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[藤棚ONLINE] 村嶋館長推薦本 『ノモレ』

図書館報『藤棚ONLINE』
図書館長 村嶋貴之 先生(フロンティアサイエンス学部) 推薦

甲南大学OPACリンク

書名:ノモレ
著者:国分拓
出版社:新潮社
出版年:2018年
配置場所:図書館1階開架一般 369.68//2002

 「息子たちよ、ノモレを探してくれ。」これはこの本の帯に書かれている一文である。ノモレとは仲間であり、100年前に逸れた仲間の末裔を探して欲しいという曽祖父たちの願いを表している。
 著者の国分拓は、これまでに大宅壮一ノンフィクション賞などを受賞しているNHKのディレクターである。本書はNHKスペシャルのための取材を元に書かれたノンフィクションであり、ペルー・アマゾンの集落の若き村長である主人公ロメウが、「100年前にゴム農園での搾取から逃れようとして森に消えてしまったノモレの末裔が、今もイゾラド(文明と未接触の先住民)と化して生きている」と信じ、ノモレを探し、接触を試みる顛末を記録にとどめたものである。
 最近になって未確認のイゾラドと思われる部族の目撃情報が増え、ロメウの部族であるイネ族が襲われるという事件が起こったため、そのイゾラドがノモレではないかと信じるロメウが粘り強く接触を試み、信頼関係を築く。こうして始まった、ロメウがノモレと信じるイゾラドとイネ族の2年に渡る交流のエピソードは感動的であるが、食料の支援が困難になったことなどから少しずつ齟齬が生じ始める。最終的に、イネ族の居留地に人が少なくなった隙にイゾラドが集落を襲い、イネ族は避難民となってしまう。それでもロメウはノモレとの邂逅を信じ、こうした活動を続ける。
 著者の緻密な観察眼を通して、文明と触れたことのない種族の反応が色彩や音まで感じられそうな筆致で表現されているあたりはノンフィクションの名手としての面目躍如たるものがある。また、ロメウの過去の経験に基づく独白に続いて、次の章でその過去の経験が述べられるといった構成で、時間が前後して語られる部分が複数あり、ノンフィクションとしては全容の把握に多少の引っ掛かりを感じるが、それが読み手の好奇心を刺激して、この「ロメウの物語」に躍動感を与え、命を吹き込んでおり、映像制作に携わる著者ならではの、カットバックの手法が生きた作品である。
 本書が問いかけるのは「イゾラドと文明は未接触のままで共存できるのか」という命題であるが、私が読後に最も強く感じたのは、高度に文明化された我々と自然と共存しているイゾラドの、どちらが幸せなのかという疑問であった。 いずれにしても、ロメウは今日もイゾラドを絶滅から守るための活動を続けている。ノモレに会えると信じて。  

 

【図書館事務室より】
 令和元年度より、図書館報『藤棚ONLINE』を始めました。『藤棚』はこれまで冊子で発行しておりましたが、より多くの方に閲覧いただくために、今後は図書館ブログを利用し、オンラインで発行します。
  『藤棚ONLINE』 では、図書館長や図書館委員の先生方によるおすすめ本の紹介や、本や図書館にまつわるエッセイなどを定期的に公開します。トップバッターの村嶋館長に続いて、各学部の先生方が執筆されますので、折々にご訪問ください。

エントランスホールにて企画展示「あなたの知らない広辞苑の世界」を始めました。

図書館1階 エントランスホールにて、「あなたの知らない広辞苑の世界」と題した企画展示を5月31日(金)より開始しました。
『広辞苑』は、岩波書店が刊行する我が国を代表する中型日本語辞典であり、1955(昭和30)年に第一版が刊行されました。以来改訂を重ね、2018(平成30)年には第七版が刊行されました。
このたびの展示では、本学図書館が所蔵する『広辞苑』各版のほか、明治時代に刊行された『言海』など多数の国語辞典を集めました。日頃使用する辞典の成り立ちについて知識を深めていただければと存じます。

この展示は、9月末(予定)まで開催しておりますので、ぜひお気軽に図書館までお立ち寄りください

 

 

 

 

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー
大野瑞姫(おおの みずき)さん
文学部英語英米文学科 2年次生

2019年3月26日に多読チャレンジ50冊を達成されました。

1年次生の時に50冊コースを達成され、2回目の達成となります!
「シリーズを読破しようと目標をたて、電車の通学時間を使い読んでいた。多読チャレンジの成果として、文章を読むこと自体が怖くなくなり、進んで難しい本も読むようになった」と話されていました。
今回おすすめ本に選んだ『Who was Claude Monet?』はエリアスタディーズでフランスに行った後に読み、実際に訪れたところが出てきてとても面白かったそうです!

以下は、ご本人のアンケートによるものです。

○『多読チャレンジ』達成の感想を教えてください。または、『多読チャレンジ』達成の為に工夫した事を教えてください。

今年も目標にしていたので無事におわらせることができて良かったです。
空き時間に読むこと、興味のある本を読むことです。

○『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

スムーズに文の構成が頭に浮かぶようになりました。

○チャレンジする図書はどのように選びましたか?図書館ブログや展示棚に紹介したBook Reviewは役に立ちましたか?

棚でパラパラと見て、おもしろそうなものを読みました。
展示棚はチェックしました。

○現在チャレンジ中の『多読チャレンジャー』へメッセージをお願いします。

好きな本を読んでいたら自然に進めることができると思います。

初春の令月、万葉集に触れてみませんか?

新元号「令和」が発表され、万葉集が話題です。この機会に万葉集に触れてみませんか?
現在、図書館エントランスにて『万葉集略解』(安政3(1856)年、甲南大学図書館所蔵)の初春令月~のくだりのページや解説をパネル展示していますので、ぜひ一度見てみてください!

また、入館ゲート入ってすぐの特設コーナー『「令和元年」~万葉集を読もう~』で、関連図書を展示していますので、ぜひ借りて読んでみてくださいね!

ライブラリサーティフィケイト学生企画 ポスター展示『人類は真理の扉を開けるか』を開催中!

現在、図書館内南階段の踊り場のところで、KONAN ライブラリ サーティフィケイトの1級要件である企画として、ポスター展示『人類は真理の扉を開けるか』を開催中です。

自然科学・社会科学・人文科学の関わりやそれら自体を取りあげた図書の紹介をポスター展示しています。
4つのコンセプトにわけ幅広い分野の本を取りあげているので、きっとこの中に読んでみたくなる本が見つかります。

展示でおすすめしている本は図書館で借りることができるので、興味をもった本があれば借りて読んでみてください。

この企画は5月上旬まで開催しておりますので、図書館にお立ち寄りの際はぜひ館内南階段の踊り場へ足を運んでみてください。

展示風景

 

 

ブックカバーグランプリ決選投票!


 現在、図書館エントランスホールにて2019年度ブックカバーグランプリの決選投票を行っています。
 ご応募いただいた作品の中から、皆さんの投票でグランプリを決定いたします。グランプリに選ばれた作品は、2019年度の1年間、図書館でブックカバーとして提供します。 決選投票は1月30日(水)までです。
 どうぞ、図書館に足をお運びください!!