高石恭子編『子別れのための子育て』(編)

<教員自著紹介>
今日の子育てをめぐる状況は、二極化しているように見えます。一方は虐待・
ネグレクトなどの子ども拒否の問題。もう一方は少数のわが子を大事に抱え
込んで育てる密着の問題です。親子の密着は、子どもが小さいうちは「よい親
とよい子」の二人三脚として社会からも肯定的に受け止められますが、
そのまま時間が経過したとき、親と子が相互に依存し合い、子どもの巣立ちを
阻害することにもつながります。本書は、そのような今日の子育てのあり方について、
敢えて「親と子の分離」、そして子育てのゴールである「子別れ」という視点から、
心理学・社会学・現代思想など学際的な考察を行った論考集です。親子の心理、
子育て支援などに興味のある方に、広く読んでいただきたいと思います。
なお、本書は文部科学省の「私立大学戦略的研究基盤形成事業」の助成を受け、
甲南大学人間科学研究所が展開してきた共同研究プロジェクトの成果をまとめた
叢書の1冊であり、同様の書籍として、これまで「現代人と母性」(新曜社)、
「育てることの困難」(人文書院)も刊行されています。

■『子別れのための子育て 』(編)
■編者所属:高石 恭子 文学部 教授
■その他の近著・訳書
 「臨床心理士の子育て相談」 人文書院 2010年
 「学生相談ハンドブック」(共編) 学苑社 2010年
 「12人のカウンセラーが語る12の物語」(共編) ミネルヴァ書房 2010年
 「学生相談と発達障害」(共編) 学苑社 2012年
 「ヒルガードの心理学」第15版 (分担訳)金剛出版) 2012年