☆新入生向けの図書案内
著者: マーヴィン・ミンスキー
タイトル: 心の社会
出版者: 産業図書
出版年: 1990
配置場所: 図書館1階開架一般
請求記号: 141/Mi47
新入生諸君に、『心の社会』を推薦します。
マーヴィン・ミンスキーにより1985 年に記され、日本では1990 年に産業図書から出版されています。
当該書籍は、心がどのように「考え」を生み出していくのかを、エージェントとエージェンシーの関係で、見事に説明し読者に理解させてくれる傑作です。私は本書に、日本で出版されて間もない1990 年に巡り会いました。そして、本書の中で解説されている、心の社会の仕組みのシンプルさと妙技に強い共感を受け、息つく間もなく読み進んだことを、今でも鮮明に記憶しています。日本での初版は1990 年で、すでに20 年以上経っています。しかしながら、本書は、認知科学の発展に大きな影響を与えた良書であるのみならず、今もなお、認知科学の本質をとらえる上で非常に重要な概念を記した書籍の一つとして輝きを失っておりません。
本書の構成は、全30 章で構成された大作です。前半では、「心の社会」という認知モデルを解説しています。続いて、ヒトにおける、外界の認識、意味の学習、推論といった高次認知機能が「心の社会」によって如何に実現されているかが解説されています。また、意識と記憶、感情、発達、言葉および文脈といった側面に対しても「心の社会」の適用を試みています。そして後半では、フレームという概念の導入により「心の社会」に汎用性をもたせ、心がどのように「考え」を生み出していくのかをまとめています。
本書は、500 ページを優に超える大作ですが、文系学生・理系学生を問わず、ぜひ大学生として読んでおいて欲しい本です。読んでみて下さい。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.28 2011) より