2.おすすめの本」カテゴリーアーカイブ

藤崎 彩織 著 『ふたご』

法学部 1年生 Oさんからのおすすめ本です。

書名 : ふたご
著者 : 藤崎 彩織 著
出版社:文藝春秋
出版年:2017年

 皆さんはどうして高校を卒業し、今大学に通っているのでしょうか。

 きっと、大半の人が将来を考えての選択をしたのだと思います。私を含め、多くの人が未来のことを考え、学校を辞めるという選択はしてこなかったはずです。

 しかし、この本、登場人物の1人である月島は違いました。高校はつまらないから、行く目的がわからないから。この理由だけで学校をポンと辞めてしまうのです。そんな破天荒すぎる少年、月島が主人公である夏子を振り回しながら生活していくのが『ふたご』の物語です。

 『ふたご』は藤崎彩織さんが書いた小説です。藤崎彩織さんは、男女混合バンド「SEKAI NO OWARI」でピアノ演奏を担当しているSaoriさんです。Saoriさんが自分で経験したバンド結成の話をベースに書かれているので、この物語はほぼノンフィクションの実話です。さきほどでてきた破天荒少年月島は深瀬をモデルに、主人公夏子はSaoriをモデルに書かれたと言われています。それを踏まえて読むとすごく面白いです。これが本当にノンフィクションなのかと疑うほど現実味のない話ばかりだからです。

 現実味のない破天荒なことを月島は次々に行っていきます。そして、どん底に落ちます。波乱万丈すぎる人生をおくる月島。どれだけ壮絶な人生を送ったのかが見所なので、是非読んでみてください。月島はどん底から抜け出せることができるのでしょうか。

 そのほかにもバンドを始めるきっかけや、成功するまでのたくさんのエピソードなど、バンドの裏側を知ることができることもこの本の魅力の1つです。

 最後に題名についてお話ししたいと思います。皆さんは仲の良い友達のことをなんと呼びますか?普通は「親友」と呼ぶのが一般的だと思います。しかし、月島は夏子との関係を親友とは呼びませんでした。この本の題名でもある、「ふたご」と呼びました。このことばに隠された2人の関係はどのようなものなのでしょうか。

 そんなことを考えながら、ぜひ読んでみてください。

石原顕光著 『トコトンやさしいエントロピーの本 』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : トコトンやさしいエントロピーの本
著者 : 石原顕光 著
出版社:日刊工業新聞社
出版年:2013年

化学の授業で初めて「エントロピー」と言われた時、まったく何を言っているのかわからなかった。授業が終わった後、何度教科書をみたがやはりわからなかった。
そこでエントロピーについて詳しく書かれた本を図書館で探していた時、この本に出会った。
最初は「トコトンやさしい」という題名に惹かれ、この本を読みだした。するとびっくりするくらいわかりやすく書かれていて、自分がわからなかったところもピンポイントで解説してくれており、この本を最後まで読み終えたとき、エントロピーの全体像がつかめていました。
理系の人は嫌でもエントロピーを学ばないといけないので、理系学部の人はぜひとも一度手に取ってみてください。

[藤棚ONLINE]文学部・安武留美先生 推薦『夢酔独言/Musui’s Story』

図書館報『藤棚ONLINE』
文学部・安武留美先生 推薦『夢酔独言/Musui’s Story』

 最近話題を呼んだNHK BS ドラマの「小吉の女房」をご存知ですか?

 このドラマは、勝海舟の父親小吉が、自分の歩んだハチャメチャな人生を猛反省し自ら反面教師となるよう子孫に書き残した話がベースになっています。勝海舟の伝記や研究書で引用され『海舟全集』にも収録されたというこの話は多くの人の目にとまり、編集されて勝小吉の自叙伝『夢酔独言』として日の目を見ました。

 BSドラマで古田新太演じる小吉は、原作を基に書かれた子母澤寛の小説『父子鷹』に出てくる「正義の味方」的要素の強い善良な人物ですが、『夢酔独言』から浮かび上がる小吉と家族の姿はもっと複雑です。小吉は、特権階級である下級武士の妾の子として生まれ、幕末の大きな社会変化に対応できない旧態依然の身分社会で永久的失業者として生きていかねばならず、決死の覚悟でその不運や社会の矛盾に抗う不良者です。またドラマでは沢口靖子演じる良妻賢母の「小吉の女房」が原作に登場することはほとんどなく、唯一の逸話には、小吉が他の武家の女性に惚れ込んだ時、彼女が自分の命と引き換えにその女性の家族と談判しようと申し出る様子、そして小吉がその妻の苦労と献身に周りの助言で気づくことが書かれています。一家は幕府から授かる扶持(年金)だけでは極貧の生活を強いられるのに、小吉は武士、町人、農民、乞食、ならず者の境界線を行き来しながらやりたい放題、つまり『夢酔独言』は今の常識−特にフェミニスト的視点−からするととんでもない話ばかりです。それでも、矛盾に満ちた社会の中で一本筋を通しながら着実に自分の居場所を築いていった小吉とその周りの人々の姿には、考えさせられたり気づかされたりすることも多いのです。

 ここに挙げたのは入手しやすい勝部真長氏の編集した当時の文体そのままの『夢酔独言』です。勝部氏による現代語訳版は絶版なので、Teruko Craig氏が平易な英語に訳したMusui’s Storyも挙げておきます。実はMusui’s Storyはアメリカの大学の(学部生向け)日本史授業の副読本として人気があり、古文書に読み慣れない方々にお薦めします。

谷川浩司 著 『谷川浩司全集 』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 谷川浩司全集
著者 : 谷川浩司 著
出版社:毎日コミュニケーションズ
出版年:1994年

兵庫県神戸市出身で終盤戦の寄せが早いことから「高速の寄せ」と呼ばれた谷川浩司先生による自戦記本です。一つ一つ丁寧に谷川浩司先生が解説、さらに当時の心境など余すところなく語ってくれている本になっています。
谷川浩司ファンや将棋中級者以上の方におすすめできる本です。

鈴木宏彦著 ; 羽生善治 [ほか述] 『イメージと読みの将棋観 』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : イメージと読みの将棋観
著者 : 鈴木宏彦著 ; 羽生善治 [ほか述]
出版社:日本将棋連盟
出版年:2008年 10月

ある一つの局面を棋界のトップを走り続ける6人の棋士が先手番か後手番のどちらが有利なのか徹底的に読みあうプロ棋士の大局観を学ぶことができる本です。

全3部構成になっており、第1部はいろいろな駆け引きが繰り広げられる序盤戦における大局観、第2部では、戦いが勃発する中盤戦における大局観、第3部では、将棋において一番難しいといわれる終盤戦における大局観を学ぶことができます。将棋が強くなりたいと思っている方などはぜひ一読してほしい本です。

藤井猛 著 『最強藤井システム 』

理工学部  1年生 石山 遥希さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 最強藤井システム
著者 : 藤井猛 著
出版社:日本将棋連盟
出版年:1999年 7月

1995年12月22日。一つの革命が起こった。第54期B級2組順位戦の7回戦。藤井猛六段vs井上慶太六段(段位は当時のもの)の対決だった。先手番だった藤井六段が独自で研究した振り飛車戦法を採用。対して井上六段が居飛車穴熊戦法を採用した。誰もが居飛車穴熊戦法が勝つと思っていた。しかし、結果はなんと、47手という短手数で藤井六段が勝ったのである。その後藤井猛は独自で編み出した戦法で居飛車穴熊戦法を次々に倒していった。その後、藤井猛が編み出した振り飛車戦法は「藤井システム」と名付けられ、優れた新戦法を編み出した人に送られる升田幸三賞を受賞したのであった。

本書はその藤井猛が編み出した藤井システムを徹底的に説明した定跡書である。2部構成になっており、第1部は定跡編で先手番藤井システムと後手番藤井システムを余すことなく紹介している。あまりの詳しさぶりに鳥肌が立ったのを覚えている。第2部では自戦記編で合計20の棋譜が載ってある。是非盤に並べて鑑賞してほしい。藤井システムの迫力がよく伝わってくると思う。

本書は、初級、中級者の方はかなり難しい内容になっている。初級、中級者の方はまず普通の振り飛車戦法を徹底的に勉強してから本書に取り組んでみてほしい。有段者の方で振り飛車戦法が好きな方や藤井システムという戦法は知っているが、いざ指して見ると難しくてよく分からないと思っている方は是非本書を読んでほしい。藤井システムの全貌がよくわかるはずだ。