東川 篤哉著 『殺意は必ず三度ある』

知能情報学部 4年生 Aさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :殺意は必ず三度ある
著者 : 東川篤哉著
出版社:実業之日本社
出版年:2006年

自分がこの本を読むきっかけとなったのは、この作者のファンという点が大きい。この作者は、ミステリー小説によくある重い雰囲気ではなく、軽い雰囲気で進み、読みやすい小説を書く人である。それでいて、作りこまれたミステリーは読みごたえ抜群で、楽しい時間を過ごすことができる。

簡単なあらすじとしては、敗退常連の鯉ヶ窪野球部のグラウンドから、なぜかベースだけ盗まれていくというところから始まった。主人公が所属する探偵部はこの事件を解決しようと奮闘する。しかし事件を解決するきっかけは全くつかめず、時間だけがどんどん過ぎていく。そんな中行われたライバル校との練習試合。とんでもない事件が起きる。試合終盤に野球部の監督が殺害されてしまうのだ。動機も全く分からず、球場ではアリバイ実験が行われ、混沌とした状況になっていく。

この事件に探偵部所属の主人公率いる3人は首を突っ込む。果たして事件の真相はどうなるのかというお話である。

今回の小説のポイントは、野球部が舞台となっていて、鯉ヶ窪に所属する主人公3人組がしっちゃかめっちゃか頓珍漢な推理を披露しながらも進んでいく。そして学生ならではの目線や心情が描かれており、頭の中で何が起きているかのイメージも容易である。また、野球部が舞台ということもあった野球ネタがふんだんに取り込まれていて、野球が大好きな自分のとっては読み進めていくことがとても楽しい作品であった。あまりにもディープな野球ネタがふんだんに取り込まれているので、作者がいかに野球を好きなのかもわかる。

肝心のミステリーの内容は、とても作りこまれていて、伏線あり、大どんでん返しありの素晴らしい作品であった。この作者の特徴である、軽い雰囲気で進む推理と読み進めやすい内容で読んでいて爽快感を味わうことができる。