2-1. 学生オススメ」カテゴリーアーカイブ

橋下徹著 『異端のすすめ:強みを武器にする生き方』

知能情報学部 4年生 Kさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 異端のすすめ:強みを武器にする生き方
著者 : 橋下徹著
出版社:SBクリエイティブ
出版年:2020年

私がこの本を読んだきっかけは、弁護士からテレビ出演、大阪府知事など多くの実績を残した橋本徹氏がここまで活躍できたのはなぜなのかが気になったからである。

この本の最初の印象としては少し硬い内容だと想像していたが、読んでみると非常にわかりやすく、一つ一つ具体的に解説されていて、なおかつ、一般市民と同じ目線で書かれているので非常に親近感もあり、内容が頭に残りやすいと感じた。

内容に関しては、社会人の方は非常に参考になるように感じた。もちろん、大学生の方にもこの本から学ぶべきところは大いにある。どのようにして、自分のスキルを伸ばすのか、自分の商品価値を高めるにはどうすればよいのか、彼の話のうまさはどのようにして作られたのかなどが記されている。ここで書かれている方法というのも、一般人目線で書かれているので、どんな人でも実践することができるような方法ばかりである。自分には才能がないと感じている人には、とても効果的な学びが得られると感じる。

私がこの本を読んで、特に心に刺さったところは「計画通りの人生なんてない」というフレーズだ。橋本氏は、はじめは弁護士をしていてそこから最終的には大阪府知事まで上り詰めた。彼自身そこまでに至る経緯はしっかりと計画されたものではないと述べている。あくまで、彼自身の日々の努力と自然に身を任せた結果そうなったのである。このことから私は、自分の将来について不安が多くあったが、このフレーズのおかげで救われたような気がしている。そして不安にならないためにも自分自身に磨きをかけることが必要だと感じた。

見どころとしては、強みの掛け算で自分の価値を高める方法、情報マニアになってはいけないこと、他人に振り回されない対人力が特に面白く、参考になると個人的に感じる。この本を社会人になるまでに読むことができたのは、非常に良い経験ができたという風に感じた。

成毛眞著 『amazon : 世界最先端の戦略がわかる』

知能情報学部 4年生 Kさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : amazon : 世界最先端の戦略がわかる
著者 : 成毛眞著
出版社:ダイヤモンド社
出版年:2018年

自分の欲しい商品が注文した翌日に届き、自分の好きな映画やドラマを見ることができるアマゾンプライムビデオなど今や、我々の生活に欠かせないアマゾンのサービスの裏側を知ることができる本である。

この本が執筆された2018年時点でアマゾンの時価総額は7777憶ドルであったが、現在は、1.6兆ドルと急激な成長を遂げている。この数値はオランダのGDPを上回る数字である。なぜここまで高い成長率を見せることができるのかというと、アマゾンは事業範囲が広いからである。私達に馴染みがあるのは、ネットショッピングやプライムビデオぐらいだろう。だがそれ以外にも多くの事業があり、それは決して副業のレベルではなく、何個も本業をもっているようなイメージだ。

ある事業で生まれた技術やサービスで横展開できるものがあったらそれを育てるといった感じで、どんどん事業を増やしている。これは戦略の一部に過ぎないが、このようにアマゾンの経営戦略をいくつか知ることができる。この様々な戦略から感じたのは、アマゾンは常にお客様第一の姿勢を保っているところだ。会社の利益ももちろん大事だが、お客様あってこその会社の利益という風に、顧客が喜ぶサービスを次々に提供しているように感じられた。

一方読みやすさは、経営戦略というワードから敬遠する人もいるだろうが難しいことは書かれておらず、大学生なら無理なく読める内容だと思われる。自分たちが良く使っている便利なサービスの裏側にはこんな戦略や苦労があるのかと関心することが多く書かれていて、アマゾンのすごさを知ることができると思う。

上廣哲彦著 『生きる力』

知能情報学部 4年生 植野 浩任さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 生きる力
著者 : 上廣哲彦著
出版社:実践倫理宏正会
出版年:1959年

 これは自宅にあった古い本だが、書名が気に入ったのと、戦後の日本人の価値観が見えてくるため読むに至った。出版数が多く、当時は人気だったようで幸せのために努力出来ていない人間に読んで欲しいと記されている。

 内容では、戦後に成人期を迎えた人々が希少なものとして書かれていて、今なら古い固定概念だと言われそうな言葉も載っている。とは言え、人間はどの時代でも人間であり、約70年経った現代でも共感できる話が多々あるので紹介していく。

 現代でも共感できる話には物事の感じ方等心理的な表現が多い。冒頭で日々の生活に苦楽は付き物としながらも、物事の見方によって心は明るくなるとしている。働きを楽しみ、家庭を愛し、社会に貢献する心を持てば気持ちは前向きになる。他にも「その時その場の心に生きよ」という言葉は、状況次第で柔軟に対応していけば良いという事で、状況を打開するにはそれを守れば幸福になる、という考えに専念すべきだと書かれている。これを読めばそういった適切な処理をすることで、物事を打開できるだろう。

 また、この本には幅広い内容が書かれており、実践論理や反省の仕方、夫婦間の仲や商業での考え方等自分に合った精神の道しるべを見つけられる。例えば実践論理とは自分にとっての正しい筋道は何なのか、それを自分自身で実行し実験しなければならないという事である。前代未聞のコロナ禍中での学生もそうだったはずで、それぞれのやり方を色々と試したはずだが、これを論理の実践で補うことが出来るのだ。商業については終始一貫することが大切で、上手く行く時だけそれにすがるのは駄目だという、生き方に繋がる書き方をされている。

 人は考え方次第で物事の見方が全く変わる。その具体的な状況から抽象的な状況までを解決する方法が述べられていて、様々な感情への対処法でもある。状況や感情というのは無限にあるものなので、生き方に迷った時はこういった本を読んでほしい。

草薙厚子著 『となりの少年少女A:理不尽な殺意の真相』

知能情報学部 4年生 Tさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : となりの少年少女A:理不尽な殺意の真相の深層
著者 : 草薙厚子著
出版社:河出書房新社
出版年:2018年

 今回読んだ『となりの少年少女A 理不尽な殺意の真相』は少年犯罪と発達障害をテーマに、著者が複数の少年犯罪を追跡した書物である。少年であれば更生の余地があるとされ、少年法や心神喪失によって責任能力がないとして減刑されることにとても関心があるため、とても興味深かった。

 『発達障害』という言葉は私たちにとって耳馴染みがあるが、昔はそうではなく、この言葉は安易に使うことができなかったと知った。少年犯罪者が『発達障害』であっても、それを報道することで「発達障害者は犯罪を犯しやすい危ない人々だ」という考えに世間が陥ることを恐れた。彼らの先天的なものには触れずに彼らの環境についての報道が多かったと著者は述べている。

 この本を読んで感じたことは少年犯罪の複雑さだ。また、犯罪の裏には発達障害が隠れていることが多いと分かった。障害を扱う報道はセンシティブなため扱いも難しい。

 有名な少年犯罪として「酒鬼薔薇聖斗事件」がある。この事件の特徴は犯人が自閉症スペクトラム障害だと診断されたこと、また周りからは「普通の子」と呼ばれていたことだ。特に学習能力や態度は周りと変わらない。よって自閉症スペクトラム障害は周りから見て判別が難しい障害であることが分かる。しかし、実際は猫を殺して解剖するなど数多くの犯罪の予兆があった。それも家族は気付いていた。この時点で行動を起こし、処置を受けていれば犯罪は防げたかもしれない。

 また、少年少女の更生措置も一筋縄ではいかない。心神喪失や発達障害が起訴時に認められたものは、無罪であっても更生の為に施設に入る。しかし、それが成功したのかの判断はとても難しい。

 「酒鬼薔薇聖斗事件」の手記『絶歌』には「矯正教育」について4行しか触れられていない。また、記者が彼に直撃取材をした際には、彼は記者に対し暴言を叫び、彼らを追いかけまわしている。矯正教育は意味があったのだろうか。

石井光太著 『43回の殺意:川崎中1男子生徒殺害事件の深層』

知能情報学部 4年生 Tさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : 43回の殺意:川崎中1男子生徒殺害事件の深層
著者 : 石井光太著
出版社:双葉社
出版年:2017年

 2015 年冬、多摩川の河川敷で中学一年生の上村遼太君が少年A.B.C によって殺害、死体遺棄された事件。カッターナイフによる切り傷は43 か所。ほとんどは首に集中していた。死因は出血性ショック。また、二度川を泳ぐことを強要された。

 私は被害者だけでなく、加害者の少年三人も被害者であると思う。その理由は彼らの育った環境にある。

 被害者の過去について述べる。彼は2013年7月に川崎市へと転校した。両親の離婚がきっかけだ。2014 年夏から部活に参加せず、11 月から不良グループと関わり始めた。不良と関わり始めた理由は、家に居場所がなかったことだろう。母親は子供が帰ってこずとも捜索願すら出さない等放任主義も感じられる。彼は不良達と関わることで帰属意識、居場所を見つけたのだろう。

 また、加害者の三人の共通点は「学校内で影が薄く、避けられ、いじめられた経験がある」ことである。彼らは家が貧しく服が汚い、臭いなどの理由から学校で居場所がなかった。家庭内でもDVや育児放棄を受けていた。

 そして、私が感じた司法の不完全さを述べる。事件当時、少年二人は保護観察期間であった。保護司は彼らの観察ができなかったのか。保護司は民間のボランティアであり、また保護司の人数不足が深刻であると知った。

 著書で述べられていた通り、事件が起こった際には彼らを取り巻く環境を注視し改善策を投じるべきだと感じた。

 「川崎中一生徒殺害事件」「事件は犯人ではなく犯人を取り巻く社会を責めるべきだ」と聞くが、まさにその通りだと感じた。事件当時「同世代の男の子が殺されるなんて」と驚いた。一方で「不良とつるむなら素行も悪いだろう。殺されたのは残念だけど仕方がない。」と思った。

 しかし、読了した今では不良を軽視する考え方は浅はかだったと考える。彼らは皆居場所のない孤独な少年であり、社会から見放された被害者に見えたからだ。また、司法の不完全さを痛感した。

アルベルト・サヴォイア著, 石井 ひろみ訳 『Google×スタンフォード NO FLOP! 失敗できない人の失敗しない技術』

知能情報学部 4年生Uさんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名 : Google×スタンフォード NO FLOP! 失敗できない人の失敗しない技術
著者 : アルベルト・サヴォイア著, 石井 ひろみ訳
出版社:サンマーク出版
出版年:2019年

 新事業の多くは失敗する、リアルな体験談から始まり失敗の検証とリスクを低減するための考え方という流れで進む。0→1の考え方の1つとしてデザイン思考、仮説思考に理論や考え方は近い。「ライトイット、プレトタイピング」などの新しい言葉と、具体的な事例を交えて説明しているので実践向けのような内容となっている。モノでもサービスでも仮説を数字に落とし込むまで考え、まずはラフスケッチな状態で市場に仮説を問いかける。そして、数字を修整して精度を上げつつ、改善ループを回しビジネスモデルの完成度、現実感を高める事が重要だ。

 「自動洗濯物畳み器」開発にあたってのニーズ調査のため、試作品を作る前に、人が機械(はりぼて)の中に潜んで実際に畳んでユーザがお金を払うかテストする、という話を聞き、目から鱗だった。出典であるという本書を読むと、プロトタイプの前にやるべき、「プレトタイプ」(pre-とpretendがかかっている)についての手法と実践例が豊富に掲載されている。上の話でも分かるが、新しい商品やサービスのニーズを図るうえでは顧客が身銭を切ることが重要。「買いたいと思いますか」という意見は全くあてにならない、と思う。

 何より、世界にとってやるべきだとしても、自分にとってやるべきか、も重要という最後の部分が刺さった。