[藤棚ONLINE]マネジメント創造学部・中村聡一先生 推薦『教養としてのギリシャ・ローマ』

図書館報『藤棚ONLINE』
マネジメント創造学部・ 中村聡一 先生 推薦
『 教養としてのギリシャ・ローマ~名門コロンビア大学で学んだリベラルアーツの真髄 』

甲南大学の皆さん
はじめまして、中村聡一と申します。西宮キャンパスで教えてます。

簡単に経歴を申します。私は、元々は東京の桜田倶楽部出身のテニス選手でした。松岡修造君は一緒に汗を流した後輩です。その後アメリカに留学してから、国際会計事務所KPMGに勤務しました。FAとして数々のM&A案件に助言をしてきました。そして今は実務家教員として甲南で教えてます。テニスプロ資格はまだ保有しています。シニア世界大会を目指しています。ファイナンシャル・アドバイザーの仕事もまだ現役でやりたいと思ってます。そして、いつか、趣味の料理の本を出版するのが夢です。

そんな私が長年研究してきたリベラルアーツの本を出版しました。

『教養としてのギリシャ・ローマ~名門コロンビア大学で学んだリベラルアーツの真髄』(東洋経済新報社)

”リベラルアーツ”というと、耳にしたことはあるけど、具体的な内容はよくわからない。そんな皆さんのために書いた本です。私が留学したニューヨーク・マンハッタンのリベラルアーツの総本山といわれるコロンビア大学の教育内容をわかりやすく記しました。

さて、リベラルアーツというと付き物なのは”正義”という概念です。甲南・平生精神にも大いに通ずる”徳”の一つでもありましょう。

皆さんは、これがなんだかわかりますか?かなりわかりにくいのではないでしょうか。
じつは、それもそのはず。理由があるのです。

日本語では「正義」は一つの言葉でしかありません。英語ではこれが二つの異なる単語で表記されるのです。
つまり、日本語での”正義”という概念は、最初から言葉自体が曖昧なんです。だから皆さんにとって大いにわかりにくのは当たり前なんです。

英語での定義を見てみます。

まず、”Righteousness”という言葉があります。
Righteousness is the quality of being virtuous, honorable, or morally right. I t can also refer to such behavior.
Righteousness is the noun form of the adjective righteous. Being righteous mea ns doing what is right – obeying the law or adhering to morals. Both righteous  and righteousness are often used in a religious context.

英語が苦手な方も頑張って読んでみましょう。”美徳”や”道徳””法”などに照らして”正しい”ということを指し示すことがわかると思います。

次に、”Justice”という言葉が思い浮かびます。これはどういうことでしょうか。辞書を調べてみましょう。

1.the quality of being just; righteousness, equitableness, or moral rightness: to uphold the justice of a cause.
2.rightfulness or lawfulness, as of a claim or title; justness of ground or reason: to complain with justice.
3.the moral principle determining just conduct.
4.conformity to this principle, as manifested in conduct; just conduct, deal ing, or treatment: Victims of rape and sexual assault have the right to the ev idence they need to seek justice.
5.just treatment of all members of society with regard to a specified public  issue, including equitable distribution of resources and participation in dec ision-making.
6.the administering of deserved punishment or reward.

(※https://www.dictionary.com/より)

以上の6つに分けて記されてますが、共通するのは、すべてが英語”Just”や”Equitable”という言葉に関連するようです。つまり、「公平性」とか「公正さ」とかを意味するのです。

“rigteousness”は、”Justice”と比べると、より広範な”正しさ”や”美徳””善”という概念を包括します。
対して、”Justice”は、他の人たちとの関係において、”対他的な物事”についての”正しさ”を表す言葉だといえるでしょう。

そしてここが重要なんですが、日本語では、両方とも「正義」です。私たちの住む日本語世界では、区分けが明確でないのです。

このことを出発点に”リベラルアーツ”を学ぶのが良いかも知れません。同じ「正義」でも、”Righteousness”と、”Justice”と、二つの異なる単語にて表記されるのは、そもそもなんでだろう?なにか日本とは異なる歴史的な背景があるのでないか?

まずは、こんなことを問題意識に私の本を読んでもらえればと思います。

また本書には、西洋社会をかたづくってきた綺羅星のごとくの歴史的な名著をそれらの時代背景に照らしあわせて紹介しています。本書をきっかけにそのような書籍に皆さんが触れるようになれば良いなとも思います。

興味ある皆さんは、まずは、私のAmazonの著者ページをご覧くださいね。以下にリンクを貼っておきます。

http://www.amazon.co.jp/%25E4%25B8%25AD%25E6%259D%2591-%25E8%2581%25A1%25E4%25B8%2580/e/B004LS58Q8%3Fref=dbs_a_mng_rwt_scns_share

それでは、キャンパスのどこかで見かけたら気軽に声をかけてください。

<参考>

 「正義」についてのより厳格な定義を持つ西洋社会の文化的な土壌を背景にして、米国の一流大学では、それだけを考察する授業すらあるのです。
 その世界的な権威であるマイケル・サンデル氏(ハーバード大学)の授業”Justice”のリンクを以下に貼付します。

 この授業を書籍にまとめた同氏の著作は世界的なベストセラーになりました。ぜひ視聴してみてください。

※余談ですが、私の著作も発売4ヶ月の時点で、日本語版にくわえ、海外3言語での翻訳版が発売されることが決まっています。