【第4回 甲南大学書評対決】サン=テグジュペリ著 河野万里子訳 『星の王子さま』

6月16日(木)に開催された第4回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

経済学部  寺尾 建先生からのおすすめ本です。

書名 : 星の王子さま
著者 : サン=テグジュペリ著  河野 万里子訳
出版社:新潮社
出版年:2006年

 本書の初版がアメリカで出版されたのは1943年、第二次世界大戦の真っ只中でした。当時の世界の総人口は25億人で、現在の3分の1ほどでしたが、第二次世界大戦では、5,000万人から8,000万人が犠牲になったと言われています。
 
 本書が最初に日本語に翻訳されたのは、原書の出版から10年後の1953年ですが、初版の出版から現在に至るまでの80年間で、計200以上の国・地域の言葉に翻訳されています。

 タイトルから、子ども向けの本だと思われがちですが、実は、本書は、大人(正確にいえば、子どもの心を忘れてしまった大人)に向けて書かれたものです。たとえば、人が、あるものを「愛しい」と思うのは──そして、他のものについてはそのように思わないのは──いったいなぜなのでしょうか?「大人」とは「自分の心の動きに驚かなくなった人」と言い換えてもよさそうですが、この本は、「読む人々が、自分の心の動きについての驚きを取り戻しますように」との願いを込めて書かれました。

 子どもから大人になりかけている年頃のみなさん。ぜひ本書を手にしてみてください。