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マネジメント創造学部 牧野 泰典先生へのインタビュー

マネジメント創造学部 3年生  西山 叶子さんが、マネジメント創造学部  牧野 泰典先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.普段はどのような本を読むことが多いですか?

A.娯楽関係の本を除けば、労働社会学や労働経済学などの経済・経営関係の本です。

 

Q.本を買う時に重視しているポイントは何ですか?

A.“本当に興味のある本を吟味し、何回でも読めるような内容の濃いと思う本であるか”です。卒論やその後でも読める本を3~4冊購入して読み込めば、他の分野の内容も理解できるようになります。学生の場合、先生の教科書を買う必要があるかもしれませんが、それ以外ではそれほど買う必要はないと思います。これだと思った本を3~4冊買ってみたり、図書館で関連の文献を読み、一部コピーしたり、Amazonなどのネットサイトでカスタマーレビューを参照しながら興味のある本を探すなどの作業をすると良いと思います。

 

Q.どのくらいの頻度で本屋や図書館を利用しますか?

A.月に一度くらいになりました。仕事帰りに本屋に立ち寄りますが、最近は、閉店してしまった書店が増加していることや、大手の書店でもDVDコーナーなどが増え、研究書を扱う場所が減ったことが問題だと思います。

 

Q.現在の分野を専攻するきっかけとなった本はありますか?

A.トヨタの生産システムや日本企業における小集団活動を研究したいと思い、読み始めたのは、小山陽一編『巨大企業体制と労働者』 、職業・生活研究会編『企業社会と人間』、野原光・藤田栄史編『自動車産業と労働者』などの研究書です。個人の先生が書かれたものでは、仁田道夫『日本の労働者参加』 、熊沢誠『日本的経営の明暗』です。

 

Q.最近読んだ本で気に入っているものは何ですか?

A.まだ熟読できていませんが、熊沢誠『過労死・過労自殺の現代史』、熊沢誠『若者が働くとき』などです。

 

Q.大学生におすすめの本はありますか?また、その理由は何ですか?

A.特に本学の学生で労働問題に興味のある学生なら、熊沢誠先生の上記の『過労死・過労自殺の現代史』、 『若者が働くとき』『日本的経営の明暗』がおすすめです。 『日本的経営の明暗』では、仁田道夫先生の「鉄鋼業の「自主管理活動」」の論文を引用する形で熊沢先生が小集団活動(QCサークル)の問題点について「QC活動の明暗(上)(下)」という論文をお書きになっています。その時に、T社(トヨタと思われる)の研修帰りの社員が、ある会社で改善活動を提案したために、その会社の労働密度や負担が増加したことがあり、熊沢先生は「まことに他人迷惑なT社の研修帰りがいたものである!この社員は会社に残されたわずかに牧歌的な環境をなくすことに何の思いもないのだろうか」という批判と疑問を投げかけます。この文章の印象が忘れられず、日本の小集団活動の問題点について研究テーマにしたという経緯があります。熊沢先生については、甲南大学の先生だから紹介したということではありません。労働問題について、全国的に有名な熊沢先生が甲南大学名誉教授としていらっしゃるということです。本学は熊沢先生以外にも研究水準の高い先生がおられます。学生はぜひ、積極的に先生方に質問をしてください。もともと本を読むのが好きでなかった私が、熊沢先生をはじめとする労働問題の本について初めて面白いと思って夢中で読んだことを覚えています。興味のない本はどうしても面白くない。でも自分にとって面白いものは夢中になる。そのような本を見つけてください。

 

感想 :インタビューを通し、様々なお話を聞かせていただいたため、全ての内容を記載することは出来ませんでしたが、非常に有意義な時間になりました。牧野教授が熊沢誠先生の本に夢中になったように、私も、夢中になれるような本に出会いたいと思いました。

 

<牧野 泰典先生おすすめの本>

熊沢 誠 著 『過労死・過労自殺の現代史』 岩波書店,  2018年

熊沢 誠 著 『若者が働くとき』 ミネルヴァ書房,  2006年

熊沢 誠 著 『日本的経営の明暗』  筑摩書房 , 1998年

(インタビュアー:マネジメント創造学部 3年  西山 叶子 )

鳴海 邦匡 (文学部)『 地図(ものと人間の文化史 187) 』

<教員自著紹介>

この本は「ものと人間の文化史」シリーズの一冊として書きました。このシリーズは前から好きだったので、そこに並べてよかったです。ちなみに、シリーズ98冊目の『丸木船』(2001年刊)は出口先生(文学部歴史文化学科)によるものです。

ここで扱う地図は、具体的な場所に関わる事業を実行するために作成されたもので、主に近世までの事例を対象としています。いわばそうした「働く地図」に注目したのは、それが人や社会が土地や空間といかに関わってきたのかを示す資料と考えたからです。ぜひ、みなさんも手に取って読んでみて下さい。

■ 『 地図(ものと人間の文化史 187)
■ 鳴海 邦匡 著 , 法政大学出版局 , 2021.12
■ 請求記号 448.9//2137
■ 配架場所  図書館   1F 教員著作
■ 著者所属  鳴海 邦匡  (文学部)

本に保護フィルムを貼る作業を手伝っていただきました

1月14日(金)、KONANライブラリサーティフィケイト参加の学生さんに、本に透明の保護フィルムを貼る作業を手伝っていただきました。

当館の本は、ほとんどが学術書なので、破損しやすいブックカバーは外しています。ただ、小説などの一部の本は、綺麗なのでそのまま提供するようにしています。
人気の本は何度も貸出をするうちに本が傷んでしまうため、予め保護用の透明の保護フィルムを貼っています。

今年度、「中山文庫」の拡充にと、中山報恩会様からご寄附をいただきました。「中山文庫」は、現代小説や実用書など、読みやすい本をまとめたコーナーで、図書館2階(iCommons側の奥)に設置されています。
保護フィルムを貼る必要がある人気の本も、たくさん購入できましたので、サーティフィケイト参加の方にボランティアをお願いしました。

保護フィルムを貼る作業は、ちょっと失敗すると本が開かなくなってしまったりするのですが、お手伝い頂いた方はとても上手くて、大変助かりました。

引き続き鋭意整理作業中ですので、利用できるようになるまで、もう少しお待ちください。

中山文庫についてはこちらをご覧ください。たくさんのご利用をお待ちしています!
また、中山報恩会ご関係の皆様に、厚く御礼を申し上げます。

ブックカバーデザイン発表!

 図書館で募集していたブックカバーデザインに3名の応募があり、2022年度は応募者の作品すべて提供することといたしました。

 作品をご紹介いたします。メッセージは応募者によるものです。

① 日本語日本文学科 1年次生 南谷真有さん

(メッセージ)

「本を読むときに欠かせない「灯り」をテーマとしてデザインしました。暖かい灯り、ヒンヤリとした灯り…ランプはそれぞれの「灯り」を作り出し、読書に寄り添う象徴として表現しました。本の世界にあなただけの「灯り」を感じてみませんか?」

② 文学部歴史文化学科 4年次生 中越悠斗さん

(メッセージ)

「本だけでなく、図書館の利用も増やして頂けたらと考え、図書館の絵も描きました。
多くの方が、このブックカバーを見て、本を読むきっかけとなってほしいです。」

③ 文学部人間科学科 3年次生 加藤江利子さん

(メッセージ)

「甲南大学生はお洒落な方が多いイメージがあるので、「おしゃれな学生」をテーマにしました。
そして、どちらが表紙になっても良いようなデザインにし、本を開いた時にも男性と女性が背中合わせになるようにし、思わずこのブックカバーをつけて、本を開きたくなるようなデザインにしました。」

 製作者それぞれの思いがこめられて作製された、ブックカバー。
  2022年4月より、甲南大学図書館にて提供予定です。
 ブックカバーをかけて、読書時間を楽しんでみませんか。

※上記ブックカバー印刷用データは以下よりダウンロードできます。
     

柳 広司著 『ジョーカー・ゲーム』

知能情報学部   4年生 Iさんからのおすすめ本です。

書名 : ジョーカー・ゲーム
著者 : 柳 広司 著
出版社:角川グループパブリッシング
出版年:2008年

この本は「スパイ」を題材としたミステリー小説となっています。あらすじとしては昭和十三年頃、魔王と呼ばれている結城中佐がD機関と呼ばれる諜報機関を作ります。当時陸軍内部からは「諜報活動など卑怯で卑劣な行為だ」という反発があり一時は他国スパイによる機密情報の漏洩が相次ぎ認められるかと思いきや、養成所でスパイとして教育される学生が軍学校ではなく一般の大学を出た者たちから選抜されるとわかると陸軍側からの反発は今まで以上に沸騰します。

そんな中でも奇妙奇天烈な選抜試験を通過し、想像を絶する訓練をうけた十二名は世界を相手にスパイとして活躍していくこととなります。一話完結の形でそれぞれ一人の人物の視点からその人物を語り手として話が進行していきます。中にはD機関のスパイではない人物の視点のものもあります。僕がこの小説で特に気に入っている部分はやはりストーリーです。ミステリーなので当たり前といえば当たり前ですが最後まで分からない展開や登場人物の驚きの背景は衝撃を与えてくれます。アメリカ、イギリス、上海、ドイツといった地域でスパイや軍隊と戦ったり、D機関として裏で暗躍したりといったハラハラドキドキを味わうことができると思います。

ミステリーという性質上あまり詳しい内容を書くことはできませんが、ミステリー好きだけでなく多くの人に読んでもらいたい作品です。このシリーズで他にも数冊出版されておりアニメや実写映画、漫画もあるみたいなのでこの本を読んでジョーカー・ゲームの世界をもっと味わいたいと感じた方はそちらも見てみてはいかがでしょう?

松井 利夫著 『起業の心得 : めざせ日本のビル・ゲイツ 』

 

知能情報学部   4年生 Iさんからのおすすめ本です。

書名 : 起業の心得 : めざせ日本のビル・ゲイツ
著者 : 松井 利夫 著
出版社:産能大学出版部
出版年:1999年

 

この本はタイトルにもある通り、起業するにあたってについて書いてある本です。ただ、僕は今まで起業というものに興味を持ったことがありませんでした。 今までの20年と少しの人生ではあまりリスクのない選択をしようと思いながら生活をしていました。そのため起業というものについてあまり知らず勇気のいる行動だというぐらいの認識しか持っておらず、あまり興味を持つことがなかったからです。その考え方自体はこれから社会人となって生活していくにあたって変わっていくことはあるかもしれないですが、現状ではそういった考えの中で僕はこの本を読みました。

しかし、この本にはそんな僕にでもいくつも重要なことを教えてくれる、そんな本でした。読む前はまさか自分の生まれた年に発行された本が今の僕にここまでいろいろなことを教えてくれるとは思っていませんでした。

特に人材育成に関する章はこれから社会人生活をしていくうえで必要な心構えや、考え方について考え直すきっかけとなりました。 なかには 株式に関する部分や起業家の支援といった今の僕には少し難しく全部理解するのは厳しい部分もありましたが知識としては吸収することができたと思います。それに最後の戒め、指針部分の内容は 単純に人として生活していくうえでも重要な生き方、考え方について書いてありました。現状この本を読んだことによって起業する気になったかと言われればそこまでのことはないけれど、この本は起業ということだけではなく、実際に生きていくうえでも重要なことが多く書かれたとても良い本だと感じました 。

なので、正直この本が本屋で並んでいて読みたいと思うことはあまりないかもしれないけど起業に興味のある方はもちろん、社会人になることに不安を抱えている方などは一度読んでみてほしいと思います 。