月別アーカイブ: 2013年4月

服部正也著『ルワンダ中央銀行総裁日記(増補版)』

服部正也著『ルワンダ中央銀行総裁日記(増補版)』 中公新書290
図書館1階開架小型 S081.6/290/29

IMFからの技術援助の一環で、アフリカの中央にある国「ルワンダ」の中央銀行に、総裁として派遣された服部正也氏の記録です。
服部氏が着任されたのが1965年で、この本は1972年に発行されたのですが、古さはまったく感じません。

当時のルワンダは独立したばかりの国で、『中央銀行』といっても、何もない。
経済は設立当初から破綻寸前で、外貨は底をつきかけ、銀行券(お札)さえ足りていない。
人員不足、技術不足だけではなく、植民地時代からの悪習や差別、劣等感などとも戦わなくてはならない。

赴任初日のベッドの中で、服部氏はこう思います。
「なるほど中央銀行の現状は想像を絶するぐらい悪い。しかしこれは逆に見れば、これ以上悪くなることは不可能であるということではないか。そうすると私がなにをやってもそれは必ず改善になるはずである。・・(中略)・・働きさえすればよいというようなこんなありがたい職場がほかにあるものか。」
そして、服部氏はルワンダ経済を自立させるために、敢然と取り組んでいきます。

中央銀行の役割を理解するだけではなく、国際貢献に対する考え方、何より最も困難で責任ある仕事への取組み方を知ることができます。
服部氏は、この本の最後を次の言葉で締めています。
「途上国の発展を阻む最大の障害は人の問題であるが、その発展の最大の要素もまた人なのである。」

—-

服部氏がルワンダを去った後、順調に経済を発展させていたルワンダですが、1994年に世界を揺るがした凄惨な内乱がおきました。
2009年に出版された増補版には、服部氏によるこの事件についての論考が追加されています。

リジー・コリンガム著『戦争と飢餓』

『戦争と飢餓』 リジー・コリンガム著
1階開架一般 209.74//2019 

「第2次大戦中、少なくとも2000万の人々が、飢餓、栄養失調、およびそれにともなう病気によって、こうした悲惨な死を迎えた。この数字は、軍人の戦死者数1950万人に匹敵する。・・・・・ 」 (「序」より)

「餓え」とはどういうものか創造できますか?
ナチスの政権は飢餓させる方策が非効率であることに気づき、ホロコーストでの殺戮に至った。
第2次世界大戦において、日本人の戦没者の過半数は餓死であった。
ニューギニア島では、みみず、ねずみ、こうもり、ありとあらゆる昆虫、野草を食べつくし、最後には「連合軍兵士の死体は食べてもよいが、同胞の死体は食べてはならない」との命令が発せられていた・・・。
是非、一度、手にとって、数ページでもいいので、読んでほしいです。

『アウンサンスーチー : ひき裂かれた愛』(DVD)

『アウンサンスーチー:引き裂かれた愛』(DVD)
※DVDは図書館内でのみ視聴できます。

ミャンマーで民主化運動を牽引し、アジア女性初のノーベル平和賞を受賞したアウンサンスーチー。 国内で15年にわたり自宅軟禁を強いられながらも、揺るがぬ意思を持ち続けた彼女の半生を描いたリュック・ベッソン監督作。
内容(「キネマ旬報社」データベースより)

みなさんは、アウンサンスーチーさんのことを知っていますか?
ミャンマーにおける非暴力民主化運動の指導者で、ノーベル平和賞授賞者。
まずは、映画で彼女のこと、ミャンマーのことを学んでみませんか。
興味が湧けば、本も読んでみてください。

編集委員 前田 忠弘(法学部 教授)他『 刑事法理論の探求と発見- 斉藤豊治先生古稀祝賀論文集 』( 成文堂、2013年1月刊)

<書籍紹介>
本書は、甲南大学名誉教授である斉藤豊治先生の古稀をお祝いして編集された論文集
である。近年、犯罪の予防と対策に対する関心が高まり、この領域における立法と
法改正が頻繁に行われている。
そこで本書には、そのような動向を反映する刑法、刑事訴訟法、少年法、刑事政策の
領域の論文、31本が収められている。

■『 刑事法理論の探求と発見- 斉藤豊治先生古稀祝賀論文集 』成文堂、2013年1月刊
■ 編集委員 前田 忠弘(法学部 教授)他
■ 先生からのお薦め本
加藤幸男・前田忠弘監修『司法福祉―罪を犯した人への支援の理論と実践―』(法律文化社・近刊)

新入生の皆さんへ

新入生の皆さん、入学おめでとうございます。明日から授業も始まります。新しいことばかりで、不安と期待が織り混じった気持ちに満ちているかと思いますが、何事も、はじめの滑り出しが大事です。くれぐれも授業をおろそかにすることがないようにしてください。
皆さんが学校に来て腰を落ち着けるところとして、是非図書館を候補にしてください。昨今、履修科目数の上限が多くの学部で設けられています。皆さんがいくら張り切っているとしても、時間割をびっしり埋めることはできないと思います。むしろ、すかすかの状態になると思います。空いた時間をどうするか?→→→図書館に行きましょう!皆さんが快適に空いた時間を過ごすことができると思います。
今年度から、図書館内に共同学習の場(ラーニングコモンズ)を設置することも決まっています。そうなれば、友人といろいろと議論しながら勉強することもできます。もちろん、図書も雑誌もいっぱいありますよ。図書館をスマートに使いこなせるようになってください。
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長濱宏治先生(フロンティアサイエンス学部)「地頭力を鍛え、クリエイティブな生き方を!!」

☆新入生向けの図書案内

著者: 細谷功
タイトル: 地頭力を鍛える : 問題解決に活かす「フェルミ推定」
出版者: 東洋経済新報社
出版年: 2007
配置場所: 図書館 2階中山文庫一般
請求記号: 336/H

 今、新入生のみなさんは、胸いっぱいに大きな希望を抱いているに違いありません。一方、それと同時に、これから大人として自分の人生をどのように生きていこうか、という漠然とした不安を抱えている人も少なくないのでは…。
 人生は「クリエイティブな生き方」そして「ルーチンワーカーとしての生き方」に大別できると思います。平凡な人生よりも、チャレンジングなそしてクリエイティブな生き方をしたくて、みなさんも甲南大学に入学してこられたのでしょう。クリエイティブな生き方をするためには、正しい目標の設定と、その目標を達成するための正しい戦略の選択が重要です。ただ、それらは、何となく雰囲気で決めることではありません。何を目指すのか、それをどのように達成するのか、それらは論理的に決定されなければいけません。大学を卒業した後、自分の人生を望んだように展開させるためには、今のうちから“地頭力”(論理的にものを考える力のベースとなる知的能力のこと)を鍛え、論理的に思考を築くためのトレーニングをしておく必要があります。そこで、私はみなさんに『地頭力を鍛える 問題解決に活かすフェルミ推定』という本を紹介します。
 フェルミ推定とは、「日本にある郵便ポストの数」など、実際に調査するのが難しくとらえどころのない数量を、知っている知識だけをもとに、合理的な仮定と論理性を駆使して、短時間で概算することです。フェルミ推定は知的ゲームとして、とてもおもしろいものです。加えて、近年、フェルミ推定がビジネスの現場で必要な“地頭力”を鍛える手法として注目され、多くの企業の面接試験で出題されるようになりました。フェルミ推定で地頭力を鍛え、みなさんの人生を論理的に、そしてクリエイティブに設計してください。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.30 2013) より