望月麻衣著 『満月珈琲店の星詠み』

 

 

法学部 2年生 Iさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 満月珈琲店の星詠み
著者 : 望月麻衣著 ; 桜田千尋画

出版社:文藝春秋
出版年:2020

この物語は桜田千尋という方の『満月珈琲店』というイラスト集にインスピレーションを受けて書き下ろされた小説という珍しい特徴がある。そのため作中に出てくるメニューもフルカラーイラストで見る事ができ、より一層物語に没入することができる。皆さんぜひ満月珈琲店で調べてみてほしい。とても綺麗でかつ気分が落ち着く優しいイラストが見られる。

満月の夜限定で色んな場所に気まぐれに現れるという、喫茶店「満月珈琲店」では、直立歩行の巨大な猫のマスターと店員が働いており、それぞれのお客さんにぴったりな極上のスイーツとドリンクでお客さんをもてなす。そんな店に導かれた様々な人々の視点で物語が紡がれていく。スランプに陥ってしまったシナリオライターや不倫しそうになったディレクター、恋する実業家など幅広い。しかしそれぞれに共通点がありリンクしていく。彼らの共通点は何で、どうしてこの店に導かれたのか是非読んでみてほしい。

この話のモチーフの一つに占星術がある。そもそも作者さんが占星術を信じ、それに従って行動する人であり、本作では西洋占星術講師の監修も入っているため、作中で猫のマスターが占星術を行うが、その内容はとても本格的で面白い。占星術という言葉は知っていてもその内容など全く知らなかったので、理解が少し難しかったが非常に興味深くおもしろかった。特に作中の「四千年前の人間も現代の人間も、知識量に差に差はあっても、創造性や思考力に差があるわけではない。当時の人はそれを占星術に注ぎ込んだのです。それは占いではなく、学問つまり科学でした。」という会話は今までの自分の偏見が変わる物だった。占星術や神学や蘭学など当時の最先端の学問もリスペクトすべきだと思った。

またクラシック音楽もこの物語のキーの一つで、様々な名曲が出てくる。「愛のあいさつ」や「悲愴」などでこれを機に聞いてみるとより物語の中に入って登場人物の心情がわかるような気分になれた。心が休まる時間となるので疲れた時に是非読んでほしい。