村上 龍著 『それでもわたしは、恋がしたい 幸福になりたい お金も欲しい』

 

知能情報学部 4年生 Kさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : それでもわたしは、恋がしたい 幸福になりたい お金も欲しい
著者 :  村上龍
出版社:幻冬舎
出版年:2008年

大体の人はこの書名のような願望を持つのではないだろうか?実際私も恋がしたいし、幸福になりたいし、お金も欲しいと思う。
しかし、実際そうなりたいと思ってもそう簡単にうまくいくものではなく、生きていく上で悩みはつきもの。

このエッセイは様々な年齢や職業の女性のお金、仕事、恋愛の悩みを筆者が痛快に答えていく内容になっている。
それぞれの質問に対する答えの一番後に大きな文字で結論が書かれているのだが、それはどれも心にドカンと衝撃がくるものばかりであった。

我々は大学生なので就職活動をしていたり、卒業後就職を控えている人もいると思う。
そのため今回は第二章の”仕事編”で私に刺さった質問を紹介しようと思う。
「正社員のメリットがわかりません」という質問があり私も同意見だった。私は現在も就職活動をしているがとても大変だ。就職するよりもフリーターでいる方が好きな時に休めたり、残業もしなくてよかったり、はるかに気楽に働けると思う。就職できたところでいいことって何もないんじゃないか、と考えてしまう自分もいた
しかし著者の言葉は「正社員が有利だということを直視しないと、あとで後悔します」だった。
「いいことがないと言っているのは現実逃避が含まれている」「現状の法律・制度では正社員の方が圧倒的に有利」これらの言葉だけで納得してしまった。自分はただつらいことから逃げようとしていただけだったのかもしれないと考えさせられた。

この本の質問者は皆女性であるが、どの質問も女性だけでなく男性にも当てはまる内容だと思う。質問と最後の一言だけを読むだけでも著者の言いたい事の一部は理解できるので少しでも心に引っ掛かる内容があれば全文を読んでみて欲しい。

私は著者の「50年生きてきた経験で言うと、たいていの人は悩んでいます」という言葉に少しホッとした。悩みを抱えているみなさんが少しでも生きやすくなる言葉がこの本で見つかることを祈っている。