2.おすすめの本」カテゴリーアーカイブ

有川浩著 『県庁おもてなし課』

知能情報学部 4年生 Aさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :県庁おもてなし
著者 : 有川浩著
出版社:角川書店
出版年:2011年

この小説は、高知県を舞台にした地域密着型の物語であり、実際に行ったことない土地なのにその風景が自分の頭の中化にありありと浮かぶ作品である。高知県に行ったことがない人でも、高知県に行ってみたいと必ず思う、それほどに高知県の魅力が詰まった一冊だと感じた。かくいう自分も読み進めていくうちに高知県の魅力に取りつかれ、実際まだ現地には行けてないものの、ポップアップストアなどが開催されている際は、必ずのぞくようになってしまうほどだった。

本のあらすじとしては、高知県に実在する「おもてなし課」に所属する主人公が、一般の人たちの知恵を借り、試行錯誤を繰り返しながら、高知県を盛り上げるために頑張るお話。しかし、あくまで役所の人間。よく言われるお役所仕事の塊の主人公が、一般の人たちとの交流によって、少しずつ庶民感覚を取り戻し、どうすれば盛り上げていけるのかを解決していく。

そして有川浩作品にはつきものである甘酸っぱい恋愛ももちろん描かれており、お役所のぐだぐだ仕事から最後の未来に希望溢れる展開まで、魅力たっぷりの作品である。

私はこの作品を読み、先述した通り高知県の魅力に取りつかれた。自然豊かでのんびりとした土地。魅力的な登場人物。そして聞きなれない高知弁なども楽しむことができる。そして主人公がいかにもお役所にいる頼りない人間というのも、読み進めていくうえで、感情移入もしやすく、そして主人公と一緒に庶民感覚を養えるように感じることができる。

そして主人公が出会ったアルバイトの女性との甘酸っぱい恋愛、デートも魅力の一つである。高知の観光名所を回るデートは、観光名所の良さと工夫を味わうことができる。

是非この機会に「県庁おもてなし課」を読んで高知の魅力を体感してほしいと思う。

東川 篤哉著 『殺意は必ず三度ある』

知能情報学部 4年生 Aさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 :殺意は必ず三度ある
著者 : 東川篤哉著
出版社:実業之日本社
出版年:2006年

自分がこの本を読むきっかけとなったのは、この作者のファンという点が大きい。この作者は、ミステリー小説によくある重い雰囲気ではなく、軽い雰囲気で進み、読みやすい小説を書く人である。それでいて、作りこまれたミステリーは読みごたえ抜群で、楽しい時間を過ごすことができる。

簡単なあらすじとしては、敗退常連の鯉ヶ窪野球部のグラウンドから、なぜかベースだけ盗まれていくというところから始まった。主人公が所属する探偵部はこの事件を解決しようと奮闘する。しかし事件を解決するきっかけは全くつかめず、時間だけがどんどん過ぎていく。そんな中行われたライバル校との練習試合。とんでもない事件が起きる。試合終盤に野球部の監督が殺害されてしまうのだ。動機も全く分からず、球場ではアリバイ実験が行われ、混沌とした状況になっていく。

この事件に探偵部所属の主人公率いる3人は首を突っ込む。果たして事件の真相はどうなるのかというお話である。

今回の小説のポイントは、野球部が舞台となっていて、鯉ヶ窪に所属する主人公3人組がしっちゃかめっちゃか頓珍漢な推理を披露しながらも進んでいく。そして学生ならではの目線や心情が描かれており、頭の中で何が起きているかのイメージも容易である。また、野球部が舞台ということもあった野球ネタがふんだんに取り込まれていて、野球が大好きな自分のとっては読み進めていくことがとても楽しい作品であった。あまりにもディープな野球ネタがふんだんに取り込まれているので、作者がいかに野球を好きなのかもわかる。

肝心のミステリーの内容は、とても作りこまれていて、伏線あり、大どんでん返しありの素晴らしい作品であった。この作者の特徴である、軽い雰囲気で進む推理と読み進めやすい内容で読んでいて爽快感を味わうことができる。

[藤棚ONLINE]フロンティアサイエンス学部・川内敬子先生『この世を生き切る醍醐味』

図書館報『藤棚ONLINE』
フロンティアサイエンス学部・川内敬子先生推薦『この世を生き切る醍醐味』

樹木希林著
朝日新聞出版, 2019

 役者の樹木希林さんの亡くなる数ヶ月前のインタビューを本にした一冊です。仕事や結婚に育児、そして14年間のがん闘病生活まで、樹木希林さんが実践した“楽しく生きるためのコツ”について記されています。後半には娘である内田也哉子さんから見た母親としての樹木希林さんについて記されています。樹木希林さんは、苦しいことを周囲に伝えることなく、命を全うされ、立派な母親であったと称賛されています。

  一生のうち2人に1人が、がんにかかる時代となりました。現在、さまざまな医療へのアクセスが可能となり、“がんを不治の病である”と考えている人はそれほど多くありません。とはいえ、がんにかかると誰もがストレスを感じ、進行がんになると、多くの方が痛みを感じます。辛さや痛さを口にすることは悪いことではありませんので、樹木希林さんの素晴らしさは、苦しい思いを伝えないことであったとは思いません。樹木希林さんが、“自然の摂理の中で人は生まれては死んでいくこと“を、身をもって次の世代に遺したということを知り、樹木希林さんに対して尊敬の念が強くなりました。

  私は、“カッコいい人生の幕引きのために、日ごろから心がけておくことは何か?” という疑問に対する答えを求め、この本を手にしました。読み終えても、その答えは得られませんでしたが、樹木希林さんの考えを納得することで、肩の力が抜けました。自然の摂理の中で生きているのだから、無理に力を入れないで過ごす日も大切にしたいと考えられるようになりました。是非、皆さんも読んでみてください。

前田裕二著 『メモの魔力 = The magic of memos』

知能情報学部 4年生 Yさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : メモの魔力 = The magic of memos
著者 : 前田裕二著
出版社:幻冬舎
出版年:2018年

メモで生活が大きく変わるかもしれません。あなたは、どんな時にメモを取りますか?買い物や持ち物のリスト、あるいは予定について忘れないように取ることが多いですよね。では、あなたはメモを内容の確認以外で活用したことがあるでしょうか?今回おすすめする本を読めば、あなたはきっと普段注目しないメモに隠された様々な活用法を知り、普段の生活で得られる情報量もグッと上がることでしょう。その本こそが、起業家でコメンテーターでもある、前田裕二さんの「メモの魔力」です。

名前からして惹かれるものがありますが、本書には名前の通り普段、何気なく書いていたメモがただの記録ではなく、たくさんのアイデアを生み出す魔法のアイデアボックスに変わってしまうようなメモの取り方、使い方について、分かりやすくそして面白く書かれています。また、活用法や情報を得る方法もたくさん書かれていますが、読んでいると分かりやすい例と共にたくさんの知見が得られ、メモから得られる魔法のような効果に興味を惹かれどんどん読み進めてしまいます。そして、この本の最大のポイントはメモを使って、より楽しい人生を送る方法、自分の本当にしたいことについて考える大きなヒントになることです。一見メモからそこまで大げさな、と思うかもしれませんが読めば分かってくるでしょう、今までメモをあまり重視したことがなかった人も、この本を読めば、「メモ魔」になってしまうと思います(笑)。

メモにはアイデアボックス、言語能力、傾聴能力の向上、自己分析、あるいは夢をかなえる方法まで、様々な可能性があったのです。メモの有効な活用法が知れることはもちろん単純に内容も面白く、読んでいてやる気を引き出されるので、あなたもぜひ、メモから生活の質を上げてみてはいかがでしょうか?

成毛眞著 『2040年の未来予測』

知能情報学部 4年生 Yさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 2040年の未来予測 
著者 : 成毛眞著
出版社:日経BPマーケティング
出版年:2021年

いきなりですが、あなたは20年後には今や一家に一台はあるテレビがほとんどなくなると言われたら信じるでしょうか。厳密にはテレビというコンテンツはなくならないそうですが、近年の技術の進歩はすさまじく、数年先のことさえ予想することは難しい世の中になってきています。

そんな中20年も先の未来「2040年」に実現していることを予想した本を見つけました。20年間というとちょうど自分たちが生まれてきてから今までぐらいの期間ですが、その本こそが元日本マイクロソフト社長の成毛 眞さんが執筆された「2040年の未来予測」です。本書では20年後の日本で起こるであろうことを、技術革新や、人口推移、経済などの観点から語られているのですが、未来で起こることを予測し、知ることで適応するために今の生活を見直してみようというメッセージが込められているため、ただ起こることの予測が書かれているのではなく、その理由や知っておくと今すぐ生活に直結しそうな知識が、分かりやすく書かれています。そのため、未来で起こりうる技術に興味がある人はもちろん、知っておいて損はないものとなっているため万人におすすめできる一冊であると私は思います。

本書では、たくさんの未来の事柄が予想されているが私が一番興味深かったと思う内容は、ワクチンの開発スピードが飛躍的に上がるというものです。私たちは、ここ数年間コロナウイルスに長い間苦しめられてきましたが、あと20年後には新型ウイルスや現在難病とされている病気も対処できるようになるものが増えるそうなので、ぜひ期待したいと思います。本書はテクノロジーの躍進などを中心に語られてはいるものの、難しい専門用語が使われているわけではなく内容も一つ一つが興味を惹かれるものであるため、とても読みやすい一冊となっています。

未来に起こることを予測という形で知ることで今から出来ることもあると思うので、ぜひ読んでみてください。

伊坂幸太郎著 『ガソリン生活』

知能情報学部 4年生 Mさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : ガソリン生活 
著者 : 伊坂幸太郎著
出版社:朝日新聞出版
出版年:2013年

「ガソリン生活」。このタイトルだけを聞いたとき、どのような内容の小説を想像するだろうか。

自分は車無しでは生きていけないような人物が主人公の小説を想像した。もしくはガソリンスタンドで働く人の話かなと想像する人もいるかもしれない。そんなことを考えながらいざ読み始めると、開幕から「燃料を燃やし、ピストンを上下させ、車輪を回転させて走行する、あの躍動感こそが生きている実感である」とくる。この言葉から分かるように、この小説の主人公は最初から最後まで車であり、車が語り部となってこの小説は進行してゆくのである。どのような世界観なのかというと、どの車も人間のように意思をもっており、車同士で会話もできる。その一方で人間とは一方通行であり、人間の言葉を車は認識することはできるが、車の言葉を人間は認識することはできないといった感じである。

そして主人公の車は望月家の緑のデミオであり、物語はこのデミオが渋滞に巻き込まれているところから始まる。車内には望月家長男の良夫(大学生)と、その弟の亨(小学生)がおり、元女優の荒木翠の不倫疑惑について話している。するとまさに今話題にしていた荒木翠が追手から逃れるためにデミオに乗り込んでくる。所定の場所まで送り届けてひと段落かと思いきや、その後荒木翠が交通事故によって死亡したという事が翌日明らかになる。これをきっかけに望月家はより大きな事件に巻き込まれてゆく。

この小説を読んでいて面白いなと感じた点は、主人公が車であるために、物語の主要となる場面に直接居合わせることができないことがあるという点だ。その場合その場面に居合わせた人物がデミオの車内でそのことについて会話をすることで初めてその場面が描かれる。つまり舞台がデミオでない限り物語が過去形で語られることになり、これは他の小説ではあまり無い特徴だなと思い印象に残った。