昭和18年、天野貞祐(旧制高等学校第7代校長)の斡旋により、哲学者九鬼周造(1888-1941)の蔵書を受け入れ、平成10年、図書館に「九鬼周造文庫室」が設けられました。
九鬼周造文庫には、哲学・文芸の広範囲にわたる著名図書だけではなく、「いきの構造」の原稿やドイツ留学時の講義ノートなど貴重な資料も含まれています。
同文庫には、九鬼博士がヨーロッパ留学中の大正2年(1923年)8月から9月にかけて、アルプス山麓のSils 地域で植物採集を行った際の植物標本が保管されています。105点におよぶその標本は、ひとつひとつ丁寧に整理されており、九鬼博士が植物に関しても、高い専門知識を持っていたことをうかがうことができます。
甲南大学図書館ブログのタイトル画像は、90年前に採取されたこの標本の花々から作成しました。
参考資料:「九鬼周造の「押し花」標本資料」 図書館長 谷口文章(文学部教授) 館報「藤棚」Vol.26 No.1 (2009)