月別アーカイブ: 2022年5月

マネジメント創造学部 PALMER Roger W先生へのインタビュー

マネジメント創造学部 3年生 宮脇 香子さんが、マネジメント創造学部 PALMER Roger W先生にインタビューを行いました。(KONAN ライブラリ サーティフィケイト)

Q.最近読んだ本のタイトルを教えてください。

A.タイトルは『A History of Knowledge』で、世界の構造について理解しようという本です。この本で私は、「過去の出来事が今の世界をどのように構築したのか」について理解を深めました。例えば、ニュートンのような人々による科学の発展は産業革命の生起を手助けし、ヨーロッパを強くしました。そして、ヨーロッパ諸国はアジアやアフリカを支配するためたくさん戦争し、新たな経済構造や環境問題を生み出しました。つまり、進歩した科学技術は人口や汚染の増加にも繋がるということです。今私たちが抱えている多くの問題は過去の科学の発展や様々な出来事からもたらされています。少し難しいかもしれませんが興味深い本です。他にもアガサ・クリスティーのミステリー小説も読みました。『A History of Knowledge』より簡単な本です(笑)。

 

Q.本を読むとき、よく行く場所はどこですか。また、いつ読みますか。

A.寝る前に読むのが好きです。1つ目の質問で触れた2冊に加え、これまで仕事に関する様々な本を読んできました。自身の専門分野に関するレポートを書くのに、様々な専門書を読む必要がありました。このような仕事に関する本は昼間に読みますが、それ以外の時はカフェや電車で読みます。まあ、でも基本的には寝る前に読むことが多いですね。

 

Q.本の栞はどのようなものを使っていますか。

A.本に折り目をつけるか、何も挟まない場合が多いですね。本の内容やどこまで読んだのか思い出せるので、栞は必要ありません。栞はたくさん持っていますけどね(笑)。また、参考書等を読むときは本に書き込むか、メモを取ります。書き込みを嫌う人はいますが、私は好きです。図書館の本に書き込むのはいけないことですが、自分で所持している本に関しては大丈夫なので。あと、生徒たちが使っている参考書でとてもきれいな状態のものを見かけることがよくありますが、読んでないのではと心配になります(笑)。

「CUBE English」などの講義では、生徒に本を読むときはメモを取るように、と勧めています。本の内容が理解できないとき、メモを取ることで理解を深めることができると思うのでお勧めです。

 

Q.お気に入りの作家はだれですか。

A.どのジャンルにおけるお気に入りですか?これまで様々な種類の本を読んできたので、それぞれのジャンルにお気に入りの作家がいます。映画を例に出すと、アクション映画のお気に入りの監督はリドリー・スコットだし、ドラマ映画ではフランシス・フォード・コッポラがお気に入りだし。

まあ、とにかくミステリーのジャンルでは、1つ目の質問で挙げたアガサ・クリスティーやコナン・ドイルの本を読みます。サイエンスフィクションではフィリップ・K・ディックが好きです。

 

Q.本を選ぶ時のポイントを教えてください。

A.ブックオフのような安く本を買える書店では、その時パッと興味を持った本を選んだりします。仕事用の本を選ぶときは、研究に関連する内容の本を選びます。選ぶ本のテーマを決めて書店に行くこともあるし、その時の気分で選ぶこともあります。

 

Q.将来的に紙書籍はなくなると思いますか。

A.  いいえ。私たちの世代の人々は紙書籍を読んで育ちました。私たちにとって、幼少期から「本を読む事=教育」だったので、本を読む習慣があるし、本を手に持って読むことが好きです。なので、私たちの世代にとって紙書籍を読むことは大事なことなのです。でも、もし今の時代に育っていて電子書籍を幼い頃から利用していれば、電子書籍の方が良いと思えるでしょうね。例えば、あなたはレコードを持っていますか?たとえあなたは持っていなくても、レコードを収集している人がいます。でも、今の主流はmp3ファイルやDVDなので、レコードはとてもマイナーな趣味です。つまり、レコードのように紙書籍もマイナーな物へと変化してしまうかもしれない、ということです。実際、アメリカ版Amazonでは電子書籍の購入量が紙書籍の購入量を上回ったそうです。

また、最近はSNSの普及により人々の視覚判断能力は上昇し、読む力は低下しつつあります。さらに、速読の能力が低下している一方で、視覚的な速読の能力は向上しています。なので、それに適応した社会になっていくんだろうなと思います。私が学生だった時は、図書館にある本を外部に持ちだせなかったので、図書館内で1日かけて読むか、速読でメモを取るかの2択でした。私は後者の方法で本を読んでいたので、速読の能力を鍛えることができました。

 

Q.本は図書館で借りますか。書店で購入しますか。

A.  うーん。書店で買うかな。でも図書館や書店に行くと本が多すぎるので目が回ってしまいます(笑)。なので、一つの本を手に取り、どこかで座って静かに読むほうが好きです。私の読書習慣をいうと、夏休みのように時間があるときは文章量の多い分厚い本を読みます。時間があるからゆっくり読めるし、研究外の本を読む余裕もできます。今は忙しいからできませんが(笑)。

 

Q.本はどのくらいの頻度で読みますか。

A.  毎日です。あなたが漫画やゲームに時間を使うように私は読書に時間を費やします。読書は私にとって息抜きやリラックスできるものです。つまり、みんながスマホを使うように、私は本を読むのです。趣味というより、読む必要があるという感じです。買い物、食事のように生きる上で必要なことなのです。hobbyとpastimeの違いですね。この違い分かりますか?

hobbyは、楽器・絵画・写真などの一定の知識や技量を必要とする創造的な趣味です。 一方で、pastimeは、散歩、ショッピング、昼寝などのリラックスするための趣味を指します。なので、後者の方が私には当てはまりますね。

 

Q.本を読む前、後にレビューを読みますか。

A.本当にたまに読みます。読む確率は1%以下ですね(笑)。何か特定のテーマについて良い本を探している場合は検索したりするけど、レビューはめったに参考にしません。旅行で宿泊するホテルについて調べる時は参考にするけど、本において自分の好みを知っているのは自分なので、レビューは役に立ちません。

 

Q.学生にお勧めの本はありますか。

A.うーん。人によって勧める本は変わってきますからね(笑)。

 

Q.たしかに(笑)では先生の考え方を変えた本を教えてください。

A.3冊あります。この3冊を読んだほとんどの人は考え方が変わったと言います。

『The Little Prince(星の王子さま)』『The Alchemist』『Jonathan Livingston Seagull』の3冊です。『Jonathan Livingston Seagull』は、人は自由に羽ばたけるということを教えてくれます。そして、 『The Alchemist』はお金ではなく自分の夢を追いかける大切さを教えてくれます。大学4年生の1番の心配は就職活動だと思います。もちろんお金を稼ぐことは大事ですが、JICAで働いて素晴らしい経験をするなど、お金以外にも選択肢はあります。

どれがいい選択肢なのかは個々で変わってきますが、多くの生徒は同じような道を選んでしまいます。なぜならみんながそこに向かっていくからです。私が大学4年生の時、指導主任担当の先生は、私に就職活動の計画がないことに怒りました。そこで私は先生に「これは私の人生だ。一人にしてくれ。あなたのアドバイスはいらない。」と言いました。それから私は大学卒業後、オーストラリアへワーキングホリデーに行きました。当時、私はお金ではなく自身の夢に従うということを決意していました。これが良い決断か悪い決断なのかは分かりませんが、これが私の選択でした。それから、多くの人に出会い、多くの本を読み、先ほど紹介した3冊にも出会うことができました。

 

感想 :今回のインタビューを通して、先生の本に対する考え方だけでなく、これまでの経験や本との出会いを知ることができてとても楽しかったです。若年層の読書離れについてのお話では、すごく共感できる部分があり、有意義な時間になりました。今回はお忙しい中、貴重なお時間を頂きましてありがとうございました。

(インタビュアー:マネジメント創造学部 3年生 宮脇 香子

[藤棚ONLINE]文学部・福井義一先生 推薦『愛を科学で測った男』

図書館報『藤棚ONLINE』
文学部・福井義一先生 推薦
『愛を科学で測った男 : 異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実』

 大学で心理学を学ぶと,必ず目にするのがハーロウによる残酷な実験の写真です。そう,赤ちゃんザルが,ミルクは出るが剥き出しの針金で作成された代理母人形ではなく,ミルクは出ないけど布を巻いた代理母人形にしがみついている,あの写真です。

 本書は,あの実験を行ったハーロウの人生を丹念に追った好著です。破天荒な天才心理学者であるハーロウが,いかにして「愛」を解明していったのかを,当時の時代背景や彼を取り巻く人物からの綿密な取材を経て,活き活きと描き出しています。

 今でこそ,人間(もちろん,動物も!)の成長には「愛」が必要であることを疑う人はいないでしょう。しかしながら,当時は親子を隔てる子育てが推奨されていました。こうした残酷な子育てを駆逐するための実証的基盤を初めて提供したのが,隔離ザルを研究したハーロウだと言えるでしょう。本書からは科学と現実の複雑な相互作用を学ぶこともできます。

 同じ心理学者として感銘を受けたのが,実験に使用したサルを治療したことです。通常,実験動物は実験が終わると殺処分されます。本書の著者は,本書の執筆前に「なぜサルを殺すのか?:動物実験とアニマルライト」(白揚社)を刊行し,ハーロウを攻撃していました。しかしながら,彼は隔離されて精神に異常を来したサルの治療も研究していたのです。これにより早期の養育に起因する困難からの回復可能性が示唆されたのです。

 心理学に関心を持つ学生だけでなく,「愛」に関心を持つ学生,つまり全ての学生にお勧めしたい一冊です。

水野 敬也 著 『夢をかなえるゾウ 』

経済学部   1年生 村井 舜さんからのおすすめ本です。

書名:夢をかなえるゾウ
著者 :水野 敬也 著
出版社:飛鳥新社
出版年:2007年

 人間の身体にゾウの頭、四本の腕を持ったインドの神様“ガネーシャ”をご存じだろうか。
どうやらガネーシャが言うにはモーツァルトもピカソもビル・ゲイツをも育てて有名にしたのは彼らしい…

 子供の頃から何度も先生や、その他の大人の方から聞かれた言葉に「将来の夢は?」というものがある。そのように聞かれれば多くの人はプロ野球選手に芸能人、医者や経営者など世間的に見て成功している人を答えることだろう。では彼らのように夢を叶え、成功するためにはどうすればいいのだろうか。その方法をなぜか関西弁を話すインドのゾウの神様“ガネーシャ”は(あんみつと引き換えに)教えてくれる。

 自己啓発本といえば筆者の成功談を堅苦しく書き綴ったものが多く、少し読みにくいように感じることが多いが、この本はそうではない。著名人のほとんどはワシが育てたと自称するインドの神様ガネーシャと自分を変えたいと話す主人公との会話形式でこの本のストーリーは進んでいき、その中には日本人にもよく知られている別の神様も登場する。ガネーシャからは簡単な課題が与えられ、その課題を主人公は一つひとつこなしていくことでだんだんと成長していく。会話形式で進んでいくのでとても読みやすく、本を読みながら自らできることは実践してみることで主人公と一緒に自分自身も成長していき、ときにはガネーシャにツッコミをいれたくもなるとても読みやすくおもしろい本である。

 今までとは違う自分になりたい、変わりたいと思ってはいるが行動を起こせていない人、なにか大きなことをしてでも自分を変えなければいけないと思っていないだろうか、そんなことはない日常の些細なことを意識し行動するだけで自分を変えられる、自分を成長させることができる、そう気づかせてくれる一冊になっている。

 私は大学生の間にこの本に出会い、読むことができてよかったと思っています。興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
 

パニコス・パナイー著 栢木 清吾訳 『フィッシュ・アンド・チップスの歴史 : 英国の食と移民 』

文学部  3年生  Iさんからのおすすめ本です。

書名 :フィッシュ・アンド・チップスの歴史 : 英国の食と移民
著者 : パニコス・パナイー著  栢木 清吾訳
出版社:創元社
出版年:2020年

 イギリスの食べ物と言えば、皆さんは何を思い浮かべるだろうか……

 本書はイギリスの代名詞であるフィッシュ&チップスの歴史を巡る物語である。フィッシュ&チップスの誕生は19c半ばと言われ、その誕生から200年も経っていない。本書ではそのフィッシュ&チップスがどのように誕生したのか、そしてどのようにイギリスや世界で広がっていったのかについて書かれている。

 特に興味を惹かれるのは、フィッシュ&チップスのフライドフィッシュはユダヤ人文化から、(南米原産のジャガイモが材料の)チップスはフランスからもたらされたと言われていることだ。イギリスの調理技術や食材を用いていないフィッシュ&チップスが、イギリスの象徴となっていく過程では、グローバル化における自国文化のあり方が問われていると感じる。

 グローバル化が食に与える影響は、例えば日本のスシで考えることも出来る。アメリカでSushiと言えば、海苔が内側で、米が外側になった巻き寿司に、アボカドやサーモン、カニカマなどを組み合わせたカリフォルニア・ロールなどが有名である。アメリカで人気のSushiは、日本人が思い浮かべる握り寿司のようなものとは、かなり異なっている。しかし日本からもたらされたスシは、アメリカでSushiという一つの新たな文化として進化を続けている。

 このように、イギリスで発展したフィッシュ&チップスも、移民や外国の技術がなければ誕生しなかったのだが、これは食に限った話ではない。グローバル化が進む世界では、様々なバックグラウンドを持つ人々が入り混じり、新たな文化を生み出している。自国の文化を保つことも大切だが、他文化を尊重して取り入れ、新たな文化を生み出すことも、今の世界では大切なことだと感じる。本書では、フィッシュ&チップスというイギリスの食べ物を通して、移民や外国文化との融合で生まれる新たな文化の捉え方を学ぶことが出来る。グローバル化の現代、世界が手を取り合うべき今だからこそ、読んで見て欲しい一冊である。

朝井 リョウ著 『学生時代にやらなくてもいい20のこと 』

文学部  3年生  Sさんからのおすすめ本です。

書名 : 学生時代にやらなくてもいい20のこと 
著者 : 朝井 リョウ著
出版社:文藝春秋
出版年:2012年

 この本は『桐島、部活やめるってよ』で有名な朝井リョウさんのエッセイである。大学で100キロ歩いたり、旅行に失敗したりする話をはじめ、作者の様々な大学生活が20に分けて語られている。

 読みどころは、つい笑ってしまう作者の体験である。私は、甲南大学のある授業で様々な感情の中で「おもしろい」を表現することは難しいと学んだ。嬉しいや悲しい感情はある程度共通するものの、「おもしろい」はそれぞれ人によって笑いのツボが違うからである。しかし、この本は個人的には笑う箇所が多かった。

 なぜ「おもしろい」を上手く表現していたか考えると、予想を裏切る展開が多いからだと思う。世間の人が一般に想像する展開を裏切るほどギャップが大きくなり笑いを生みだすと別の本に書かれていたことを思い出した。例えば、作者と美容師の会話である。自慢のシャンプーの効能を当ててほしいという美容師に対し、作者はしぶしぶ髪がつやつやになるとありきたりな回答をするが、美容師からは意外な答えが返ってくる。このように、作者のエッセイでは大抵の人が想像する展開を見事に裏切る箇所が散りばめられていたのだ。

 最近では、大学時代には○○をすべき、○○はやってよかったなど、読むことに意味を見出す本やネット記事が多くある。しかし、目的を持たずに一人の学生時代の日々をつづった本も固まりきった頭をほぐしてくれるのではないだろうか。タイトルには「学生時代にやらなくていい」とあったように、付箋を貼る箇所は1つも無かった。それでも意味や目的を考えず、自分の興味や気持ちを優先していた作者の体験を読むと無駄なことも大切だなと感じられた。北海道へ思いつきで旅行したり、東京から京都に自転車で移動したりする体験を読むとコロナ禍で遠出が厳しい中一緒に旅をし、思い出を分けてもらえた気分になった。

 エッセイは20の話に分かれており、短編なのですぐ読める。20の中から1つでもお気に入りの話を見つけて隙間時間や疲れた時に読んでもらいたい。

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

林 杏樹(はやし あんじゅ)さん  理工学部生物学科 3年次生

2022年3月31日に『多読チャレンジ』50冊を達成されました。
1年次に引き続き、今回で2度目の達成となります!

 様々なジャンルの本の中から、自分に合ったものを見つけ、主にファンタジーの物語や“Magic tree house”(レベル3)シリーズを中心に読まれたそうです。
 実験で専門用語が多い英語の論文を読む機会があり、前より文章をスラっと読めるようになった気がしますとお話しされていました。

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q.『多読チャレンジ』達成の感想を教えてください。または、『多読チャレンジ』達成の為に工夫した事を教えてください。

A.前回は25冊に挑戦したので、今回は50冊を達成するということが目標でした。
私にとっては数が多いと感じたので、シリーズ物を読むようにしてどんどん読み進めました。冒険したり動物が出てくる話が好きなので、そのような本を積極的に読んでやる気につなげました。

Q.『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

A.文法などを深く考えることなく、文章が入ってくるようになったと感じています。授業などで英語を読む機会があっても、読むスピードは上がっていると感じました。

Q.チャレンジする図書はどのように選びましたか?

A.タイトルや表紙の絵を見て、内容を想像して選ぶことが多かったです。知っているタイトルがあると読んでみることが多く、絵がかわいらしいものも選んでいました。展示棚にあったBook Reviewは目にすることが多かったので一部参考にしていました。

☆おすすめの本として写真の“The cobble street cousins”(レベル2)のシリーズを紹介してくれました。絵がかわいらしくてお気に入りだそうです。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!