投稿者「図書館」のアーカイブ

2023年度 ブックハンティングツアー(店頭選書)を行いました!

2023年8月6日(金)、ジュンク堂書店三宮店において、学生と図書館職員によりブックハンティングツアーを行いました。図書館に置きたい本を書棚から選び、ハンディーターミナルを使って裏表紙に記載されたISBN(バーコード)をスキャンして選書しました。
今回は岡本キャンパス学生4名・ポートアイランドキャンパス学生1名の参加と多数の学生にご参加いただきました!

参加された学生さんの感想です*

** 文学部社会学科 3年
 蕩尽が学生のためという利他性で許可されるなんて愉快この上ない。普段値段を見て仕方なく本棚に本を戻すところを、このブックハンティングツアーでは一顧だにせずバーコードを通していく。今回手に取った約150冊の合計金額など知らない。それなのに周囲から糾弾されることもなかった。学生のための選書という目的を鑑みると、むしろ称賛された気分だ。善行をした清々しさと不正をした愉悦が両立している。利他的な大義による利己的な行動ほど快いものはない。

** 法学部1年 
 ブックハントでは各々が自分の学部に関連する本を本屋で見つけ、その本が図書館に置くに値するかを考えていくものです。しかし制約はこれくらいで後は自分が読んでみたい本を選ぶことが出来ます。何かこの分野を徹底的に学びたいと考えてる人にお勧めしたいボランティアです。またブックハントをしている間に自由に休憩を取ったり、飲み物を自販機やコンビニへ買いに行くことが可能です。逆に言えば自分の体調を管理するのは自分なので本選びに没頭しすぎず適度に休むことをお勧めします。

理工学部物理学科 1年
 もともと本が好きで、興味があったので、ブックハンティングツアーに参加しました。
 本屋さんに1日滞在できるのが初めてで、すごく楽しかったです。大学生になり、課題や予習、復習に追われ、本を読む機会が減ってしまい、シリーズの新作が出ていることをその時に知ることができました。
 また、自分の学部に関連あることでも本を探しました。今まで、興味ある本ばかりを見ていましたが、新たな本を見ることができて良かったです。

知能情報学部 4年
 図書館のブログでブックハンティングツアーのことを知り、図書館を利用している他の人と関わりを持てるかも、と期待して参加しました。
 日頃から大学の図書館をよく利用していて、図書館に蔵書がない本で自分が読みたい本のリストを作っていたのでそれを片っ端から探していったのですが、そうしているうちに終了の時間になってしまい、もっと他の人に話しかけたりすればよかったと少し後悔しています。
 このイベントは午前からお昼の休憩を挟んで午後まであるので、来年度参加する人はお昼の休憩のときなんかに他の参加者の人と好きな本の話とかするといいですよ!


「マーブリングをやってみよう!」を開催しました!

 2023年8月8日(火)、図書館企画「マーブリングをやってみよう!」を開催しました。
 マーブリングとは、水の上に色を浮かべて模様をつくり、その模様を紙や布に写しとる染めの技法ことです。「マーブル」とは「大理石」のこと。模様の様子から名付けられました。

 参加学生は3名。始めに、マーブル染めが施された洋書や和紙を用いながら歴史について説明し、実際に絵葉書、和紙(A5)、メモ帳の三方染(天、地、小口)を行いました。

 ひとつとして同じ模様は作り出せないので、参加者それぞれオリジナリティーあふれた作品が完成しました。「忙しい日常生活を忘れて、楽しいひと時を過ごせた」という意見等が寄せられました。

 図書館では、12月頃「新聞エコバックを作ろう!」の企画開催を予定しています。
詳細が決まり次第、追ってお知らせいたします。奮ってご参加くださいね。

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

桐野 由都(きりの よしと)さん  法学部1年次生

2023年7月21日に『多読チャレンジ』50冊を達成されました!

 空き時間に語学学習室に通い、チャレンジ開始から1か月ほどの短期間で、50冊を読破されました。今後は留学も視野に入れられているというお話も聞くことが出来ました!

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q.『多読チャレンジ』に挑戦しようと思ったきっかけは何ですか?

A.大学に入って何かに挑戦してみようと思ったから。

Q.『多読チャレンジ』達成の感想や達成のために工夫したことを教えてください。また、現在チャレンジ中の「多読チャレンジャー」の方へのメッセージがありましたらお書きください。

A.難しい物を読んだら、簡単なものを読んだりする。

Q.『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

A.街を歩く人々のTシャツの英語を読むことができる。

Q.チャレンジする図書は、どのように選びましたか?

A.インスピレーションで選びました。その中でも英語だけだと読みづらさがあるので絵があるものを選んだりしました。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 25冊以上達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!

[藤棚ONLINE]経済学部・寺尾建先生コラム「〈幸せ〉と〈不幸せ〉のあいだ」

図書館報『藤棚ONLINE』
経済学部・寺尾建先生コラム「〈幸せ〉と〈不幸せ〉のあいだ」

 話題として今回取り上げる書籍は、直木賞作家である西加奈子氏の最新刊『くもをさがす』(河出書房新社、2023年)です。

 本書が今年の4月に出版されて以降、著者初のノンフィクションであることからも各方面で話題になっていることは知っていましたし、著者の西加奈子氏には会ったこともあり(正しくは、少し離れたところから見たこともあり)、そしてまた、2020年4月24日にYouTubeにアップロードされて、2023年6月26日時点までの再生回数が11万回を超えている動画(https://www.youtube.com/watch?v=F9mwmsYFh4k)を過去3年間の累計で10回以上視聴する程度には氏に関心を抱いてはいました(氏が好きだというミュージシャンが自分とまったく同じだったので、氏のことを他人とは思えなかったからです)。

 それでも、私は、本書を読むつもりはありませんでした。本書では氏が罹患した乳がんの治療についての詳細が記されていることがわかっていたので、読むと心がしんどくなるような気がして、そのことが怖かったからです。

 ところが、私が尊敬する文学部のA先生(A先生は、西加奈子氏に直接会って話をしたことがある人です)が本書を読んだ週に担当するすべての授業で本書についての話をしたという事実を人づてに聞き、すぐに取り寄せて読みました。

 読んで、心がしんどくなることがなくはなかったですが、人生とこの世界についての大切なことを学ぶことができました。それは、たとえば、「不幸そうに見える」と「不幸である」とは違うということ、そしてまた、「幸せそうに見える」と「幸せである」とは違うということ、それゆえ、「不幸そうに見えるけれども、幸せである」ということはありうるということです(同じ理由から、避けたいことではありますが、「幸せそうに見えるけれども、不幸である」ということもありえます)。

 「目に見えることは、実際のところ、どの程度がほんとうのことなのだろうか?」──このことを、人生とこの世界(そこには、自分にとって大切な人とその人生も、当然含まれます)について、忘れずにいつも心に留めておきたいという思いを、本書を読んであらたにしたところです。

「植物学の父・牧野富太郎」展示中!

 現在放送中の連続テレビ小説「らんまん」、ご存知ですか?
 毎日見てる!という方もいらっしゃるでしょう。今回の展示はその「らんまん」の主人公のモデル、 植物学の父と呼ばれた牧野富太郎博士がテーマです。

 その生涯を植物研究に捧げた理学博士・牧野富太郎(まきのとみたろう, 1862-1957)は、自身を「草木の精ではないか」というほど、つぶさに植物を観察・記録し、その知見と知る楽しさを一般市民にまで広めた偉大な研究者です。

 精緻な植物画はもちろん必見ですが、博士は植物を文章で表現されることにも長けておられ、エッセイも秀逸です。『牧野日本植物圖鑑』、明治時代の『植物学雑誌』、随筆集など、牧野博士に関する甲南大学図書館の蔵書を展示していますので、ぜひ一度ご覧ください!(展示してあるエッセイを読みたい方は、2階ヘルプデスクにお声がけください。)

 また、牧野富太郎に学んだ植物学者の一人に木村有香(きむら ありか, 1900-1996)がいます。木村博士は 甲南学園の創立者・平生釟三郎による育英事業「拾芳会」の奨学生で、平生先生は長くその研究活動を支持しました。
  木村有香 は、大正15年1月に六甲山(住吉村域)で発見したヤナギを、平生釟三郎にちなんで「ヒラオヤナギ」と命名しています。 「ヒラオヤナギ」は、 岡本キャンパス1号館前に植樹されていますので、1号館前を通るときに少し立ち止まって探してみてください。

ヒラオヤナギ

[藤棚ONLINE]理工学部・池田茂先生推薦「鏡の中の物理学」

図書館報『藤棚ONLINE』
理工学部・池田茂先生推薦「鏡の中の物理学」


 私の研究室の書棚にある教科書や専門書に紛れて、解説を含めても全部で129ページの薄い一冊の文庫本があります。今日紹介するのはこの本、「鏡の中の物理学」です。1965年にノーベル物理学賞を受賞された朝永振一郎先生が執筆された短編集で、第1刷が1976年に発行されていますので、半世紀近く前に世に出た本ってことになります。3つの短編が含まれており、そのなかの1つ目がこの本のタイトルとなっているお話で、鏡に映った世界と現実の世界という私たちの日常にある場面を通して、相対論がどのような理論であるかが説かれています。後半の2つの話では、量子論に関する考え方について、たいへんユニークで独特な書き方で説明されています。

 この本を買ったのは多分大学院在学中だったかと思います。どんな思いで買ったかはよく覚えていませんが、処分せずにずっと書棚の片隅にありました。改めて拝読すると、「而して」など、ちょっと最近は拝見しない表現も混じってはいますが、平易な文章のなかにユーモアがあってとても読みやすく、知的好奇心をくすぐられる名著であることを再認識しました。ただ、一読して相対論や量子論のアウトラインがわかるのかと言われると、その辺はなかなか初学者にはきっと難解で、先生が説きたいことを本当に理解するには、これらの学問をしっかり深く学ぶことが必要かなとも思いました。

 この本のもう1つの(隠れ)テーマとして、「どうして科学をやろうとするのか」が述べられています。ともすれば目先の成果や社会的なインパクトに流されがちな(自然科学)研究の本当の在り方について、先生の考え方が強いメッセージとして書かれているように感じました。駆け出しの研究者であった若かりし私がこの小さな本をいつまで手放さなかったのは、現在の私が研究することの意味を見誤らないようにするため、「初心忘れるべからず」と思ってのことであったのかもしれません。