アレックス・バナヤン著,大田黒奉之訳『The Third Door』

法学部1年 前田颯太さん(「基礎演習(濱谷)」リサーチペーパーより)

 The Third Doorの主人公は当時大学生であるアレックス・バナヤン。アレックスは自分の現在のただ学校に通い課題や、テストに追われる生活にうんざりしていた。そんな悶々とした生活を過ごしていく中でふとこのままでは良くないと思い、そんな悩みを解決すべくあるアイデアを思いつく。それは世界的な成功者たちにあなた達がどのようにして初めの一歩を踏み出し、成功するまでに至ったのか?というものであった。そのインタビューを実現させるために試行錯誤していくという物語である。
 この本の冒頭でアレックスは『人生・ビジネス・成功。どれもナイトクラブみたいなものだ。常に3つのドアがある。ファーストドア。99パーセントの人が並ぶ正面入り口。セカンドドア。選ばれた人だけが利用できる入り口。普通に生きていたら、この2つのドアしかないような気分になる。でも、裏道を駆け抜け、何百回もノックして窓を乗り越え、キッチンをこっそり通り抜けたその先にサードドアがある。』こう話している。私はこの最初の描き始めの部分でこの本に興味を惹かれた。  
 アレックスはインタビューの相手を決めるために大学の仲間に理想の大学を作るなら誰を教授に招くかという質問をした。仲間達とアレックスはビルゲイツ、レディーガガ、スティーブンスピルバーグ、など世界的に知られているにとたちの名前を挙げていく。これらの錚々たる人々にいかにしてサードドアをこじ開け、インタビューするまでに至ったのかがこの本の醍醐味である。そのためのポイントとしてまず初めにインサイドマンの存在が大事だと述べられている。インサイドマンとは自分の目的と自分自身をつなぎ合わせてくれるとても大切な存在である。そして次のポイントは信頼を借りるということだ。この本の中でアレックスはある一人の男に気に入られる。そしてこの男の信頼を借りることによってアレックスは飛躍的に成功へと近づいていく。最後のポイントは犠牲を払うということ。どういうことかというと、チー・ルーというヤフーショッピングの生みの親が登場し、このチーは一日24時間しかないということから睡眠時間を犠牲にし、他の残った時間を徹底的に仕事に費やす。これらの様々なポイントからアレックスは学んでいき、挑戦していくといった内容になっている。
 私はこういう類の本を何冊か読んだ中でこの本は最もわかりやすいと思った。自分たちと変わらない大学生という立場で、なんの実績もない人が成功するまでの過程を細かく書いてあるので、どこか親近感が湧いてくるからではないかと思う。この本を読むことによって普通に大学に通い与えられたことを受動的に動くのではなく、主体的に動いてこの先のビジョンを広げていくためのヒントになると私は思った。
 最後にこの作者のことについて少し簡潔に話そうと思う。アレックスは冒頭にも書いたように大学生である。しかし大学生と言っても医学部生である。このまま進めば将来は確約されているも同然だが、なぜ人生にうんざりしたのか?それは誰かに敷かれたようなレールは嫌で、レールを飛び出しひたすらにもがき成功を勝ち取るというアレックスの性格である泥臭さ書かれている。この男性を見ていると自分が過去にしてきた努力など大したことないなと思え、これからもっと頑張ろうと思える。私は何か壁に当たった時にはこの本を見て勇気をもらうことだろう。