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2018年度 第2回ブックハンティングツアー(BHT)を行いました!

201881日(水)、ジュンク堂書店 三宮駅前店・三宮店において、学生さんと図書館職員によりブックハンティングツアー(BHT)を行いました。当日は、図書館に置きたい本を書棚から選んで、 ハンディーターミナルを使って裏表紙に記載されたISBN(バーコード)をスキャンしていきました。

今回も多数の学生さんにご参加いただきました!次回第3回ブックハンティングツアーは10月12日(金)に実施を予定しています。 今回参加できなかった方は是非次回参加してみてください。

参加された学生さんの感想です

**知能情報学部 藤澤 舞さん**

今回、はじめてブックハンティングツアーに参加しました。機械でISBNを読み取るだけで自分の好きな本を選べるということで、私は90冊ほど選びました。文芸書だけでなく、専門書をゆっくりみることができ、貴重な体験をしました。IT関連の書籍はわかりやすく、身近に感じるものが多かったです。とても足が疲れましたが、午前と午後の部両方に参加してよかったと思います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**文学部 日本語日本文学科 高橋 梨華子さん**

今回、はじめてこの企画に参加しました。興味の持った本を好きなだけ選書できるということでしたが、かえって最初は何を選ぼうか迷いました。本棚をじっくり見て選ぶ2時間、とても楽しかったです。普段は書店に行っても見ないような他学部の専門の本棚を見たり、自分の興味と大学に相応しいかどうかを考えたりして、よくいく書店にも関わらず新しい発見がたくさんありました。

今回は、2階フロアが整理中とのことで希望の図書が少なかったのが残念でしたが、参加してよかったとおもいます。

 

 

 

 

 

 

 

 

柚木 麻子 『終点のあの子』

  文学部 1年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名:終点のあの子

著者:柚木 麻子
出版社:文春文庫

出版年:2012年

本との出会いは常に偶然によるものがまるで必然のように惹きつけられているように思う。私が何気なく手に取ったこの小説も、足りないものを埋めるように、私の心に居座った。

フォーゲットミーノットブルーという色を知っているだろうか。この小説ではひとつの女子高等学校のひとクラスを舞台に、4人の主人公によるそれぞれの視点の4つの物語で、思春期特有の不安定な感情や、教室内の目に見えない階級制度など、息苦しくも現実味に溢れた青春が描かれている。

私がこの小説を読み思ったことは、登場人物の身近さと心理描写の真実さである。この小説に登場する人物は、学生時代の中にいる人や学生時代を過ごした人の、周りや記憶、自分の中に必ず存在するのである。それらは、この小説が、些細な悪意でさえも、平凡な日常でさえも突き刺さり共感できる理由だと考える。そして自分の記憶が重なり思い起こされるのである。

教室という空間は非常に異質だと考える。無作為に選ばれた複数の同年代の人間が、閉鎖的空間で毎日顔を合わさなければならないのである。心が不安定な幼い人間が浅い見識で階級を付け合う。その中には希代子のように普通の人間が戸惑いにより些細な悪意を行動に起こしてしまったり、奈津子のように成長を目指し背伸びをするが上手に好転しなかったり、華やかな美人の恭子と冴えない保田の交流の結末や、周りを下に見て自分を特別視してしまう朱里など、まるで自分の周りにいた誰かと、自分自身のような人物が経験したかのような現実味のある話が展開される。

そして、現実では人はなかなか大きく改心することはない。この物語でもそんな劇的なことは起きない。希代子との関係が悪化し、朱里はさらに自分を特別視し、本当に大切な友人でさえ無くしてしまいそうになる。そんな彼女が最後に気づく取り返しのつく失敗こそがこの物語の現実味のある大きく劇的な瞬間であると思う。彼女の終点が幸せなものであることを祈って。

川上 弘美 『神様』

  文学部 1年生 匿名さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名:神様
著者:川上 弘美
出版社:中公文庫
出版年:2001年

小説の物語は常に現実が描かれている必要は無いと私は考える。私は現実の中に当たり前のように非現実的なものが混ざり合っている物語が好きだ。共に居合わせないものが共存する短編集、それがこの小説だ。

くまにさそわれて散歩に出る。この一文から始まる「神様」から、四季折々に現れる不思議な〈生き物〉たちとのふれあいと別れが9つの物語で描かれる。この小説は一冊を通して、全ての物語に共通することとして、[不思議な生き物・出来事との遭遇、それを当たり前に受け入れるわたし]がある。そして、それに伴う[切なさ・喪失感]がテーマとなっている。

著者のデビュー作でもある「神様」は、最近3つ隣に引っ越してきた【くま】と河原に散歩に行く様子が描かれる。【くま】にまるで当たり前のように人として接する【わたし】と、【くま】の熊としての一面がとても対象的に印象深く感じられる。梨の畑に現れる不思議な生き物との夏の思い出が描かれる「夏休み」は、まるで夏の終わりのような小さな喪失感が胸に広がる物語となっている。5年前に死んだ叔父がふと現れてはとりとめのない会話を続ける「花野」では、【思ってもいないことを言えば消えてしまう】という設定が最後の叔父のひとことに切なさを含ませていると考えられる。壺から現れた【コスミスミコ】とのクリスマスが描かれた「クリスマス」では痴情の縺れで壺に閉じ込められたコスミスミコと過ごす倦怠感をまとった一夜が描かれている。雪の降る日に迷い込んだ世界で不思議な男と恋をした【カナエさん】が語る「春立つ」では、春と冬で変わる季節感の描写にちなんだ不透明な恋愛が幸せと答えの一つを描き出している。そして最後の話となる「草上の昼食」では、「神様」に続き私とくまの日常の終わりが描かれる。人として馴染めきれなかったというくまが私に永遠の別れを切り出して去ってしまう中、わたしはまた次の約束を手紙で求めてしまう。心情の描写が現れる言葉と行動が切なく、小説中で一番の喪失感を感じる物語となっている。

様々な解釈のできる独特な世界感に溺れてみてはどうだろうか。

関静雄著『ミュンヘン会談への道 : ヒトラー対チェンバレン外交対決30日の記録』


書名: ミュンヘン会談への道 : ヒトラー対チェンバレン外交対決30日の記録
著者: 関静雄
出版者: ミネルヴァ書房   出版年: 2017.11
場所: 1F開架一般   請求記号: 319.33//2021

本書は、ヨーロッパで戦争勃発の瀬戸際にあった1938年9月、「ミュンヘン会談」に至るまでの30日の間、ヒトラーに対する英国首相チェンバレンほか各国の首脳、側近、閣僚、外交官が、戦争を回避するため、何を考え、どのように行動したのか、資料に基づいて克明に記したものです。

各国の外交戦略や内政事情、さらには個人の信念や思惑まで詳細に記述されていますので、当時の欧州外交の様子を細部までうかがい知ることができます。

一般に、ミュンヘン会談を象徴とする宥和政策が第二次世界大戦を招いたと批判されています。(例えば、『第二次世界大戦』チャーチル〔河出書房新社, 1975〕)

しかし、本書を読むと、結果だけを捉えた批判は無価値であることがよくわかります。

また、英仏ほか大国に翻弄される小国チェコスロバキアの苦悩や悲哀を見過ごすことはできません。

本書を読み終えたとき、歴史は人の営みであることを改めて思わずにはいられません。

記述は平易です。臨場感と切迫感はまるで歴史小説を読んでいるかのようです。

歴史を学ぶ学生の方はもちろん、歴史好きの学生の方にもお勧めします。

野矢茂樹著『大人のための国語ゼミ』

書名: 大人のための国語ゼミ
著者: 野矢茂樹著,挿画: 仲島ひとみ
出版者: 山川出版社 ,   出版年: 2017.7
場所: 2F開架一般  請求記号: 816//2097

小説家のように素晴らしい文章が書けるようになりたい、とまでは思わなくても、普通にきちんと伝わる文章を書けるようになりたい、と思いませんか。そんな人に、野矢茂樹先生の本をお勧めします。

野矢先生は哲学者です。哲学とは、「人間にとって時間とはなにか」というような、無限の問いを考え続ける学問です。考えれば考えるほど分からなくなる問題を考えるために、哲学者たちは数千年をかけて「論理学」を磨き上げました。つまり、論理学は、哲学的な思考を整理するための学問であると同時に、要点を掴みにくい文章を読みこなし、自分の意見を説得力のある文章で表現する技法でもあるということです。

この本は、基本的な論理学を使って、現代生活に役立つ文章技術(=国語)を習得するためのワークブックです。是非、ノートを広げて練習問題に取り組んでください。ひとまず感性を養うことを忘れて、論理的なテクニックから国語を学び直してみませんか。

もっと練習したい人には、同じ野矢茂樹先生の『論理トレーニング101題』もおすすめです。

2018年度 第1回ブックハンティングツアー(BHT)を行いました!

2018年6月8日(金)、MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店において、学生さんと図書館職員がブックハンティングツアーを行いました。当日は、図書館に置きたい本を書棚から選んで、 ハンディーターミナルを使って裏表紙に記載されたISBN(バーコード)をスキャンしていきました。

今回は多数の学生さんにご参加いただきました!次回第2回ブックハンティングツアー(BHT)は8月1日実施を予定しています。 今回参加できなかった方は是非次回参加してみてください。

参加された学生さんの感想です

**文学部歴史文化学科 金澤舞奈さん**

私は6月8日に行われたブックハンティング・ツアーに参加しました。昨年、店頭選書ツアーに参加して以来、2回目となります。大体の作業要領がわかっていることで、落ち着いて選書することができました。

途中、読んだことのない分野の本を手に取りました。それは「サル学」の本です。普段、小説や歴史の学術書を読んでいますが、それ以外の本はあまり手を付けていません。全く読んだことのないジャンルもあります。サル学はそのうちの一つです。少しばかり読んでみると、今まで知らなかったことが書かれており、もっと知りたいと感じました。また、サル学だけではなく、今まで読まなかったその他の本も読もうと思いました。そうして、今まで知らなかった世界に触れることで、自らの視野を広げていきたいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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**文学部人間科学科 村岡ななみさん**

ブックハンティングツアーに参加したのはこれで3回目になります。今回の選書では今までと違い、リストに書名とISBNを記入するのではなく、バーコードを直接機械で読み取るだけで済むようになっていました。進化しています。自分の興味が引かれた本を手に取り、中を見て読み込みます。制限はありません。心の赴くままに本を選ぶことができます。既に図書館に入っているかどうかなどを調べるのは私たちの仕事ではありません。まるで、司書のお仕事のいいとこ取りのようではありませんか。

図書館が好き、読みたい本がありすぎて困る人には言わずもがな、大変幸せになれるイベントかと思います。しかし、大学図書館に面白い本なんてないと思ってる人にこそ参加してほしい。参加して、面白いと感じる本をたくさん入れてほしいと思います。古くさくて退屈な図書館を、自分の手で変えていくことができるのですから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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*文学部日本語日本文学科 森下大暉さん**

今回初めて店頭選書に参加させてもらいました。感想はと言うと、とても楽しかったです。いつもと違い人に自分の選んだ本が見られるとなると緊張するものがありました。しかし、それ以上に自分の好きな本が選べて、自分の個性が出ることがとても楽しいことだと思いました。他の人が選んだ本も見てみたいし、できたら自分の選んだ本が少しでも多くの人の目に留まり興味を引き、手に取ってもらえたらとてもうれしいことだと思います。自分が選んだ本がどんな評価を得てもそれは仕方がないことだと思います。ただでさえ本を見つけることが楽しいのにそれを無制限に選べるなんてとても楽しく魅力的な企画だと思っていました。実際行ってみるとその通りになりました。とても楽しい企画でまた参加したいと思いました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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**法学部法学科 辻田惇樹さん**

ブックハンティングツアー初参加です。
たくさんの本を目の前に3時間、楽しかったです。
自分の学部の本については充実した選書ができたと思いますが、他学部の本については知識が追いつかず、なかなか難しいものがあったので、様々なものに着眼を置いて、浅い知識もある程度仕入れていく必要性を感じました。
このような機会を与えていただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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**文学部社会学科 三好春希さん**

調べることが決められていない状態での選書は初めてで、最初のうちは戸惑いもありましたが、慣れてくると自分が興味を持ったかどうかだけではなく他の人も読みたいと思うかどうかも考えて選べるようになりました。これからの大学生活でも客観的に本を選ぶ力を伸ばしていきたいと思います。