投稿者「図書館」のアーカイブ

エントランス展示更新 「芸術の秋~江戸時代の絵画~」

本日、エントランス展示を更新しました。題して「芸術の秋~江戸時代の絵画~」です。
最近は空気も冷え込み、すっかり秋めいてまいりました。
本格的な秋到来に先駆けて芸術の秋を楽しもうということで、今回は有名だけど意外と知らないであろう「江戸時代の絵画」に焦点を当ててみました。
葛飾北斎や円山応挙など、有名な作品とそれらに関連する本を展示していますので、ぜひお立ち寄りくださいませ。
展示本を読みたいときは、図書館2階ヘルプデスクまでお申し出ください。

[藤棚ONLINE]法学部・濱谷和生先生 推薦『THINK AGAIN』

図書館報『藤棚ONLINE』
法学部・濱谷和生 先生 推薦
『THINK AGAIN : 発想を変える、思い込みを手放す』

 この6月あたり、私は大学でのある仕事やある授業クラスの運営について、どうすればもっと有意義に、かつ、建設的に行っていけるかについて相当深く悩んでいた。本書は、そんなとき、本屋の新刊コーナーでふと手にして、深い感銘を受けた一般書である。

 日常生活、仕事や勉強においてタスクや物事に関わる困難に直面するとき、私たちはよく「自分を変えなきゃ」とか、「自分を進化させよう!」等のフレーズを聴く。でも、実際にどうすれば自分の思考や行動を自覚的に変革できて、また、自分の属性を意識敵に進化させることができるかは、さほど上手に実践できるわけでない。この本は、そんな悩みに方法上の具体的なヒントを与え、思考や行動の変革に向けた動機付けをもたらしてくれる。

 本書に依れば、自分を進化させるための要諦は、あたかも不動・不変であるかのように自ら刷り込んでしまっている従来の思考や行動の様式を疑って「発想を変え」、自分と自分に関わる物事やタスクを縛っている「思い込みを手放す」ことにある。だが、個人的に思うに、それが未来志向であったとしても、誰しもいまの自分のありかを自ら崩す、あるいは外部から強制的に崩されるのは尚更に、直感的にとても怖い。認知的に暗闇のなか徒手空拳で前に歩くことは恐怖以外の何物でもなく、これは言うは易く行うに難いのだ。

  しかし、組織心理学・経営学の著名な研究者であるこの本の著者は、様々な市井の人々の苦闘・奮闘に係る幾多のエピソードを引いて、その方法論を具体的・実践的に指南してくれる。例えば、自分の思考モードを再考するには、「思考の盲点」に気づき、また、自分の「間違いの発見に喜び」を感じるようにと言う。あるいは、他者との対話においては、「敵」ではなく「ダンスの相手」と思って、「穏やかな傾聴」に他者の心を開くチャンスがあると述べる。また、学び、再考し続ける社会・組織を構築していくには、「批判的に考察」し「建設的に論じる」こと、「過ちから学べる組織」を作り上げることが重要であると促す。

 本書を読んだからと言って、冒頭に述べた私の悩みが直ちに雲散霧消して、私の思考や行動が一気に変革され、私に人格的進化が顕著にもたらされたはずは、もちろんない(いまも悩み続けている)。ただし、この本の読後、私は、自分の思考や行動の基点、その過程および結果や成果を少しは客観視することに努め、他者からの批判や見解にいっそう耳を傾け、過ちの発生自体をおそれるのではなく、それを見て見ぬ振りをしてまたはそれに気づかず放置してしまうことの方により注意を払うようには、なってきたかも知れない。

 思い返すに、2016年末の米国トランプ前大統領当選以降、Brexit、核兵器禁止条約の成立と発効、新型コロナウィルスの感染拡大、ウクライナへのロシア軍侵略、そしてマネーの世界的な過剰供給からインフレ経済への急激な移行等々、「これまでかくかくであったから、これからもしかじかであろう」というたいていの経験則は最早成り立ちにくくなってしまった。私たちは見通しが極めて不透明・不確実で、混迷が深まる一方の世界に置かれていると、馬齢を重ねるまま61歳に至ってしまった私はしみじみ実感している。

 さような時代状況の只中で、本書を読んで、私は、自ら描いてきた過去の軌跡の延長上に未来の自分を据える必然は何もなくて、本当におそれるべきは頑迷固陋に自分を変えない自分自身、自分を進化できない・させられないままに固定化してしまう自分自身なのだ、と分かった気がする。己を不断に更新することに向けられる高い志(社会や組織、授業クラスの理想像や夢)、それを持続的に追求する逞しく粘り強い日々の努力、そしてそれらを支える簡単に折れない心(あるいは深い知的洞察に支えられた勇気と胆力)。こうした態度・姿勢や価値をこれからも大切にしていきたい。また、この本を通じてそのエッセンスをこの場の読者の皆さんにもお伝えできたらばと念願し、本書をご推薦申し上げたい。

「甲南大学図書館を体験しよう」イベントを実施しました。

8月25日(木)、「甲南大学図書館を体験しよう」イベントを実施しました。本山第2小学校5・6年生を対象に甲南大学図書館の地階閲覧席を開放し、残りわずかとなった夏休みの最後の締めくくりとして、甲南大学図書館を体験してもらいながら、残った宿題を一緒にやっつけてしまおうという内容です。
実際のところ、当日集まった皆さんは優秀で、ほとんど学校の宿題は終わっており、塾の課題や工作に取り組んだり図書館から興味のある本を持ってきて読みふけったり、と思い思いに過ごされておりました。

図書館見学ツアーではちりめん本や豆本、和古書や昔のオリンピックや万博の巨大な洋書など普段あまり目にすることのない本を見てもらったり、昼休み後に児童福祉研究会の学生さんたちによるクイズ大会を実施したりなど、元気いっぱいの小学生たちにも楽しんでもらえたのではないかと思います。小学生の皆さん、ご参加くださりありがとうございました!

また、当日は多数の学生ボランティアさんや、図書館長の木成先生やキャリア科目等をご担当の武田佳久先生にもお手伝いいただき、小学生たちの質問に答えたり一緒にクイズに参加して盛り上げたりと、本当に助かりました。ありがとうございました!

2022年度 ブックハンティングツアー(店頭選書)を行いました!

2022年8月5日(金)、ジュンク堂書店三宮店において、学生と図書館職員によりブックハンティングツアーを行いました。ここ数年コロナ禍により大型書店での学生店頭選書は実施できておりませんでしたので、3年ぶりの実施となりました。当日は、図書館に置きたい本を書棚から選び、ハンディーターミナルを使って裏表紙に記載されたISBN(バーコード)をスキャンして選書を行いました。
今回は岡本キャンパス学生6名・ポートアイランドキャンパス学生2名の参加と多数の学生にご参加いただきました!

 

参加された学生さんの感想です

**文学部 1年次**
 私は歴史のことはあまり詳しくないため、歴史書の担当と聞いたとき、ちゃんと本が選べるか不安でしたが、自分の分野にもつながる本がたくさんあることに気づき、選ぶのがとても楽しかったです。また、自分の好きな本を自由に選べるため、好きな作家の本や読んだことのある本を見つけるたびに、これも皆に読んでほしい!選ぼう!とワクワクしてとても楽しかったです。

**文学部 2年次**
 10時から長時間本屋にいるという経験は初めてで、とてもワクワクしました。午前中は社会学科に関係した内容の本を、隈なく探しました。気になった本を手に取り、中を見た後、読み進めたくなるかどうかを判断基準に選書しました。午後からは専門外の学科に関係する本を探した後、文学のコーナーをじっくり見ました。
個人的に頻繁に訪れる本屋で、読みたい本を選ぶことができ、夢のような時間を過ごすことが出来ました。

**文学部 2年次**
 オンライン上での選書は何度か参加したことがあったが、店頭で実際に本を手に取って目次や内容に目を通して自身の勉学に活かせるかどうか考えられる方が様々な本を選べたのではないかと感じます。特にどのような研究データを使用しているのかを見て選ぶことが出来たので、今後レポートを作成する時に役立てやすくなると思います。

**理工学部 4年次**
 私はあまり読書が得意な方ではないのですが、1日本屋さんにいる機会はなかなかないと思い、参加しました。久しぶりに本屋さんに行ったのですが、見たことのない新しい本や、小さい頃に読んだ懐かしい本が見られてとても有意義な時間になりました。このツアーの後、友達と遊んだときに本屋さんを見かけると、”ちょっと寄っていこうよ!”と本に触れる機会が多くなったように思います。ありがとうございました。

**経済学部 1年次**
 ブックハンディングツアーに参加してみて私は、本を読むことが以前より好きになりました。それは、図書館には色々な種類の本があり特に私は、野球をしているため野球関係、スポーツ関係の本を読んでみて色々な事が知れました。ただスポーツ関係の本だけではなく経済関係の本も読んでみて経済の知識など本を読む事で学ぶことができたのでよかったです。ブックハンディングツアーに参加してよかったと思いました。

[藤棚ONLINE]経済学部・足立泰美先生 推薦『「家飲みビール」はなぜ美味しくなったのか?』

図書館報『藤棚ONLINE』
経済学部・足立泰美 先生 推薦
『「家飲みビール」はなぜ美味しくなったのか? -コテコテ文系も学べる日本発の『最先端技術』』

「家飲みビール」はなぜ美味しくなったのか?

 緊急事態宣言により外出自粛や時短営業となり巣ごもり需要が増えるなかで、いわゆる「家飲み」が定番に。居酒屋で飲むからうまいはずだったビールが、家で飲んでも意外にうまいというお話。みなさんもお聞き及びでありませんか?

 その美味しさの秘密には、日本発の最先端技術、東京大学の藤田誠教授らによる結晶スポンジ法に起因します。しかしながら、実用化されるまでには、研究者による根気よく、ひとつのことを追求し、何度も繰り返し失敗し、諦めることなく、前に進め続けた地道な時間が存在しています。

 本書を通じて、日常の生活に隠された「なぜ」という疑問から、発明に至るまでの原動力。その科学者の本音と姿勢に触れてみませんか?

[藤棚ONLINE]理工学部・須佐 元 先生 推薦『科学の発見』

図書館報『藤棚ONLINE』
理工学部・須佐 元 先生 推薦
『科学の発見』

本書は、昨年残念ながら他界されたノーベル物理学者のスティーブン・ワインバーグ氏による科学史に関する本です。

20世紀を代表する理論物理学者のうちの一人である著者が、古代ギリシャから現在までの、物理学・天文学を中心とした科学の歩みを講義してくれます。既に多くの書評があって、過去の科学者にダメ出ししているかなり激しい側面を多く取り上げています。確かに過去の科学者たちの考え方がいかに現在の科学的価値観と隔たったものであったかを、厳密に取り上げています。しかしながら著者も述べている通り、これによって「科学」それ自身が数千年にわたって紆余曲折を経ながら進化してきたこと、その過程で多くの科学者が苦闘し、それによって形作られてきた現在の科学の価値および未来への教訓を伝えようとしているのだと思います。

途中やや専門的で難しいところもありますが、サイエンスに携わる・志す人々一般にとって、手にとってみる価値はある本であると思います。