<教員自著紹介>
人が苦悩するとき、心が傷つくとき、その心は一人の個人の中にだけあるのでしょうか。人は社会の中で生き、歴史の中に存在し、文化とともに自らを知っていきます。いわゆる「心理学」は心が単体でそこに存在する何かのシステムのように扱ってきました。確かにそのような考え方は一見わかりやすいでしょう。
しかし、心の問題に向き合う臨床家は、目の前の患者の苦悩や悲しみが、社会、歴史、文化の中でどのように作られていくのかを見ることなく、その想いに寄り添うことができるでしょうか。そのように心を見ることなく、自らもまた有限で、傷つきやすい臨床家自身の想いを大切にすることができるでしょうか。
本書は、そのような考えを共有する日米の分析家が行ったトラウマと心の傷つきやすさに関する講演録です。
■『トラウマと倫理 : 精神分析と哲学の対話から』
■ 富樫 公一[編著・監訳], 岩崎学術出版社 , 2019年10月
■ 請求記号 146.1//2382
■ 配架場所図書館 1F 教員著作
■ 著者所属 富樫 公一(文学部 )