
フロンティアサイエンス学部 4年生 島村 大地さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)
書名 : はじめての認知科学
著者 : 内村直之, 植田一博, 今井むつみ, 川合伸幸, 嶋田総太郎, 橋田浩一
出版社:新曜社
出版年:2016年
認知科学と聞くと、どのようなイメージを思い浮かべるでしょうか。私は当初、心理学の一分野であると考えていました。しかし、認知科学は心理学だけにとどまらず、多様な分野が結びついた総合的な学問です。人工知能などの情報科学分野や、脳科学といった理系分野の要素も含まれています。それらを体系的に理解し、学ぶことができるのが、この『はじめての認知科学』という本です。
この本の前半では、「こころとは何か」という問いから始まり、人間がどのように考えるのかという思考プロセスについて多く述べられています。代表的な例として、モンティ・ホール問題が取り上げられています。この問題では、三つの扉のうち一つが当たり、残り二つが外れである状況において、被験者はまず一つの扉を選びます。その後、実験者が外れの扉を一つ開け、残された二つの扉のうちから再び選択できるかを問いかけます。直感的には、どの扉を選んでも確率は同じであるように思われるかもしれません。しかし、場合分けによって計算すると、最初に選んだ扉から変更した方が当たる確率は高くなるという、直感に反する結果が得られます。このように本書では、人間の直感と論理との間に生じるズレを示す例が紹介されており、読んでいて非常に興味深いと感じました。
また、本の後半では人間や動物の知覚機能や認知科学の分野についての歴史が書かれております。例えば、目の前に音が出ている機械があった際、人間であればその音が容易に聞こえることはできます。しかし、仮にその音が超音波のような波形であったとすると、人間には聞こえません。一方で、その超音波を用いて生活している動物がイルカです。イルカは自ら超音波を発し、その音が物体に反射して戻ってくるのを感知することで、周囲に何があり、どこに存在しているのかを把握しています。
このように、認知科学の領域には、人間だけでなく動物の知覚や認知の仕組みに関する非常に興味深い題材が数多く存在しています。本書は、そうした認知科学の面白さに触れながら学ぶことのできる一冊であり、ぜひ多くの人に手に取ってほしいと感じました。
