
知能情報学部 4年生 Kさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)
書名 : 思考の整理学
著者 : 外山滋比古
出版社:筑摩書房
出版年:1986年
本書は1986年の刊行以来、長きにわたり多くの読者に読み継がれている「思考」に関するバイブルである。著者の外山滋比古氏は英文学者でありながら、その枠を超えて「自ら考えること」の本質を平易な言葉で説いている。情報化社会と言われる現代において、AIや検索エンジンを使えば知識は容易に手に入る。しかし、それらをどのように組み合わせ、新しい価値を生み出すかという「知的な自立」については、今なお本書が指し示す指針が色褪せることはない。
本書の中で最も印象的であり、かつ大学生である我々が深く受け止めるべき比喩が「グライダー」と「飛行機」の話だ。グライダーは優雅に飛んでいるように見えても、自力で飛び立つことはできず、常に牽引車を必要とする。著者は、学校教育における受動的な学習者をこのグライダーに例えた。一方で、自らのエンジンで推進力を得て、自由に空を飛ぶのが飛行機である。大学という場は、教えられた知識をただ記憶する「グライダー人間」から、自ら問いを立て解決策を探る「飛行機人間」へと脱皮するための滑走路でなければならない。私自身、講義のレジュメを覚えることに終始していた学習姿勢を、本書によって鋭く指摘されたように感じた。
また、本書は精神論だけでなく、具体的な思考の技術も提示している。「寝させる」という章では、思いついたアイデアをすぐに形にしようとせず、一度時間をおいて発酵させることの重要性が説かれている。情報過多な現代において、私たちは即時的なレスポンスや成果を求めがちだ。しかし、真に創造的な思考とは、雑多な情報を脳内で熟成させ、無意識下で整理された時にふと訪れるセレンディピティ(予期せぬ発見)にあるのだという指摘は、レポート作成や研究活動に行き詰まった際の大きな救いとなるだろう。
本書のタイトルは『思考の整理学』だが、その実は「整理」にとどまらず「創造」へと至るための手引書である。これからの大学生活において、図書館という知の集積地を活用し、未知の領域へ自力で飛行するための羅針盤として、すべての学生が一読すべき一冊であると確信する。
