法学部 中井 伊都子先生へのインタビュー

法学部  3年生  清水 優也さんが、法学部 中井 伊都子先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  本はよく読まれますか。

A.  本はとてもよく読みます。特に歴史ものが好きです。司馬遼太郎や、最近ではクリスチャン・ジャックなど、その人の視点で歴史や時の流れを追っていくような作品が好きです。

Q.  学生時代に読んでいた本を教えて下さい。

A.  学生時代から歴史小説が好きでした。気に入った作家が見つかればその作家の本をすべて読まないと気が済まない質です。その時々に話題になるような単発のものも読みましたが、長い歴史の本が好きなため、あまり心に残らなかったですね。

Q.  先生は国際法、その中で特に国際人権法を研究されています。国際法というものに興味を持ったきっかけを教えて下さい。

A.  大学生のとき、恩師に「国際社会を見る目を養い、より深く知っていくためには、歴史か法律を自分のものの見方の枠組みとしてしっかり持ちなさい」と教わり、大学院に進むにあたって、国際法を専攻しました。その中で国際人権法を選んだ理由は、人権によって国家主権に揺らぎを与えられる可能性を感じたからです。絶対的なものであるはずの国家主権と「人権」の関係に惹きつけられました。

Q.  国際法を研究していて、やりがいを感じるときを教えて下さい。

A.  自分の研究のよって社会貢献ができたときです。行政が日本の国内法でカバーできない問題や分野について対策を講じる際に、国際的な基準や法律についてお話をする機会などがあります。大阪市のヘイトスピーチ条例の作成に携わったことなどがその一例です。自分の研究者としての営みが、条例作成というかたちで社会に役立っているところに喜びを感じます。

Q.  国際法に関心がある人に薦める本を教えて下さい。

A.  国際法に関心がある方が、必ずしも国際法の本を読めばいいとは思いません。国際法に興味があるならば、まず国際社会について知ることが重要です。なので、どんな本でもいいので、自分と違う考えや宗教、経済体制に関心を持ち、それらを国際社会に向けて広げていってほしいです。

Q.  最後に、甲南大学の学生にメッセージをお願いします。

A.  自分と違うものを怖がらないでください。自分と違う考え方、宗教、性的指向、人種などを恐れるのは、知識がないことが原因です。知識を得て、結局は同じ「人間」なんだという感覚を持つことで、人と人の交流が始まります。人と人との交流は国と国との交流に繋っていき、やがてどのように国家が共存していくかということに繋がります。大袈裟ではなく、小さな心がけが大きな歩みにつながるのだと思うのです。なので、自分と違うものを恐れないで、そして恐れないために十分な知識を得てください。

感想  : 「視点」というものを大事にされているように感じました。視点を増やすことで、相手を慮ることができたり、正しい判断ができる。その視点を増やすためには、知識を得なければならない。この考えは、なぜ人は学ぶのかという問いに対する、一つの答えではないかと思いました。

そして、インタビューを通じて、研究分野だけでなく歴史や経済といった多様なものを吸収しようとする姿勢がひしひしと伝わり、改めて尊敬の念を抱きました。

(インタビュアー:法学部 3年  清水 優也