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[藤棚ONLINE] 理工学部・須佐先生推薦本 『宇宙はなぜこんなにうまくできているのか』

図書館報『藤棚ONLINE』
須佐 元 先生(理工学部) 推薦

 「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」という問いを発すること、あるいはこの事実に感嘆を覚えることができれば物理学の面白さの一端を掴んだ、ということになると思います。著者は極めて優れた素粒子物理学者・宇宙論学者ですが、可能な限り平易な言葉で物理学の面白さ、もっというとこの世界の不思議な調和について述べています。

 我々の住む宇宙は人類が住むのに適したように、とても微妙に調整されています。様々な物理定数、例えばクオークの質量が少し違うだけで、この世界は似ても似つかないものになってしまいますし、宇宙が膨張する速度と「ダークエネルギー」の大きさとは不自然とも思える調整が行われ、宇宙に銀河や星、ひいては生命が誕生するのに適した環境が実現されています。そしてこの「不思議さ」は、それをよりシンプルな理論によって説明し、解消しようとする新たな研究の原動力となります。

 この本では「自然科学の理論」についての考え方がそこかしこで語られています。
 自然科学の理論の本質は、複雑な自然現象の中に法則を見出しそれを説明することにあります。
 「自然界の原理や法則は、よりシンプルなほうが説得力がある。説明が複雑になればなるほど、そこには何か無理があるように思えてしまいます。」というくだりにあるように、できるだけ少ない法則によってシンプルに物事が説明できることがより良い理論の指標とされ、人はしばしばそこに美を見出し、深遠な宇宙の調和を感じることができます。
 理系の人にとってはもちろんですが、文系の学生の皆さんにとっても読みやすく親しみ易い文章で書かれている良書です。
 理論物理学や宇宙物理学について知りたいと思っている方にぜひ手にとっていただきたいと思います。


オープンキャンパス開催

 2019年8月4日、オープンキャンパスが実施されました。何千名も来場者があるこのイベント、図書館にも1000人を超える見学者が来場されました。
 3回実施された図書館見学ツアーにもたくさん集まってくださいました。写真はKONANライブラリサーティフィケイトにエントリーしている学生ボランティアによるツアーの様子。しっかり案内してくれてとても助かりました、ありがとうございました!
 本当に暑い中、たくさんのご来場ありがとうございました。
 なお、夏休み中の開館日は高校生の方も利用していただけますので、オープンキャンパス以外でも受験勉強などでぜひ利用してもらえればと思います。詳細は図書館HPをご覧ください。


[藤棚ONLINE] 文学部・川口先生推薦本 『Re:ゼロから始める異世界生活』

図書館報『藤棚ONLINE』
川口茂雄 先生(文学部) 推薦

書名:Re:ゼロから始める異世界生活
著者:長月達平
出版社:KADOKAWA
出版年:2014年~

 情報とモノがあふれているウェブ以後時代、スマホ時代。どの商品を買えばいいのか、その商品にどういった価値があるのか、なかなかわからない、と感じる人が少なくない。口コミ、ユーザーレビューに頼るか? いやいや、ユーザーレビューなんて誰が書いているかもわかったものではない。では、なにか賞を受賞したモノなら良いモノだろうと判断するか?
 日本()の小説、特に芸術的に高い価値がある小説はどれだろうか。小説の価値の基準などというものは、他の芸術ジャンルでも同様だが、やはり単純に明確ではない。
 芥川賞を受賞している小説なら特に読む値打ちがありそう、だろうか。しかし、お笑い芸人のような人やテレビコメンテーターのような人が唐突に書いたものが候補作に選ばれたり、さらには受賞したりする様子を見て、この賞の価値を疑問視する見方が強まっていると言う人もいる。他方で、紙の本が売れなくなってきているスマホ時代にはそうした話題性も大事なのだ、大目に見てあげようではないか、という(大人の?)意見もあるかもしれない。たしかに。
 しかし、そうした最近の状況を度外視しても、考えてみればずっと何十年も前から、賞をめぐっては色々あったのだ。1935年の第一回芥川賞で太宰治が受賞しなかったこと、およびそれをめぐる経緯は、よく知られたものである。当時選考委員にはあの川端康成もいた。それから1979年・80年には村上春樹が候補に挙げられ、一定の評価を受けはしたが、結局二度とも受賞を逃している。事後的に今日の観点からすればなのであまり偉そうに言ってはいけないが、ともかくも、よりによって太宰と村上春樹という相当な水準の書き手の作品価値を見定められなかったというこれらエピソードは、賞の存在意義を高めるエピソードだったとは一般にみなされていないように思われる。(他方で芸術においては、あるいは芸術に限らず、何かを受賞しなかったことをむしろ名誉とするという反骨精神的な観点も時に見出される。若くして認められ賞なりを受ける者は一つ上の世代の価値観に迎合した側面があり、したがってそうした者は真に独創的ではなく、少し時を経たのち成熟期を迎えることなく早くに創造性の枯渇にいたらざるをえない……とするような。) このようなわけなので、やはり、そもそも個々の賞にどのくらいの意義があるかどうかについても、読者・消費者は結局そのつど自分で手間をかけて、みずから読み、自分なりの考えや判断を時間をかけて練ってゆくしかないものなのだろう。
 《ライトノベル》というジャンル呼称が定着して十数年が経つ。しかしその呼称が差す範囲ははっきりしていない。SF、ファンタジー、恋愛、職業、等々が内容だと漠然と言われたりする。だが、だとすれば、過去の既存“小説”もそれらを内容としていたと言えてしまわないか。そして、《ライトノベル》が“芥川賞の対象になりうる種類の小説”とは本質的に異なるのかどうか、まだ本格的に問われたことはないように見える。《ライトノベル》は“小説”というエクリチュールのジャンルよりも格下にすぎないのか。いや、あるいはむしろ逆に、今では《ライトノベル》の側がもはや“小説”など相手にしていないのであるのかどうか。またたとえば、カズオ・イシグロの最近の仕事は《ライトノベル》的ではないのかどうか? バルザックの『あら皮』は? トーマス・マンの『トニオ・クレーガー』は? ピンチョンの『競売ナンバー49の叫び』は? ガルシア=マルケスの『コレラの時代の愛』は?
 『Re:ゼロから始める異世界生活』は、《ライトノベル》であるという。芥川賞の候補にならなかったし、各大学の図書館にも普通は所蔵していない(そのことで各図書館に学生の皆さんは性急に苦情を言うにはおよばない、ご存じのように、歴代の芥川賞選考委員たちでさえいつも価値判断には苦労させられてきたのであるから)。だから読む価値はない、だろうか。それは―――そう、読者が自分で読んで判断すればいい。
 ただしこの作品を判断するのは、第6巻まで読み進めてからにすることを強く推奨いたしたい。第6巻(アニメ版を見るなら第18話)こそがこの作品の核心の部分であり、最も偉大な部分であると考えられるからだ。―――そこまで読み終えた読者は、改めてこう問いたくなるかもしれない。この途方もない作品は、ラノベなのか、小説なのか、いったい何なのか、と。でももはやそのようなジャンル分け・レッテル貼り自体がもしかすると、もう一度、ここでやり直されるべきなのかもしれない。新しく。すべてを、もう一度。何度でも。そう、ゼロから。


ライブラリサーティフィケイト学生企画『古典文学を知ろう!』を開催中!

 現在、図書館入館ゲート入ってすぐのところで、KONAN ライブラリ サーティフィケイトの1級要件である学生企画として、『古典文学を知ろう!』を開催中です。

 ほとんどの学生さんは普段あまり触れる機会のないであろう日本の説話集、「宇治拾遺物語」、「日本霊異記」、「今昔物語集」について、知能情報学部3年の藤澤さんが紹介してくれています。理系ならでは?の面白い視点でいくつかのお話しが紹介されていますので、ぜひ紹介パンフを手に取ってみてください。

 この企画は9月まで開催しておりますので、図書館にお立ち寄りの際はぜひ見てみてください。もちろん展示されている関連図書は貸出可能ですので、この夏休み、ちょっと古典に触れてみるというのはいかが?(夏休み特別貸出は7/25からです!)。

特設コーナー設置作業中


エトガル・ケレット×西加奈子×秋元孝文先生

甲南大学図書館特設コーナー

 KONANプレミア・プロジェクト(ぶんたす)で、今年10月にイスラエルの作家・映画監督のエトガル・ケレット(Etgar Keret)・映画監督・女優のシーラ・ゲフェン(Shira Geffen)夫妻を甲南大学へ招聘する予定(※1)ですが、それに先立って7月4日(木)に、映画「Etgar Keret-based on a true story-」試写会が開催(※2)されます。
 それに伴い、図書館にも特設コーナーを設置しました。
 コーナーには秋元先生(文学部英語英米文学科教授)が翻訳を手がけられた『あの素晴らしき七年』を始めとしたエトガル・ケレット氏の著書だけでなく、『あの素晴らしき七年』 の書評 (※3) を執筆された作家・西加奈子さんの著書も並べております。
 ぜひ読んでみてください!

甲南大学OPAC
あの素晴らしき七年 / エトガル・ケレット著 ; 秋元孝文訳

※1 エトガル・ケレット&シーラ・ゲフェン 2019来日サイト on Strikingly

※2 【文学部】映画「Etgar Keret-based on a true story-」試写会開催について<7/4>

※3 エトガル・ケレット、秋元孝文/訳 『あの素晴らしき七年』 | 新潮社


マネジメント創造学部 小嶋健太先生へのインタビュー

-先生のオススメの本はなんですか

 CUBE生、1回生に向けてなら、『市場を創る』をオススメしますね。経済学入門で初級レベルのミクロ経済学を学習した後に読むと、目から鱗ですよ。

-なぜこの本をオススメするのですか

 初級レベルのミクロ経済学では、市場は効率的な資源配分を実現するが、万能ではないことを学んだはずです。しかし、「市場はつかみどころがなく、抽象的で、現実に役立たない」と思っている人も少なくないでしょう。
 そのような思い込みを良い意味で裏切ってくれるのが本書です。「とにかく市場に任せておけば大丈夫」とか「市場経済は格差を生むからケシカラン」といった乱暴な議論とは一線を画します。市場がうまく機能するためには、市場を支えるルールや制度をうまく「設計」することが重要であるということを、古今東西のさまざまな市場を例として具体的に説明しています。しかも数式やグラフはまったく登場しません。一般的なミクロ経済書ではスルーされることが明快に書かれていますので、この本を読めば市場という概念がぐっと身近なものに思えるはずです。

-このようにオススメの本を探すには何が必要だと思いますか

 経済・経営系の本には、経済学・経営学の知見に裏打ちされたものもあれば、著者のみに基づくものもあり、学部1回生ではなかなか判断が難しいと思います。そこで、10年以上前に出版された本でも、名著と言われる本をいくつか読んで(今回紹介した本も名著です!!)、経済学・経営学の思考回路に触れることが先決だと思います。どの本が名著と評判なのかは、大学の先生方が最もよく知っています。次に、そういった本の最後に書かれている参考文献とかリーディング・ガイドに載っている本にあたると、芋づる式に良い本に巡り合えるはずです。

<小嶋健太先生おすすめの本> ジョン・マクミラン著 ; 瀧澤弘和, 木村友二訳 『市場を創る : バザールからネット取引まで 』 NTT出版,2007年