図書館 のすべての投稿

[藤棚ONLINE]理工学部・池田茂先生推薦「鏡の中の物理学」

図書館報『藤棚ONLINE』
理工学部・池田茂先生推薦「鏡の中の物理学」


 私の研究室の書棚にある教科書や専門書に紛れて、解説を含めても全部で129ページの薄い一冊の文庫本があります。今日紹介するのはこの本、「鏡の中の物理学」です。1965年にノーベル物理学賞を受賞された朝永振一郎先生が執筆された短編集で、第1刷が1976年に発行されていますので、半世紀近く前に世に出た本ってことになります。3つの短編が含まれており、そのなかの1つ目がこの本のタイトルとなっているお話で、鏡に映った世界と現実の世界という私たちの日常にある場面を通して、相対論がどのような理論であるかが説かれています。後半の2つの話では、量子論に関する考え方について、たいへんユニークで独特な書き方で説明されています。

 この本を買ったのは多分大学院在学中だったかと思います。どんな思いで買ったかはよく覚えていませんが、処分せずにずっと書棚の片隅にありました。改めて拝読すると、「而して」など、ちょっと最近は拝見しない表現も混じってはいますが、平易な文章のなかにユーモアがあってとても読みやすく、知的好奇心をくすぐられる名著であることを再認識しました。ただ、一読して相対論や量子論のアウトラインがわかるのかと言われると、その辺はなかなか初学者にはきっと難解で、先生が説きたいことを本当に理解するには、これらの学問をしっかり深く学ぶことが必要かなとも思いました。

 この本のもう1つの(隠れ)テーマとして、「どうして科学をやろうとするのか」が述べられています。ともすれば目先の成果や社会的なインパクトに流されがちな(自然科学)研究の本当の在り方について、先生の考え方が強いメッセージとして書かれているように感じました。駆け出しの研究者であった若かりし私がこの小さな本をいつまで手放さなかったのは、現在の私が研究することの意味を見誤らないようにするため、「初心忘れるべからず」と思ってのことであったのかもしれません。


語学学習室で展示実施中!

 語学学習室には朗読CDの付いている本があるのを知っていますか?
「知らなかった」「知っているけど本だけ借りている」ではもったいない!

 英語はどのように発音され、どう聞こえるのか。
 CDで実際に聴いてみて、リーディング力だけでなくリスニング力も一緒に鍛えてみませんか?

 今回の展示は皆さんになじみのある物語を選んでみました。
 この機会にぜひ、CDも借りてみてください!


25冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

伏見 祐輝(ふしみ ゆうき)さん 知能情報学部 知能情報学科 4年次生

2023年3月29日に『多読チャレンジ』25冊を達成されました!
3年生時に引き続き、今回で2度目の達成となります!

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q.『多読チャレンジ』に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?

A.図書館ブログで毎年1年生から卒業までコンスタントにチャレンジを達成している人を見て、 自分も再チャレンジしようと思いました。

Q.『多読チャレンジ』達成の感想や達成のために工夫したことを教えてください。
また、現在チャレンジ中の「多読チャレンジャー」の方へのメッセージがありましたらお書きください。

A.プライドを捨てて、中学校の教科書みたいなレベル0のものから読むのがオススメです!

Q.『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

A.2021年度にレベル0を読んでいたころからすると、信じられないくらい長いものが読めるようになりました。

Q.チャレンジする図書は、どのように選びましたか?

A.Book Reviewは知らない本と出会うのに役立ちました。『Fahrenheit 451』と出会ったのは、語学学習室内の展示棚のBook Reviewでした。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 25冊以上達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!


[藤棚ONLINE]図書館長・杉本喜美子先生(マネジメント創造学部)コラム「遠まわりのすすめ」

図書館報『藤棚ONLINE』
図書館長・杉本喜美子先生(マネジメント創造学部) コラム

 みなさんは本を読みますか?どんな理由で目の前の本を選んでいますか?

 昨年末より『天才読書』という本が話題です。“天才たちの頭の中”を見せてもらうことをコンセプトに、テスラ/アマゾン/マイクロソフト創業者らがどのような本を読んできたかを知り、(1) 読書には人生を変える力があること (2) どのような本を読んで成功に到達できたか、を知ることができます。同じ本を読んでも同じ行動ができないのはみなさん承知。とはいえ凄い方々から少しでもヒントを得たいという気持ちもあり。このあたりが、ヒットにつながっているのでしょう。読書は時間がかかるし、そのうえ得た“何か”を表現しにくいもの。小説を読んで“じんわり、ほのか”に感動。新書を読んで“あっ、そうか!”と腑に落ちる。こんな一瞬のために膨大な時間を費やすなんて、楽しいこと盛りだくさん、かつタイパ重視のみなさんにとって、魅力のない趣味かもしれません。

 しかし、先述の本は、(3)成功した方でも読書に膨大な時間を使っていた=人生においては遠まわりこそ大事、ということを示した点で、いい本といえるのではないでしょうか。たくさんの本の中で、自分の読む本が自分の人生にプラスになるかは分からない。だけど、普段の生活から少し離れて、静かに自分と本だけの時間に飛び込んでみる経験は、これからのみなさんをどんな形で支えるかわからない。私は小説が好きですが、主人公の良い/悪い行いの背後にある“深い想い”に触れるといつも、自分の人を見る浅さに気づかされます。人は複雑で御せないもの。だけど“想い”だけが互いの心を動かし、世の中を変えるんだと感じることができます。大学での図書館の使い方はいろいろ。心を整える休憩場所として、みなさんをいつもお迎えしています。

 遠まわりをして、自分を取り戻しませんか?

 自分の学びのなかで関心のある2冊を紹介します。

『創造的破壊の力 資本主義を改革する22世紀の国富論』東洋経済新報社
 フィリップ・アギヨン, サイモン・ブネル, セリーヌ・アントニン(著)
 村井章子(訳)

『入門 開発経済学 -グローバルな貧困削減と途上国が起こすイノベーション-』中公新書   山形 辰史 (著)

 普段、西宮キャンパスで開発経済学を教えていて、人々の暮らしをよくしていくために経済学はどう貢献できるのかを考えています。どうすればイノベーションを起こしやすい社会になり、持続的成長を達成できるか?成長・繁栄を平等に享受できる社会になるには、どのような制度が必要か?現実社会と学問がどう繋がるのかが分かる2冊です。


【図書館事務室より】
 藤棚ONLINE2023年度第1号は、今年度新たに図書館長に就任されましたマネジメント創造学部教授・杉本喜美子先生より、コラムとおすすめ本紹介でした。
 効率重視の目的一直線な行動に比べると遠回りに思える読書の良さ、というお話しでしたが、どうせならKONANライブラリサーティフィケイトにエントリーして、認定証や記念品と一石二鳥を狙ってみるのはいかがでしょう!(このくらいの効率狙いはまあ許容範囲ということで…)
 図書館では、HPだけでなくTwitterやこのブログでも情報発信していますので、定期的にチェックしてみてくださいね。学生の皆さんのご利用をお待ちしています。


50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

島村 大地(しまむら だいち)さん フロンティアサイエンス学部 1年次生

2023年3月30日に『多読チャレンジ』50冊を達成されました!

 春休み期間中の、わずか2ヵ月で、見事に50冊読破されました!
 簡単なものからどんどん読み進めていくと、読むスピードが少しずつ上がってきた実感を得られたとのことで、“また来年度もチャレンジしたい”という、嬉しい言葉をいただきました!

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q.『多読チャレンジ』に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?

A.春休み期間で何か挑戦しようと思ったため。
 英語の本をできるだけ読めるようにしたいため。

Q.『多読チャレンジ』達成の感想や達成のために工夫したことを教えてください。また、現在チャレンジ中の「多読チャレンジャー」の方へのメッセージがありましたらお書きください。

A.最初はLevel 0から何冊かずつ読んでいき、楽しみながら進めていました。
 中盤からはLevel 2や3を読み、難しい部分でも何日かに分けて読んでいきました。
 春休みの期間だけというのもあり、かなり苦労した部分もありますが、諦めずに達成できて嬉しいです。

Q.『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

A.どの位のスピードで読めば自分に合うのかということ。
 分からない単語を推測する能力。

Q.チャレンジする図書は、どのように選びましたか?

A.チャレンジする図書は“WORLD HISTORY READERS”から6~7割選んでいました。
 短時間で何冊も読めるためオススメです。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 25冊以上達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!


「生誕100周年の文豪たち」展示中!

 現在、図書館1階エントランスにて、「生誕100周年の文豪たち」と題して展示を実施しています!ぜひ図書館にお立ち寄りください!

 司馬遼太郎、遠藤周作、池波正太郎。あまり本を読まない方でも名前は知っているであろう3名の文豪は、1923年に生まれ、この2023年で生誕100周年を迎えます。

 展示中の本は、図書館2階ヘルプデスクに申し出ていただければ貸出可能です。
この機会にぜひ、この著名な文豪たちの作品を読んでみませんか? 

また、図書館2階ヘルプデスク前のミニ展示棚には『豆本』を多数展示しています。
手のひらサイズの小さな本たち。大変可愛く魅力的ですので、こちらもぜひ図書館に来て見てみてください!