九鬼周造博士の書き入れがある『「いき」の構造』と『偶然性の問題』をデジタルアーカイブから公開しました

 甲南大学図書館の九鬼周造文庫で保管されている、哲学者・九鬼周造博士の代表作『「いき」の構造』と『偶然性の問題』を、甲南大学デジタルアーカイブから公開しました。

「いき」の構造  
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00399

偶然性の問題
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00400
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00401
https://archive.konan-u.ac.jp/il/meta_pub/G0000861konanu_L00402

 いずれも、九鬼博士本人による書き入れがされている手拓本で、哲学者の思索の跡を辿ることができます。

 『「いき」の構造』は、昭和5年(1930年)に岩波書店から出版されました。手拓本には、書き入れのほかにも、巻末には正誤表が付されており、関連する新聞記事の切り抜きと、京都帝国大学の同僚であった田中秀央(1886-1974, 西洋古典学・言語学)からの手紙も挟み込まれています。
昭和56年(1981年)に刊行された『九鬼周造全集』に収録された『「いき」の構造』の底本にされた本です。

『「いき」の構造』手拓本 (外箱)

 『偶然性の問題』は、昭和 10年(1935年)に岩波書店から出版されました 。甲南大学図書館にある手拓本は、片面刷りで奥付もありませんが、余白となったページなどに書き込みがあります。
 この手拓本にも、九鬼博士によって新聞記事が挟み込まれていますが、九鬼博士が「偶然性」を拾い上げた新聞記事は、他にも数多く九鬼周造文庫に収められています。

『偶然性の問題』 手拓本

 九鬼周造文庫で保管されている九鬼博士の著作のうち、書き込みがある本はこの2冊のみですが、博士の旧蔵書には書き入れのある本が多くあります。ドイツ語の本はドイツ語で、フランス語の本はフランス語で、ギリシャ語や英語、もちろん日本語の本にも、書き込みがされたり、裏表紙の見返しに独自の索引が書き入れられている本があります。

 九鬼周造文庫の資料は、資料保護のために利用を制限しています。原稿やノートなど、甲南大学デジタルアーカイブから公開している資料、電子化が完了している資料は、原本をご利用いただくことはできません。
 九鬼博士の旧蔵書のご利用については、貴重資料の利用案内をご確認ください。収蔵されている本は、甲南大学機関リポジトリから公開している『九鬼周造文庫目録』でご調査いただけます。

 本資料の公開は、KONANプレミア・プロジェクトの研究力展開プロジェクトの「甲南大学知的財産デジタル化推進プロジェクト」で行いました。
 甲南大学図書館は、これからも甲南大学が所蔵する貴重資料や研究成果をデジタル化・WEB公開することでさらなる利活用を図り、社会全体の学術研究発展に貢献いたします。