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【第3回 甲南大学書評対決】 渋沢栄一 著 『論語と算盤』

10月14日(木)に開催された第3回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

共通教育センター/スポーツ・健康科学教育センター 山崎俊輔 先生からのおすすめ本です。

書名 : 論語と算盤
著者 : 渋沢栄一 著
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター
出版年:2017年

渋沢栄一の名前をご存じの方は多いと思います。 現在、「日本資本主義の父」とも称され る渋沢栄一を主人公に幕末から明治までを 描く NHKの大河ドラマ『青天を衝け』 は、人気番組として2021年(令和3年)から放送されています。 私もこの番組を楽しみに視聴している一人です。

「論語と算盤」は大正5年に出版されたものを現代語訳にしたものです。 渋沢が実業を行う上での規範にし、 世の中で身を処していくよりどころに したのが、論語でした。 渋沢は江戸、明治、大正、昭和 (天保11年2 月13日 〈1840年3月16日〉 – 昭和6年〈1931年11月11日〉) と いう時代を生き、 近代日本を作ってきた一人です。

論語の基本概念とさ れる中庸に基づき、 常識、調和、節度を身に付けることを大切にし、自分の利益のみを求めるのではなく、他者や公益を優先させる姿勢を奨励し ています。 基本的には未来志向の人であり、急激な時代の流れで起こる 様々なことがらの因果関係に着目し、 原因や理由をいつも論理的に捉 え、そこから未来の仮説を立てる。 立てるだけでなく実践した人です。 「理論と実践」を一致させているところに、私自身の人生の指針としたいものを感じます。

今まさにこのコロナ禍の中で 混迷する我々に、何か大切な新しい気付きと将来を明るく夢を持って生き抜く勇気を与えてくれる一冊であると思っています。

【第3回 甲南大学書評対決】 諸橋 轍次 著『中国古典名言事典』

10月14日(木)に開催された第3回 甲南大学書評対決(主催:甲南大学生活協同組合)で紹介された本です。

共通教育センター/スポーツ・健康科学教育センター 山崎俊輔 先生からのおすすめ本です。

書名 : 中国古典名言事典
著者 : 諸橋 轍次 著
出版社: 講談社
出版年:1979年

25年ぐらい前から座右に置いて、1年に1、2度目を通している本 (辞典)です。 「論語読みの論語知らず」という言葉がありますが、ぴったりと私に当てはまると思っています。

名言名句を覚えるというのは難しいですが、 しかし気持ちを込 めて愛読している本です。厖大な中国の古典のなかから4800余の名言を精選、 簡潔にして分かりやすく解説しています。 どの章句にも古典の英知 ・ 達人の知恵・人間のドラマが宿っており、 人生を生きる指針に満ちています。

私にも読む度ごとに必ず何かを教えてくれたり、気づかせてくれたり、また励まされたり、 時には反省を促してくれます。

激動の時代を生きる現代人に、逞しく生き抜く知恵とエネルギーを与えてくれるよ うに思います。

[藤棚ONLINE]知能情報学部・田村祐一先生 推薦『ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち』

図書館報『藤棚ONLINE』
知能情報学部・田村祐一先生 推薦
『 ゲーム・ネットの世界から離れられない子どもたち : 子どもが社会から孤立しないために 』

まず,はじめにお伝えしておくことがあります.本ブログがどのあたりの層に最も読まれているのか十分に把握しておりませんが,学生の方よりも教職員,特に中高生のこどもがいる方に最適な本です.

学生でも保護者からの干渉が強く,ゲーム・インターネットの利用についてことあるごとに色々と言ってくるという状況の方は知識として知っておいてもいいかもしれません.

さて,書評を始めます.はじめにこの本のタイトルからどんな印象をうけましたか?

私が最初にタイトルを見たときには,よくある「ゲームのやりすぎは良くない」「インターネット中毒」という内容の本かと思いました.(多分,そのような内容の本であれば読みませんでした.)

確かに,本書の中にはそのような内容もみられます.一方で,著者(児童精神科の医師です.)は豊富なデータとそのデータを考察し,客観的な見解を述べています.
例えば,巷でよく言われる「ゲーム脳」,「スマホ中毒」がそもそも明確に定義されていないことに驚くかと思います.

内容についてですが,9章構成になっていて,1~3章は若い世代とICTの関わりをSNSやゲームを題材として述べられています.

この部分が特に若い人の親世代が理解しづらいところかもしれません.一方でICTを利用している側からすると,知っていることばかりなので,すでに使っている人からすると,少し退屈な内容です.

4, 5, 6章は「発達障害とゲーム,子供」というような章になりますが,定型発達の人でも発達具合には個人差がある(発達障害と定型発達は地続きなのです)ため,「発達障害の人と自分とは別」と思わないで読むと,自分にも当てはまる部分があり,はっとさせられます.

6, 7章は使いすぎを防ぎ,使い方を身につける方法,さらにはもしも依存症になった場合にどうするのかについて,医師の立場から書かれています.

この部分はいわゆる「ゲームをやめる方法,スマホを使わずに済む方法」といったICT機器との関わりを0にする方法を説明しているのではなく,そもそも依存症とはどのような状況なのかの説明がされています.現代社会は長時間のインターネットの利用を「ネット依存」とすぐに決めつけ過ぎであり,ある時期に依存性があるように見えても,数年でそのような傾向がなくなるという記述もあり,スマホを取り上げるといった行動の危険性についても述べられています.

最後に,この書評で十分に本書の内容を述べらたと思いませんので,特に育児中の皆さん,さらにはZ世代と呼ばれる保護者のもとにいる皆さんが上の世代からはどのように見えるのかを知るために,一度手にとって読んでいただければと思います.

[藤棚ONLINE]経営学部・池田公司先生 推薦『知識創造企業』

図書館報『藤棚ONLINE』
経営学部・池田公司先生 推薦
『 知識創造企業(新装版) 』

 本書は、世界的に著名な経営学者である野中郁次郎(一橋大学名誉教授、日本学士院会員)と竹内弘高(ハーバード大学教授、一橋大学名誉教授)の共著です。原本は英語で書かれており、世界で10カ国語以上に翻訳されています。米国では、米国出版社協会からBest Book of the Year(経営学部門)に選ばれ、米国を代表する経営学者ピーター・ドラッカー(Peter Drucker)からは「現代の名著」という最高の評価を受けています。

 本書の「新装版」は2020年に発刊されていますが、オリジナルの英語版の『知識創造企業-日本企業におけるイノベーションの力学-』(The Knowledge-Creating Company: How Japanese Companies Create Dynamics of Innovation)は、四半世紀も前の1996年に刊行されています。通常、四半世紀の時間が流れると、大抵の研究書は消滅してしまうものです。しかし、20世紀末に出版された本書は、四半世紀が過ぎた21世紀においても多くの学者、経営者、ビジネスパーソンに幅広く読み継がれています。まさに、ピーター・ドラッカーが述べたように、現代の名著といえるでしょう。

 本書は、「①新しい組織的知識創造理論の構築、②日本企業が連続的イノベーションに成功し続けてきたのはなぜかについての新たな説明の提示、③日本と西洋の経営手法を統合する普遍的な経営モデルの開発」(野中・竹内[2020]、385頁)を目的としています。本書の焦点は、「知識の創造に置いてあり、知識そのものには置いていない。われわれの視点から見れば、イノベーションを創造するものは知識創造であって、知識そのものではない。言い換えれば、新しい製品、サービス、システムという形でのあらたな知識が組織内部で創られるプロセスこそ、イノベーション活動を支える基盤」(野中・竹内[2020]、407頁)です。

 日本から世界に向けて発信された本書は、ハーバード大学経営大学院(Harvard Business School)の世界的に著名な経営学者であるマイケル・ポーター(Mikael Porter)教授によって「経営理論の真のフロンティア」と高く評価されています。

 本書は、400頁を超える労作ですが、甲南大学の学生の皆さんにも、是非チャレンジして頂きたい経営学の優れた文献です。

[藤棚ONLINE]法学部・早瀬勝明先生 推薦『独学大全』

図書館報『藤棚ONLINE』
法学部・早瀬勝明先生 推薦
『 独学大全 』

 「この本はあまり賢くなく、すぐに飽きるしあきらめてしまう人のために書かれた」。「読書猿」というのは、もちろんペンネーム。著者は普通の勤め人で、朝夕の通勤時間と土日を利用して独学に励んでいるのだそうです。「幼い頃から読書が大の苦手で、本を読んでも集中が切れるまでに20分かからず、1冊を読み終えるのに5年くらいかかっていた」。そんな著者が、学ぶための動機付けや計画の立て方、読書の仕方やノートの取り方など、独学に必要なテクニックを750ページ超に渡って書いたのが、本書です。

 750ページと聞いて尻込みする人もいるかもしれません。しかし、そもそも本というものは最初から最後まで読む必要はないと、著者は言います。読むのは一部だけでも良いのです。この点は、印南敦史『遅読家のための読書術』にも書かれています。読書=本に書いてあることすべてを頭に入れること、と捉える必要はありません。

 大学の勉強がつまらないと感じる人は、とりあえず、大学の勉強は「社会人になる前に、やりたくないことをやる訓練」だと割り切っても良いと、私は思います。興味のあることを学んでいくうちに、以前は興味がなかったこととのつながりに気づくことがあります。 図書館の本棚を見て、なんとなく気になる本を手に取り、めくってみる。まずはそこから始めれば良いと思います。本書を(一部でも)読めば、そのような行動のきっかけが生まれるかもしれません。

[藤棚ONLINE]経済学部・足立泰美先生 推薦『〔エッセンシャル版〕行動経済学』

図書館報『藤棚ONLINE』
経済学部・足立泰美先生 推薦
『〔エッセンシャル版〕行動経済学』

 本書は、人間の無意識の行動に注目した1冊です。ノーベル経済学賞を受賞したハーバード・サイモンは、限定合理性という考え方を提唱しました。人の意思決定には様々な制約がかかるなかで、「必ずしも人は合理的ではない」 とし、合理性に限界があることを認めています。例えば、私たちの記憶力であれ、数的処理能力であれ、限界があります。他の選択肢を十分に検討できずに、私たちは限られた範囲で決断をすることになります。我々が、知らず知らずのうちに行う選択。この人間行動の「癖」を利用したのが行動経済学です。例えば、人間には、利益よりも損失に反応し、将来よりも現在の問題を過大視します。これを、現在バイアスといいます。一方で、人は同調性バイアスをもち、多くの人が行動するのと同じように自分も行動する傾向があります。

  このような人間の癖を新型コロナウィルスへの対応に、当て嵌めたらどうなるでしょうか。感染拡大を抑えるために、わが国では、自粛要請による感染拡大防止を図ってきました。しかしながら感染拡大を抑えきれず、数回にわたって緊急事態宣言が発令され、特措法等にも強制力をもたせる改正などが行われてきました。もはや自粛要請だけで感染状況をコントロールすることは困難なのでしょうか。強権発動や経済的なインセンティブに頼らずに、人々を望ましい行動変容に導く手掛かり。それを、行動経済学の知見から本書は紹介しています。新型コロナウィルス感染症によって新しい生活様式の模索が進むなかで、今後の社会をどう望ましいものに変えていくのか。本書を手に取り、未知ある将来に思索を巡らせながら、行動経済学の視点からの、社会のあり方を問い直すのはいかがでしょうか。