月別アーカイブ: 2019年4月

初春の令月、万葉集に触れてみませんか?

新元号「令和」が発表され、万葉集が話題です。この機会に万葉集に触れてみませんか?
現在、図書館エントランスにて『万葉集略解』(安政3(1856)年、甲南大学図書館所蔵)の初春令月~のくだりのページや解説をパネル展示していますので、ぜひ一度見てみてください!

また、入館ゲート入ってすぐの特設コーナー『「令和元年」~万葉集を読もう~』で、関連図書を展示していますので、ぜひ借りて読んでみてくださいね!

チャールズ・ディケンズ著 村岡花子訳『クリスマス・キャロル』

 文学部 3年生 匿名希望さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名: クリスマス・キャロル
著者: チャールズ・ディケンズ 村岡花子訳
出版社:新潮社
出版年:2011年

皆さん、『クリスマス・キャロル』を読んだことがありますか?おそらく、読んだことのある方は少ないのではないかと思います。しかし、読んでいないという方、特に文学部の方は危機感をもってほしいと思います。なぜなら、この本は人生の中で読んでいて当然といえる程、子供の頃持っていた大切な思いが込められている本だからです。

物語は、ケチで意地悪なスクイージ老人が、クリスマスの夜に亡き仕事仲間・マーレイの幽霊と対面するところから始まります。マーレイの亡霊は、翌日から第一・第二・第三の幽霊がおまえの前に現れる、と話し姿を消します。すると、その言葉通りに幽霊が次々にスクイージの前にやってきます。そして、幽霊たちがスクイージに見せたものは、過去・現在・未来における彼の悲しい過去、見たくない現実、そして希望のない未来と現実でした。それらを見た後、スクイージはどう行動するのか?注目してもらいたいと思います。

この書評を読んでくださっている方の多くは、学生の方が多いのではないかと思います。学生というのはもうじき社会人となって立派に自立していく時であります。それはつまり、子どもの頃の心と記憶を忘れ、大人になっていくということでもあります。そんな時だからこそ、『クリスマス・キャロル』を読んでほしいと思います。もう、今の時点ですでに本作を読んで感動することやワクワクすることは難しいでしょう。しかし、今読んでおくことで幼かったころの自分、そしてクリスマスが近づくにつれワクワクしていたころの自分を思い出せるはずです。そのため、ぜひ一度、本作を読んでみてくれればと思います。きっと子供の頃の思い出に浸れるはずです。

十文字青著『灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ』

 経済学部 3年生 匿名希望さんからのおすすめ本です。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

書名: 灰と幻想のグリムガル level.1 ささやき、詠唱、祈り、目覚めよ
著者: 十文字青
出版社:オーバーラップ
出版年:2013年

主人公のハルヒロは、目が覚めると見知らぬ世界にいた。辺りは真っ暗で何も見えず、ここはどこなのか、なぜこんなところにいるのか分からず、記憶もない状況で物語はスタートします。ハルヒロと同じ場所に同じタイミングで11名の少年少女がいて、彼らもまた記憶喪失であり、かろうじて覚えているのは、自分の名前のみ。初対面の彼らは謎の案内人にこの世界は「グリムガル」であると告げられ、義勇兵団として、この国で戦うことを命じられる。「グリムガル」の世界のことは分からないが、とりあえず生きていくために、「グリムガル」のシステムに従うしかありません。義勇兵として戦い、世界に巣くうモンスターを討伐し、兵団の役に立つことを示されます。ただ、戦闘経験のない主人公たちはすぐにモンスターを倒せるわけでもなく、弱い装備とスキルをもとに、四苦八苦する毎日を送るが、少しずつ前に進もうとします。この物語の最大の見どころは、「生きることは、簡単じゃない」ということです。現実世界で生きてきたはずなのに、いきなりファンタジーの世界が現実となり、右も左もわからないけど生きるために何かしなきゃならない。食事にも宿屋に泊まるにもお金が必要で、それらのお金はモンスターを殺さないと手に入らない。生きるために戦って、時にはモンスターから返り討ちにあって死ぬかもしれない。けれど、死を覚悟して戦わなければ、毎日を生きることすら敵わない。生きるために、理不尽に立ち向かっていくことが本書の特徴であると思います。

この作品では普段体験することのできない心情を味わうことのできるとても素晴らしいものだと思います。王道のファンタジー作品としてはもちろん、主人公たちの心理描写やモンスター側の生きることへの執念も描かれていて、他のファンタジー作品では味わえない作品だと私は思います。この作品を見たら一度手に取ってみるのはいかがでしょうか。