水野健一先生(理工学部)「『「大発見」の思考法- iPS 細胞vs. 素粒子-』山中伸弥,益川敏英,文芸春秋」

☆新入生向けの図書案内 

著者: 山中伸弥 益川敏英
タイトル: 「大発見」の思考法 : iPS細胞vs.素粒子
出版者: 文藝春秋
出版年: 2011
配置場所: 図書館 1階開架一般
請求記号: 404//2090

 今年入学され、新たに大学生活を始めようとしている皆さん。
 将来にたいして大きな夢をもって勉学に挑むにあたり、本書を推薦いたします。著名な先生方が自然科学における研究に挑んだ成功例として読んで頂きたい。本書は、2012 年のノーベル医学・生理学賞受賞者である山中伸弥京都大学教授と、2008 年度のノーベル物理学賞の受賞者である益川敏英京都大学名誉教授(現在京都産業大学教授)が両者のノーベル賞受賞にまつわる大発見に至るお話やエピソードを対談形式で綴った大変興味深い内容です。
 どちらの先生の研究内容も説明するには専門用語が多く出現して、馴染みがない話題と思われるかもしれませんが、本書は素人にも分かりやすい対談形式で内容が解きほぐされています。それぞれの「謎を解く」に至るブレークスルーの瞬間をこの本より雰囲気だけでも体験してください。両先生のお話を聞いてしまえば、「コロンブスの卵」と思えます。しかし、その間の努力や発想の展開は誰にでも真似の出来るものでないことはすぐに想像できます。大学での新たな学生生活を始めるに当たり、この本から新たな気力と勇気を得て、決意新たに出発しましょう。そして、皆さんも「自然界の謎解きに参加しよう」という気持ちが起こることを期待しています。
 最後にもう一言、益川先生は、元名古屋大学理学部教授・坂田昌一先生の門下生です。坂田先生は、本学の前身である旧制甲南中学・高校のご出身で、素粒子理論物理学者の第一人者です。本書には、研究室はみんな対等で自由な雰囲気であったと記されています。そんな校風は本学に今なおどこかに残っていて欲しいと願っています。
甲南大学図書館報 藤棚(Vol.30 2013) より