投稿者「図書館」のアーカイブ

2025年度ブックカバ―デザイン発表!

 投票の結果、文学部人間科学科3年次生ペンネーム“りお”さんのデザインが「グランプリ受賞作品」に決定いたしました。
 “りお”さんは図書館が大好きでよく利用しており、前から応募してみたいと思っていたため、今回ご参加くださいました。
 また、『神戸×弘前ねぷた制作・運行プロジェクト』に参加されたり、企業のポスターに採用されたりと学外でも活動されているそうです。
 このブックカバーは2025年5月から、甲南大学図書館にて提供いたします。
 惜しくもグランプリを逃した4作品は、オープンキャンパス時に提供いたします。
 たくさん投票いただきありがとうございました。

印刷用データダウンロードはこちら

 グランプリ作品に投票してくださった方からは、このようなコメントをいただきました。
「シンプルで甲南らしさがある。平生さんがかわいく描かれていて好きです」
「シンプルで使いやすいかつかわいい♡」
「イラストの雰囲気が良く、自然と惹かれた」

↓オープンキャンバスではこちらの4作品も提供します。お楽しみに!!

[藤棚ONLINE]新図書館長・平野恭平先生(経営学部)ご挨拶

図書館報『藤棚ONLINE』
新図書館長・平野恭平先生(経営学部)ご挨拶

この4月より図書館長を拝命しました経営学部の平野恭平です。
新入生のみなさん,大学生活にもう慣れましたか?
在学生のみなさん,履修計画は大丈夫ですか?課外活動や就職活動もしっかりやっていますか?
新年度が始まり,みなさんが少しでもよいスタートを切れていると嬉しいです。

私の専門は日本経済史・経営史になります。昔のことを調べるために,図書館を利用することが多いように思います。学生として教員として,大学で生活してきた中で,図書館には色々な思い出があります。学生時代の話しになりますが,書庫で古い統計データを調べていた時,閉館少し前に電気をすべて消されてしまい,携帯電話(この時はまだガラケーです)の明かりを片手に,暗闇の書庫を恐る恐る出口まで行ったことを覚えています。また,初冬のある日,本を借りに行った際,書庫で偶々指導教員と出会い,底冷えする寒い書庫にもかかわらず,数時間にもわたって立ち話をしたことも懐かしい思い出です(図書館ではお静かに!)。

特に思い出深いものとしては,知り合いの先生の情報を頼りに,図書館の蔵書の中に,今から約80年前の学生たちが残した書き込みや落書きをみつけたことです。今も昔も図書館の本に書き込みや落書きをすることはタブーですが,当時の学生たちの感情が発露された書き込みや落書きには,私を惹き付ける魔力があったようで,夢中になって探し,読み,その意味を考えました。そのうちに研究対象として取り上げることができないかと考えるようになりましたが,これまでそのようなものを取り上げたことのなかった私には,書き込みや落書きをどのように処理してよいのか,どのように分析すればよいのか,まったくの手探りでした。

その時に,私にヒントをくれたのが図書館でした。とにかく落書きなどに関係する本はないかと検索し,色々な本を読み,今回ご紹介する2冊の本に辿り着きました。1冊は三上喜孝著『落書きに歴史をよむ』(吉川弘文館,2014年)で,もう1冊は本村凌二著『ポンペイ・グラフィティ 落書きに刻むローマ人の素顔』(中央公論社,1996年)です。この2冊は,中近世と古代,日本とイタリア,まったく違う時代と地域を扱った本ですが,共通しているのは,落書きから当時の人々の生活や心情を読み取ろうとする視点です。

時代と地域の異なる人々の落書きとその考察を読みながら,落書きも史料になるのか,こういった読み方や分析もできるのかと考えさせられました。前者の本には,「落書きは,人間の意識の最も深い部分をさらけ出すのである。文書や記録では,絶対にうかがい知ることのできない世界が,落書きにはあるのだ。これを読み解くことで,私たちは過去に生きた人々の,意識の深い部分にまで,思いを致すことができる」(229頁)とあり,後者の本では,「落書きというものの面白さは,上層民のみならず下層民の実態にふれることができるところにある。むしろ,底辺にいる民衆のあけすけな声こそがそこから聞こえてくる」(219頁)とありました。自分の専門分野とは異なる本でしたが,どうすればよいのか悩んでいる,迷っている私には,十分な手掛かりとなるものであり,研究を後押ししてくれるようにも感じました。どちらも甲南大学図書館に所蔵されていますので,興味があれば気楽な気持ちで読んでみてください。昔の人々の生活や考えや心情などが落書きから伝わってきますし,意外と今も昔もヒトとは同じものなのかと思ってしまいます。

現代社会では,情報はインターネットで容易に手に入ります。本や論文もどんどん電子化されて,スマホやタブレットやPCで読めるようになっています。便利なことはよいのですが,たまに図書館や本屋さんでお目当て以外の本にも手を伸ばしてみて,意外な本と出合うのも楽しいものです。みなさんもぜひ図書館に足を運び,色々な本に出会い,知識や感性を豊かにしてもらいたいと思います。図書館が快適な知の空間であり続けれるように取り組んでいきたいと思います。

参考情報として,ポンペイの落書きについては,2022年に本村凌二著『古代ポンペイの日常生活 「落書き」でよみがえるローマ人』(祥伝社)も刊行されています。


【図書館事務室より】
 藤棚ONLINE2025年度第1号は、今年度新たに図書館長に就任されました経営学部教授・平野恭平先生よりご挨拶いただきました。図書館の本への落書きや付箋貼付は先生の仰る通りタブー(ダメ絶対!)ですが、著名人が自著にメモ書きを残した本などは、昨年本学デジタルアーカイブで公開した九鬼周造手拓本のように重要な研究資料となったりします。紹介いただいた本はどれも図書館で借りることができますので、ぜひ図書館にお寄りの際は借りて読んでみてください!
 図書館では、HPだけでなくX(Twitter)やこのブログでも情報発信していますので、定期的にチェックしてみてくださいね。学生の皆さんのご利用をお待ちしています。

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

2025年3月18日に『多読チャレンジ』50冊を達成されました!

匿名 文学部 4年次生

 チャレンジノートの充実した内容から、終始、楽しみながら多読に取り組んでいることが
伝わってきました。このチャレンジをきっかけに、英語に親しみ、この先も英語との繋がりを
持ち続けてほしいと思います!

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q.今回読んだ本の中で、お勧めしたいお気に入りの本を教えてください。

A.Who HQシリーズの本。
 物語の本は名詞など知らない単語が多く出てきたり、キャラクターを整理しながら読むのが大変だったりと個人的には苦手です。
 Who HQシリーズは、人物などの説明が中心なので、勉強時に読んで、慣れている英語で比較的読みやすく、また知らなかったことを知ることができるのでオススメです。本が薄く、イラストが豊富な点でも、読みやすいと思います。

Q.50冊に達成したご感想、語学学習室へのご要望などありましたら、ご自由にお書きください。

A.50冊の達成は難しいと思っていましたが、始めてみると通学中に少しずつ読めて楽しかった
です。洋書というだけでハードルが高いと感じて、取り組むのが遅くなりましたが、もっと早くから始めておけばよかったと思います。
 様々なレベルの洋書を気軽に読める場所はあまりないと思うので、語学学習室が大学にあるのは、ありがたいことだなぁと思います。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 25冊以上達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!

☆2024年度から、継続しやすい新ルールになりました!
 いつからでも参加できますので、ぜひチャレンジしてみてください!

[藤棚ONLINE]全学共通教育センター・平井一樹先生推薦『全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路―』

図書館報『藤棚ONLINE』
全学共通教育センター・平井一樹先生より

松本修「全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路―」(新潮文庫刊)

 大阪は「アホ」、東京は「バカ」。では、その境目、境界はどこにあるのだろうか?名古屋城?フォッサマグナ?「そんな、◯◯な!」 ― 皆さんの出身地ではどんな言葉で表現するだろうか。

 1990年1月20日、「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送、当時はまだ大阪ローカルの番組)で、視聴者からのハガキ(!)での依頼により、その境界線を調査することとなった。私はこの番組のこの回を生で見ていたが、日本のテレビ番組史に残るすごい企画だったと思う。

 この本は、その調査の一部始終をまとめた結構ぶ厚い、そしてエネルギー溢れる熱い本なのである。著者は、番組プロデューサーの松本修氏。経緯と結果は本を読んでのお楽しみだが、調査は芸人の探偵と視聴者の協力で、何度かに分けて進んで行き、とうとう日本全国に広がっていくのである。そして、民俗学、方言論、社会言語学的にも素晴らしい発見が待ち受けている。この文庫本を、もし幸運にも入手したら、カバーの裏を見てみてほしい。私は購入してから5年間、裏があるとは、まったく気が付かなかった。これが実物の紙の本の面白さの一つだとつくづく感じた。

 日本各地には様々な方言があり、その土地が持つ歴史と市井の人々の生活が、豊かに生々しく語られる。明治以後、政府は全国の言葉を統一して「標準語」を作ろうとした。同じ日本の中で話が通じないのは、確かに困っただろう。しかし、標準語がきれいで、方言が汚いという印象操作が行われた。私は日本語教師だが、日本語教師は「標準語」という名称は決して使わない。「共通語」と呼ぶ。日本が歴史上、他国の言語を奪った反省もある。

 ある時、高校生が「海外では英語が使われているので、私は英語をもっと勉強しようと思います」と言った。学校教育ですっかり洗脳され、危険な状態だと私は思った。中国語だけでも7つほどのお互い外国語と言えるくらい違う方言がある。世界では言わずもがな。ただし、現在、世界では膨大な数の言語が失われ続けている。

 私は、生物の絶滅や環境破壊のほうが重要な問題だと思うが、その原因である人間の言語が失われ、何もかもが同じものに統一されていけば、民主主義は危機に陥る。そして、環境保護の政策は実効的に行われなくなる。さらに、コミュニケーションの阻害は、戦争へと繋がるのだ。短絡すぎる論理だと思われるだろうか。

 もちろん、英語が便利で役に立つなら、一つの道具としての使用は構わない。しかし、政府や権力者が何かを統一したり、強制する場合(特に言語)、本当に大丈夫なのかと立ち止まって考えらえる「批判的思考」を身に着けてほしい。「アホ・バカ」から話がずいぶん飛躍してしまったが、私は多様性の大切さと面白さをこの番組とこの本から学んだと思う。

OPAC:『全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路―』 松本修 著 太田出版 1993

25冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

2025年1月29日に『多読チャレンジ』25冊を達成されました!

匿名 文学部 人間科学科 4年次生

 達成後も続けて読まれているので、50冊も目前のようです。また、本棚を見ることに楽しさを感じているとの言葉を受けて、スタッフも喜んでいます!これからも自分のペースを守りながら楽しく読み続けられることを願っています。

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q.『多読チャレンジ』に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?

A.留学を希望していたので、良い英語の勉強になると考えたため。

Q.25冊を達成した感想をお聞かせください。

A.25冊を読むだけでも大変だった。しかし、大学生になるまでは洋書を読んだことがなかったので達成感があった。

Q.チャレンジする本はどのように選びましたか?

A.理解しやすそうな本。物語でない本。物語の場合は、極力知っているものを選んだ。

Q.『多読チャレンジ』のこれからの目標などがあれば、お書きください。

A.50冊をめざしたい。レベル5・6の本を読破したい。

Q.語学学習室や図書館について、ご意見・ご要望など、ご自由にお書きください。

A.きれいな館内かつ、本の並びも整っているので、読書をしたいと思える空間だと思います。
  本棚を見て回るのも楽しいです。いつもありがとうございます。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 25冊以上達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!

☆2024年度から、継続しやすい新ルールになりました!
 いつからでも参加できますので、ぜひチャレンジしてみてください!

[藤棚ONLINE]フロンティアサイエンス学部・赤松謙祐先生推薦『嫌われる勇気』『幸せになる勇気』

図書館報『藤棚ONLINE』
フロンティアサイエンス学部・赤松謙祐先生より

嫌われる勇気」は、フロイト、ユングにならぶ心理学の巨人アルフレッド・アドラーの心理学を、悩み多き主人公と哲人との対話形式で紹介する書籍です。「すべての悩みは対人関係の悩みである」とした上で、人は変われないのではなく、ただ「変わらないと心に決めている」だけである、と結論づけています。このシンプルな考え方は極めて衝撃的で、にわかに受け入れ難いかもしれませんが、誰もが心に持つ「劣等感」を払拭しうる至極の一冊です。 

幸せになる勇気」は、「嫌われる勇気」の内容をより実践的に説いた続編です。前作で教えを受けて教師となった主人公が、それを実践できずに再び哲人のもとを訪れ、主に「教育とはなにか」について論戦を挑みます。教育においては、「褒めても、叱ってもいけない」のであり、「その人がその人であることを認め、ただ寄り添う」ことに注力すべきである、と哲人は説きます。人が幸せになるためにはどうすれば良いか、深く考え、実践したい人のための必読書です。