月別アーカイブ: 2020年2月

[藤棚ONLINE] スポーツ・健康科学教育研究センター・伊東浩司先生推薦『なるほど最新スポーツ科学入門』

図書館報『藤棚ONLINE』
伊東浩司先生(スポーツ・健康科学教育研究センター) 推薦

 今回、私が紹介したい本は、「なるほど最新スポーツ科学入門」である。
 この本は、日本女子体育大学の吉田先生と順天堂大学の青木先生と共に編者として、2020年2月に発行されたもので、アテネオリンピック体操団体金メダリストの冨田洋之先生をはじめ、スポーツ科学を専門とする22名の先生方に、わかりやすく執筆していただいたものである。
 まずは、本学スポーツ・健康科学教育研究センターの曽我部先生にも執筆していただいているpart1のオリンピック(パラリンピック)における体操、柔道、陸上競技の秘話と歴史を読むだけで、2020年の東京オリンピック(パラリンピック)大会を少し専門家になった気分でテレビなどの観戦ができるぐらいわかりやすくて面白いものなので、是非読んでもらいたいと思う。
 本学学生の皆さんに、特に読んでもらいたいのが、パラリンピックの歴史と取組みの章である。2020東京オリンピック大会後に、パラリンピック大会が開催されることもあり、注目度が高くなってきているが、そもそものルーツを知ることで、この大会の意義などを知ることができる。
 これ以外にも競技スポーツを「する・見る・支える」という観点から、スポーツ科学にまつわるさまざまな分野を本学の学生の皆さんでもわかるように解説していただいものばかりなので、1章だけを読むのでも結構なので一度手に取って是非読んでもらいたいと考える。

ライブラリサーティフィケイト学生企画『山田風太郎とその作品たち』を展示中!

 現在、図書館1階エントランスにて、KONAN ライブラリ サーティフィケイトの1級要件である学生企画として、『山田風太郎とその作品たち』を展示中です!

 忍者といえばこの人というべき山田風太郎ですが、その名前は知らなくてもメディアミックスされた『バジリスク~甲賀忍法帖~』のタイトルくらいは聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。
 企画された文学部4年生の学生さんは、個人所蔵の文庫本を展示のためにたくさん持ってきてくれました。復刻版ではない、初期の表紙イラストなども興味深く面白いのでぜひ見てみてください。また、忍者物以外にも色んな作品があり、展示で紹介しています。もちろん甲南大学図書館にもいくつか所蔵があり、展示しています。(残念ながら忍者物はほとんど文庫で単行本がないため、本学図書館にはあまり所蔵がないのですが…)
 また、今回の展示には山田風太郎記念館にご協力いただき、山田風太郎氏の写真画像をお借りできました。企画の学生さんがなんと山田風太郎記念館の会員とのことで、個人的に同記念館の方と交渉した結果であり、ご快諾くださいました同記念館の皆様のおかげをもちまして大変すばらしい展示になったと思います。
 この場を借りて、甲南大学図書館からも、改めて山田風太郎記念館関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。
 →山田風太郎記念館HPはこちら

 この企画は4月まで展示しておりますので、図書館にお立ち寄りの際はぜひ見てみてください。
 なお、展示されている本のうち、向かって左側展示ケースにある図書館所蔵の関連図書は貸出可能ですので、借りたいという学生さんは図書館2階ヘルプデスクにお申し出ください。

図書館1階エントランスにて展示中!

多読チャレンジ 50冊達成者がでました!

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー
大野瑞姫(おおの みずき)さん
文学部英語英米文学科 3年次生

  2020年2月6日に多読チャレンジ50冊を達成されました。

 1・2年次生の時に引き続き、今回で3回目の達成となります!
授業と授業の間の空いた時間などを活用し、本を読まれていたとのこと。チャレンジの成果として、文章を読むのが速くなったことを実感しておられ、TOEICでは930点を取ることができたそうです。
 多読の他にも海外のYouTube動画を見たりして勉強されています。語学が好きとのことで、今後は英語、フランス語だけでなく、スペイン語にもチャレンジし、将来は旅行関係の仕事をしてみたいと話されていました。
 以下は、ご本人のアンケートによるものです。

○『多読チャレンジ』達成の感想を教えてください。または、『多読チャレンジ』達成の為に工夫した事を教えてください。

――毎年参加していたので今年も参加できてよかったです。すき間の時間にずっと読んでいました。

○『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

―― やはりTOEICとか実践的な場面で文を読むのが、よりはやくなったように感じます。

○チャレンジする図書はどのように選びましたか?図書館ブログや展示棚に紹介したBook Reviewは役に立ちましたか?

――表紙を見て自分の好きそうな楽しそうなものをえらびました。Book Reviewから選んだ本もありました。

○現在チャレンジ中の『多読チャレンジャー』へメッセージをお願いします。

――休憩しつつがんばってください。

尾原 宏之(法学部)『公正から問う近代日本史』

<教員自著紹介>

「格差」や「不平等」の現実に対して「公正」を求める声は強まる一方です。ところが、「公正」の基準は常に複数存在しており、そのことが問題の解決を困難にしています。

そこで、比較的若い世代の研究者が集まり、歴史的観点から「公正」という主題に挑むことにしました。外交、軍事、教育、医療、人事など近代日本史の最新研究から「公正」を考える、ユニークな書物になっていると思います。

■『公正から問う近代日本史
■ 佐藤健太郎, 荻山正浩, 山口道弘編著 ; 尾原 宏之  [ほか執筆] ,吉田書店 , 2019年3月
■ 請求記号 210.6//2231
■ 配架場所図書館   1F 教員著作
■ 著者所属  尾原 宏之(法学部)

マネジメント創造学部 寺内 衛 先生へのインタビュー

マネジメント創造学部  4年生 Iさんが、マネジメント創造学部 寺内 衛 先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  先生が思う「本を読む」こととは何ですか。

A.  本を読む目的はさまざまだと思いますが、その際に誰しもが必ず行なっていることは「著者が“文章”を使って伝達しようとした情報を読み取る」ことです。文字は高度に抽象化されたものであるため、文章を読むことで、①文字認識→②著者によって設定された状況の推定→③著者による仮託の回復と理解、という極めて複雑なプロセスを読者自身の頭のなかで絶え間なく行なっている(≒“あたまを使っている”)ことになります。特に②と③のプロセスは読者一人ひとりの背景知識の量と質に直接的に依存しますから、一冊の本であってもそれこそ読者ごとに異なった受容が可能になります。ちなみに、漫画や動画は①と②のプロセスを受け手が独自に行なう余地が殆ど無いので、作者のイメージがほぼ直接的に受け手に伝わります(作者と受け手が同じ文化圏に属している場合)。

Q.  先生の「本の読み方」について詳しく教えてください。

A.  専門分野や仕事上など「必要に迫られて行なう読書」の場合は、目的とする情報を如何に速く獲得するかが大事だと考えています。ですので索引や目次を最大限に活用して「読むべき箇所」を可能な限り短時間で確定します。その後「読むべき箇所」を精読し、必要に応じて関連項目にも目を通します。

Q.  本の探し方についてお聞かせください。

A.  以前は『これから出る本』を毎号入手して新刊情報もよくチェックしていました(芸術・語学・情報・自然科学・新書・文庫など)が、最近では可能な限り“古典”(≒多くの人によって読み継がれ、文章としての評価の固まっているもの)から選んでいます。温故知新の実践、といったところでしょうか。

Q.  書籍から情報を正確に読み取る上で大事なことは何ですか。

A.  その書籍の著者が属する文化圏における“その当時の文化的背景(≒常識)”を理解することです。

Q.  先生の好きなジャンルは何ですか。

A.  キリスト教芸術(音楽・美術)や仏教美術、あと言語関係(独・英・羅及びコンピュータ言語)の本は好きです。

Q.  今まで読んできた中で面白いと感じた本をお聞かせください。

A.  中島敦『山月記』と上田秋成『雨月物語』巻一「白峯」を挙げましょう。どちらも初読時には全く理解できなかったものです。後者の冒頭は、言ってみればただ地名が列挙されているだけのようなものですが、それらの地名と密接に関連する短歌を知っていれば主人公が自動的に特定されるということを知らされて、自身の教養の無さに驚愕したことを覚えています。前者からは「己の珠に非ざることを惧れるが故に、敢て刻苦して磨こうともせず、又、己の珠なるべきを半ば信ずるが故に、碌々として瓦に伍することも出来なかった。」という一文を、折にふれて噛みしめています。

感想:「本の読み方」について主にインタビューを行いました。色々な分野の本を実際に拝見しながら説明していただき、非常に楽しい時間でした。先生は理系出身の方ですが芸術や英語、ラテン語などの語学に関心を持ち、おすすめ本も古典的なものを紹介するなど新たな一面を知ることができました。先生の紹介からさらに興味を持ち、読んでみようと思います。

インタビューを進めている中で、「専門分野や外国語が分からないのは、文化や歴史などの背景を知らないからです」というお話がありました。自分でもおぼろげながらそのように感じていたような気がしますが、実際に言葉にしていただいたので改めて認識することができました。

<寺内 衛 先生おすすめの本>

中島敦 著 ; 『李陵・山月記 弟子・名人伝』角川書店 , 1986年

上田秋成 [著] ; 青木正次訳注『雨月物語』講談社 , 2017年

(インタビュアー:マネジメント創造学部 4年 I

 

文学部 大西 彩子 先生へのインタビュー

文学部  4年生 Nさんが、文学部 大西 彩子 先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.  本はよく読まれますか。

A.  本よりは、論文をよく読みます。社会心理学の分野は、本としてまとめられるまでに時間がかかることが多く、論文で最新の研究を知ることができるため、そうしています。しかし、ノーベル文学賞を受賞した『チェルノブイリの祈り』は言語データのようで面白く、おすすめです。また、2児の子育てをしていることもあり、最近では児童書を読む機会が増えました。大人になって改めて昔好きだった児童書を読むと、作者が子供たちになにを伝えようとしているのかを考えることができて、非常に面白いです。特に、岡田淳の『びりっかすの神さま』『ようこそ、おまけの時間に』などはおすすめです。

Q.  学生の頃、読まれた本の中で思い出深いものは何かありますか。

A.  大学時代は本に夢中で、ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』や、サッカレーの『虚栄の市』などの海外の文学作品を読みました。特に、カフカやドストエフスキーが好きで、『地下室の手記』は主人公がすごく個性的なのですが、なぜか気に入って何度も読みました。

Q.  学生に向けて、研究の際に図書館利用で何かアドバイスなどあれば教えていただきたいです。

A.  論文を検索する際、PDF化されておらず、その場で見られないからとその論文の使用をすぐに諦めてしまうのはもったいないと思います。私が大学生の頃、絶版で図書館や本屋では手に入れることができなかった本を、期待せずに入った古本屋にて偶然入手できたことがあり、その本は今でも大切にしています。簡単に手に入るものより、苦労したものの方がより大切に読めるのではないでしょうか。その場で手に入らないからと諦めてしまわず、図書館の取り寄せなどをぜひ活用してほしいと思います。

Q.  先生が、ご自身の研究分野に興味を持ったきっかけは何でしょうか。

A.  中学生の頃から周りの人間関係が気になり始め、大学で自分に合うような本を探すようになりました。自分が分かっていると思っていたことが、新しい知見によって分からなくなる瞬間が好きです。色々な本や知識と出合いながら、もっと考えたいと思ったのがきっかけかもしれません。

感想  :   最近では本をあまり読まれないとのことでしたが、自身の本に対する考えや思いを真剣に語っていただき、先生の読書への思いをうかがうことができました。

海外文学作品や、児童書といったジャンルはあまり読んだことがないので、『チェルノブイリの祈り』や岡田淳の作品はぜひ読んでみようと思います。

<大西 彩子 先生おすすめの本>

スべトラーナ・アレクシエービッチ著 ; 松本妙子訳『チェルノブイリの祈り : 未来の物語』岩波書店 , 2011年

オースティン著 ; 小尾芙佐訳『高慢と偏見』光文社 , 2011年

サッカレ著 ; 平田禿木訳『虚栄の市』国民文庫刊行会 , 1925年

ドストエフスキー著 ; 安岡治子訳『地下室の手記』光文社 , 2007年

(インタビュアー:文学部 4年 N