古田清和先生(共通教育センター)「紙の本と電子書籍」

☆新入生向けの図書案内
 大学入学前に、本を読む場合は多くは教科書類・文庫・漫画であろう。日常生活での情報については、ネット上に溢れている情報をスマホやパソコンで簡単に入手していたのではないだろうか。
 大学では学びの中で様々な情報を入手する必要が出てくる。1年生が選択する共通基礎演習の学生も課題の作成過程ではほとんど本・文献によることなく、ネット検索やHP にアクセスして得た情報を議論し加工している。これらの学び方も一つの方法としてはありうるだろう。では大学生の日常に本は関係してこないのだろうか。ここでは、紙の本と電子書籍について学習・資格・趣味に分けて考えてみる。
 文献としての本には、誰が(著者)いつ(出版年月日)どこで(出版社)出したものかが明示され責任の所在が明確である。基本文献や参考文献は本から入手し理解することが多い。レポートの提出にあたり引用・参考文献を明示するのは当然である。ただ最近は電子ジャーナル化しているものも利用可能である。一方、ネット上の情報は、誰が・いつ・どこで、出したものか明示されていないものも多数あり、その場合、情報の信憑性に疑義が残り、利用にあたっては十分に注意する必要がある。
 資格試験(例えば日商簿記検定・税理士・公認会計士)の取得を目指す場合は、紙のテキストが中心であり電子化されたテキストでは使いにくいのではないだろうか?講義はウェブ上で行われることも多いが、本番の試験は答案用紙に記述するので、紙のテキストに書き込んで使い込む必要があるだろう。
 一方、小説や漫画はどうであろうか、最近では、紙の本と電子書籍の同時発売や、中には電子書籍が先行するものもある。電子書籍はスマホやタブレットで読める手軽さと、例えば文庫本5冊とタブレットの中にある5冊では持ち運び等を考えるとスペースをとらないという大きな利点がある。
 大学では、本に接する機会は増えるが、TPO に応じて情報の内容種類を選択し、有意義な学生生活を送ってもらいたい。

甲南大学図書館報「藤棚」(Vol.35 2018) より