投稿者「図書館」のアーカイブ

瀬尾 まいこ著 『そして、バトンは渡された 』

知能情報学部   4年生  Mさんからのおすすめ本です。

書名 : そして、バトンは渡された
著者 : 瀬尾 まいこ著
出版社:文藝春秋
出版年:2018年

 

この本を読んだ後に感じる幸せな気持ちは嘘一つない親への感謝です。この物語の主人公は事情により苗字が4度も変わり、5人親がいます。ですが、全く悲しい物語ではありません。主人公は5人の親によって本当に、本当に愛されて育っていきます。

最初は2つの家族を軸にした物語でスタートします。1つ目の家族は、父親と泣き虫な娘のみぃたんの父子家庭です。ある日、幼稚園の帰り道、お父さんと手をつないで帰っているみぃたんは、周りの子たちがお母さんと手をつないで帰っているのも見て、お父さんに問いかけます。「なんでみぃたんにはママがいないの?」この問いかけにお父さんは初めてみぃたんにお母さんの話をします。「みぃたんのお母さんはお空にいるんだよ。」

みぃたんのお母さんは、みぃたんが、生まれて間もないころ病気で無くなっていたのです。その事実を目の当たりにしたみぃたんはママ(母親)という存在に憧れを抱きます。そんなみぃたんの前にお父さんが連れてきた女性、梨花が現れます。梨花は自由奔放に生きる魔性の女。そんな梨花とみぃたんは互いに惹かれていき、親子になります。梨花はみぃたんに最大の愛情を注ぎ育てていきます。そんな梨花が、ある日突然、いなくなってしまう。梨花はなぜ消えたのか?

2つ目の家族は、女子高校生の森宮優子ちゃんと料理上手な義理の父、森宮さんです。優子ちゃんは常に笑顔で、高校で同級生から嫌がらせを受けているときも笑顔で対応しています。そんな優子ちゃんは義理の父、森宮さんの前では素の自分を出し、血縁を超えている関係性を築いています。そんな森宮さんも優子ちゃんに隠している秘密があります。その秘密とは?

この2つの家族がつながり、やがて紐解かれていく命を懸けた嘘と秘密。題名にもある「バトン」とは私は愛情だと感じました。

最後に、私はこの作品を読み終えて、何不自由なくここまで育ててもらった両親への感謝を改めて深く考えさせるような、最高に幸せな気持ちになれるそんな物語でした。

 

東野 圭吾著 『マスカレード・ホテル』

知能情報学部   4年生  Mさんからのおすすめ本です。

書名 : マスカレード・ホテル
著者 : 東野 圭吾著
出版社:集英社
出版年:2011年

 

この本を読んでみて、文章だけでこんなに自然に目の前にホテルマンやお客さんの表情、情景が浮かぶのはとても珍しいと感じました。

ホテルに来るお客さんについてのストーリや新田さんと山岸さんの掛け合いが面白いので、事件の進展の遅さはあまり気にせず読めました。人を信じ切るホテルマンVS人を疑いきる警察官のこの交わらない2人が相棒として未然に殺人を防ぎ犯人を確保できるのか、目的も価値観も違うけれど、相手の心を読み取ろうとするところは刑事もホテルマンも同じだと気づきました。

新田さんがだんだんホテルマンになっていく姿や刑事としても成長していく過程が素晴らしいく、山岸さんは接客業の鑑だと感じ、接客業したことある身としてはそんなにお客様のこと大切にしてなかったなと仕事ぶりに感心させられました。普通は常連客じゃなければ顔なんて覚えられないのに、それなのにホテルマン失格だと自分で思っている姿勢に責任感ありすぎと思いました。

事件に関与するにつれて山岸さんがホテルマンとしての在り方について葛藤する場面が印象的でした。このホテルコルシアのお客様には気づかれない気配りや心地よく過ごしてもらうための徹底したサービスもそれにまつわるエピソードも素晴らしくて、お客様がルールブックという山岸さんのプロ根性に驚きました。このホテルコレシアに泊まりにくるお客さんは癖のある怪しい人物ばかり、盲目の女性、チンピラ、元学校の先生、ストーカー被害を訴える女性など、疑惑を持たれるような癖のある登場人物ばかりで常に緊張感があり、犯人捜しは最後の瞬間まで一気に引き込まれました。タイトルに相応しい内容で、ちりばめられた伏線が最後回収されていくところに衝撃を覚えました。張りつめられた緊迫感の中に事件とは関係ないお客様とホテルマンの会話、ホテルの日常が挟まれていて、箸休めかと思いきやそこでの会話がキーポイントだったりして、何度も読みたくなる物語でした。

南 潔著 『質屋からすのワケアリ帳簿 上』

マネジメント創造学部   1年生  塩谷 瑠緋さんからのおすすめ本です。

書名 : 質屋からすのワケアリ帳簿 上
著者 : 南 潔著
出版社:マイナビ出版
出版年:2016年

 

 主人公目黒千里は、突然会社の社長から一か月後に会社を辞めるように言われる。会社でのミスが目立つうえに、会社の切手を横領しているとの噂が立っていたからだ。しかし、それは全くの嘘で、千里はほかの従業員から濡れ衣を着せられていたのだ。しかし社長がそれを濡れ衣だとは気づくわけもなく、千里は一か月後会社を離れることになる。会社を首になってどうしようもなくなった千里は、再就職するために、たくさんの会社に応募してみるものの、帰ってくるのは全部不採用通知…、落ち込んでいる千里にさらなる災難が訪れる。千里の父親が千里の家賃を使っていたのだ。おかげで、大家さんから家賃の支払いを催促され、千里は金銭面において限界に近づいていた。

 少しでもお金を手に入れなければならないため、千里は両親の形見である結婚指輪を家の近くにある質屋からすで売ることを決意する。そこで千里は質屋カラスのオーナー、烏島に助手として雇われる。そして二人は、行方不明になっているとある女性を探すために、この事件の依頼人である宗介と一緒に質屋カラスに入ってくるいろいろな情報と千里の不思議な力を使って調査を開始する。

 この本の一番の良いところは、モノに触るとモノに残る人の思念が見える千里が行方不明になった女性を探すために不思議な力を使って、誘拐した犯人を暴こうとするところである。不思議な力を使って問題を解決するために宗介と一緒に宗介の家である豪邸の書斎に行き、不思議な力を使った結果、行方不明になっている女性が昔から続く神社のいけにえとして誘拐されたことが判明する。しかし、生理になると不思議な力を使えなくなるので烏島に2週間休むように言われる。行方不明になった女性を探したい千里は行方不明になった神社に行って力を使おうとする。行方不明になった女性を探そうと必死になって努力する姿がとても素晴らしいと私は思いました。

旭 晴人著 『ドルフィンデイズ!』

マネジメント創造学部   1年生  塩谷 瑠緋さんからのおすすめ本です。

書名 : ドルフィンデイズ!
著者 : 旭 晴人著
出版社:KADOKAWA
出版年:2018年

 

 フリーダイビングが好きな少年、潮蒼井は、就職先がなかなか決まらず、フリーターとニートのハーフ状態を続けていた。そんな時、父親が紹介してくれた求人、それがドルフィントレーナーだった。採用試験当日、蒼井は生まれ持った視力の良さで、事前審査を通過し、実技試験も途中までは難なくこなした。しかし最後、イルカとのコンビネーション演技で、蒼井は最難度の演技、イルカロケットを成功させたにも関わらず、採用試験に落ちてしまう。納得がいかず、蒼井はずっと不合格の原因を考えていた。その時に思い出したのは、コンビネーション演技で一緒に演技したイルカ“ビビ”の存在だった。蒼井はイルカロケットを成功させることができた喜びのあまり、一緒に演技をしたビビのことを考えていなかったのだ。それに気づいた蒼井は会場に戻り、ビビに自分の過ちを謝罪し、それを見ていた試験監督、海原は周りの従業員と相談して蒼井を合格にする。

 晴れてドルフィントレーナーになった蒼井は、蒼井の相棒になったビビと共にショーデビューを目指して働き始める。しかしその矢先、イルカには致命的な異変がビビに見つかる。

 私は、この本を読んで、どうして落ちてしまったのかを考え、原因に気づき、関係者以外立ち入り禁止のバックヤードにわざわざ出向き、海原や周りの従業員に、ビビに謝らせてほしいと頼み込む蒼井の行動にとても驚かされた。私が考えるに、普通の人なら、落ちた原因も考えず、原因に気づいたとしても、ビビに謝りたいと考える人はあまりいないと思う。落ちてしまった以上、いくらイルカに謝っても意味がないからだ。しかし、蒼井はそうではなく、落ちたことによる憤りは感じていたものの、一緒に演技を成功させたビビを一人プールの中に置いてきぼりにしてしまったことに気づき、すぐに試験会場に引き返し、海原たちにビビに謝らせてほしいと一生懸命頼み込んでいた。この姿を見て私は、蒼井はとても心優しい青年なのだなと思った。この本を読んで、私は、生き物へ愛情を注ぐ大切さを学ぶことができた。
 

山本 雅博 (理工学部)『大学の基礎化学 : 必要な物理・数学とともに』

 

<教員自著紹介>

この本は,全国の大学教員のネットワークを通して7人の先生に得意なところを分担執筆してもらったものである。高校から大学に入学した時の「転ばぬ先の杖」として準備した本で,化学の本であるにも関わらず,数学・物理を多く記述しているのは,「物理化学」で多くの学生が戸惑うからである。

山本は熱力学・反応速度・電気化学のところを分担した。実験器具の絵が多く書かれている点で好評な評価をまず頂いている。

■ 『大学の基礎化学 : 必要な物理・数学とともに
■ 山本 雅博 他 著 , 丸善出版 , 2021.11
■ 請求記号 430//2209
■ 配架場所  図書館   1F 教員著作
■ 著者所属 山本 雅博  (理工学部)

マネジメント創造学部 金坂 成通先生へのインタビュー

マネジメント創造学部 2年生 Aさんが、マネジメント創造学部 金坂 成通先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.普段読書はされますか?

A.仕事に関する本は毎日読みます。しかし、趣味としての読書は子どもの世話のため時間がなく、最近はあまりできていません。

 

Q.趣味として読むときにはどのようなジャンルの本を読みますか?

A.ノンフィクションやエッセイが好きです。特に、秋田犬「わさお」の名付け親であるメレ山メレ子さんの『メメントモリ・ジャーニー』が好きです。

 

Q.今までに読んだことのないジャンルはありますか?

A.ほとんど読んだことがあります。大学で仕事を得る前にPHP研究所の出版部門で数年間ですが編集者をしていたため、仕事の関係上いろいろな本を読みました。

 

Q.本を買うときや借りるとき、何が決め手でその本を手に取りますか?

A.著者で選びます。興味がある人や好きな人の本を読むことが多いです。

 

Q.最近読んで面白かった、感動した本はありますか?

A.『一億人の英文法』と『でんしゃでいこうでんしゃでかえろう』です。後者は子どものために選んだ絵本なのですが、前から読むと行きの話、後ろから読むと帰りの話になり2度楽しめます。

 

Q.大学生にお勧めの本はありますか?

A.①『バッタを倒しにアフリカへ』私と同世代のバッタ研究者の新書ですが、研究生活の楽しさが溢れています。同世代の著者にはサインを書いてもらいました。

 ②『メメントモリ・ジャーニー』著者が素敵な人でその思考も面白いため、本の内容も面白いです。エッセイなのですが「沖縄でカニに求婚される」「アフリカに自分の棺桶を作りに行く」など日常ではありえませんよね。陳腐な表現になりますが、世界には色々な人がいて、それが素晴らしいということを改めて感じさせてくれます。

 

Q.本を読むことで何か得たことはありますか?

A.3人組が知恵を出し合ってお金儲けをする話の「ズッコケ三人組」シリーズ『うわさのズッコケ株式会社』からは、楽しみながら多くのことを学びました。小学5年生の時に図書室で借りて読んだのですが、お金儲けや株式投資、出資の勉強になりました。また、社会や経済に興味を持つきっかけにもなり、今の職業につながっているのではないかと思います。少し古いですが、経済学や経営学を初めて学ぶ大学1年生が読んでみるのも面白いかもしれません。

 

<感想>インタビュー中は金坂先生ご自身の過去のお話なども踏まえて、とても明るく楽しくお話をしてくださり、あっという間に時間が過ぎました。かつてPHP研究所の編集者だったということにとても驚きました。私の周りに編集者の仕事をしている方がいないため、とても貴重なお話でした。

 

< 金坂 成通先生おすすめの本>

前野 ウルド 浩太郎 著 『バッタを倒しにアフリカへ』 光文社 ,  2017年

メレ山 メレ子 著 『メメントモリ・ジャーニー 』 亜紀書房 , 2016年

(インタビュアー:マネジメント創造学部 2年 A  )