の絵画が興味の中心だったので、この本は、中世画、宗教画に興味を持つきっかけを与えてくれた。

 この本を私が読もうと思ったきっかけは、映画「ダ・ヴィンチ・コード」を見て、非常に面白いと思ったからだ。本を読んでみると、あることが分かった。映画と本では、少しずつ内容が違い、それぞれでしか楽しむことができない部分があるのだ。映画を見たことがある人も、ぜひ一度読んでいただきたい。きっと新しい発見があるだろう。

 この本を読んで、印象に残った言葉がある。「人は結局、何を守るか、何を信じるか」というソフィー・ヌヴーの言葉である。真相の全貌が明らかになり、最後の真実にたどり着く前のセリフ。とても大きく、大切な真実は、隠されているようで、実は身の回りにあふれている。表面を信じるか、中身を信じ、守るかは、自分次第である。そう感じさせられた言葉だ。