月別アーカイブ: 2022年5月

[藤棚ONLINE]文学部・福井義一先生 推薦『愛を科学で測った男』

図書館報『藤棚ONLINE』
文学部・福井義一先生 推薦
『愛を科学で測った男 : 異端の心理学者ハリー・ハーロウとサル実験の真実』

 大学で心理学を学ぶと,必ず目にするのがハーロウによる残酷な実験の写真です。そう,赤ちゃんザルが,ミルクは出るが剥き出しの針金で作成された代理母人形ではなく,ミルクは出ないけど布を巻いた代理母人形にしがみついている,あの写真です。

 本書は,あの実験を行ったハーロウの人生を丹念に追った好著です。破天荒な天才心理学者であるハーロウが,いかにして「愛」を解明していったのかを,当時の時代背景や彼を取り巻く人物からの綿密な取材を経て,活き活きと描き出しています。

 今でこそ,人間(もちろん,動物も!)の成長には「愛」が必要であることを疑う人はいないでしょう。しかしながら,当時は親子を隔てる子育てが推奨されていました。こうした残酷な子育てを駆逐するための実証的基盤を初めて提供したのが,隔離ザルを研究したハーロウだと言えるでしょう。本書からは科学と現実の複雑な相互作用を学ぶこともできます。

 同じ心理学者として感銘を受けたのが,実験に使用したサルを治療したことです。通常,実験動物は実験が終わると殺処分されます。本書の著者は,本書の執筆前に「なぜサルを殺すのか?:動物実験とアニマルライト」(白揚社)を刊行し,ハーロウを攻撃していました。しかしながら,彼は隔離されて精神に異常を来したサルの治療も研究していたのです。これにより早期の養育に起因する困難からの回復可能性が示唆されたのです。

 心理学に関心を持つ学生だけでなく,「愛」に関心を持つ学生,つまり全ての学生にお勧めしたい一冊です。

水野 敬也 著 『夢をかなえるゾウ 』

経済学部   1年生 村井 舜さんからのおすすめ本です。

書名:夢をかなえるゾウ
著者 :水野 敬也 著
出版社:飛鳥新社
出版年:2007年

 人間の身体にゾウの頭、四本の腕を持ったインドの神様“ガネーシャ”をご存じだろうか。
どうやらガネーシャが言うにはモーツァルトもピカソもビル・ゲイツをも育てて有名にしたのは彼らしい…

 子供の頃から何度も先生や、その他の大人の方から聞かれた言葉に「将来の夢は?」というものがある。そのように聞かれれば多くの人はプロ野球選手に芸能人、医者や経営者など世間的に見て成功している人を答えることだろう。では彼らのように夢を叶え、成功するためにはどうすればいいのだろうか。その方法をなぜか関西弁を話すインドのゾウの神様“ガネーシャ”は(あんみつと引き換えに)教えてくれる。

 自己啓発本といえば筆者の成功談を堅苦しく書き綴ったものが多く、少し読みにくいように感じることが多いが、この本はそうではない。著名人のほとんどはワシが育てたと自称するインドの神様ガネーシャと自分を変えたいと話す主人公との会話形式でこの本のストーリーは進んでいき、その中には日本人にもよく知られている別の神様も登場する。ガネーシャからは簡単な課題が与えられ、その課題を主人公は一つひとつこなしていくことでだんだんと成長していく。会話形式で進んでいくのでとても読みやすく、本を読みながら自らできることは実践してみることで主人公と一緒に自分自身も成長していき、ときにはガネーシャにツッコミをいれたくもなるとても読みやすくおもしろい本である。

 今までとは違う自分になりたい、変わりたいと思ってはいるが行動を起こせていない人、なにか大きなことをしてでも自分を変えなければいけないと思っていないだろうか、そんなことはない日常の些細なことを意識し行動するだけで自分を変えられる、自分を成長させることができる、そう気づかせてくれる一冊になっている。

 私は大学生の間にこの本に出会い、読むことができてよかったと思っています。興味を持たれた方はぜひ読んでみてください。
 

パニコス・パナイー著 栢木 清吾訳 『フィッシュ・アンド・チップスの歴史 : 英国の食と移民 』

文学部  3年生  Iさんからのおすすめ本です。

書名 :フィッシュ・アンド・チップスの歴史 : 英国の食と移民
著者 : パニコス・パナイー著  栢木 清吾訳
出版社:創元社
出版年:2020年

 イギリスの食べ物と言えば、皆さんは何を思い浮かべるだろうか……

 本書はイギリスの代名詞であるフィッシュ&チップスの歴史を巡る物語である。フィッシュ&チップスの誕生は19c半ばと言われ、その誕生から200年も経っていない。本書ではそのフィッシュ&チップスがどのように誕生したのか、そしてどのようにイギリスや世界で広がっていったのかについて書かれている。

 特に興味を惹かれるのは、フィッシュ&チップスのフライドフィッシュはユダヤ人文化から、(南米原産のジャガイモが材料の)チップスはフランスからもたらされたと言われていることだ。イギリスの調理技術や食材を用いていないフィッシュ&チップスが、イギリスの象徴となっていく過程では、グローバル化における自国文化のあり方が問われていると感じる。

 グローバル化が食に与える影響は、例えば日本のスシで考えることも出来る。アメリカでSushiと言えば、海苔が内側で、米が外側になった巻き寿司に、アボカドやサーモン、カニカマなどを組み合わせたカリフォルニア・ロールなどが有名である。アメリカで人気のSushiは、日本人が思い浮かべる握り寿司のようなものとは、かなり異なっている。しかし日本からもたらされたスシは、アメリカでSushiという一つの新たな文化として進化を続けている。

 このように、イギリスで発展したフィッシュ&チップスも、移民や外国の技術がなければ誕生しなかったのだが、これは食に限った話ではない。グローバル化が進む世界では、様々なバックグラウンドを持つ人々が入り混じり、新たな文化を生み出している。自国の文化を保つことも大切だが、他文化を尊重して取り入れ、新たな文化を生み出すことも、今の世界では大切なことだと感じる。本書では、フィッシュ&チップスというイギリスの食べ物を通して、移民や外国文化との融合で生まれる新たな文化の捉え方を学ぶことが出来る。グローバル化の現代、世界が手を取り合うべき今だからこそ、読んで見て欲しい一冊である。

朝井 リョウ著 『学生時代にやらなくてもいい20のこと 』

文学部  3年生  Sさんからのおすすめ本です。

書名 : 学生時代にやらなくてもいい20のこと 
著者 : 朝井 リョウ著
出版社:文藝春秋
出版年:2012年

 この本は『桐島、部活やめるってよ』で有名な朝井リョウさんのエッセイである。大学で100キロ歩いたり、旅行に失敗したりする話をはじめ、作者の様々な大学生活が20に分けて語られている。

 読みどころは、つい笑ってしまう作者の体験である。私は、甲南大学のある授業で様々な感情の中で「おもしろい」を表現することは難しいと学んだ。嬉しいや悲しい感情はある程度共通するものの、「おもしろい」はそれぞれ人によって笑いのツボが違うからである。しかし、この本は個人的には笑う箇所が多かった。

 なぜ「おもしろい」を上手く表現していたか考えると、予想を裏切る展開が多いからだと思う。世間の人が一般に想像する展開を裏切るほどギャップが大きくなり笑いを生みだすと別の本に書かれていたことを思い出した。例えば、作者と美容師の会話である。自慢のシャンプーの効能を当ててほしいという美容師に対し、作者はしぶしぶ髪がつやつやになるとありきたりな回答をするが、美容師からは意外な答えが返ってくる。このように、作者のエッセイでは大抵の人が想像する展開を見事に裏切る箇所が散りばめられていたのだ。

 最近では、大学時代には○○をすべき、○○はやってよかったなど、読むことに意味を見出す本やネット記事が多くある。しかし、目的を持たずに一人の学生時代の日々をつづった本も固まりきった頭をほぐしてくれるのではないだろうか。タイトルには「学生時代にやらなくていい」とあったように、付箋を貼る箇所は1つも無かった。それでも意味や目的を考えず、自分の興味や気持ちを優先していた作者の体験を読むと無駄なことも大切だなと感じられた。北海道へ思いつきで旅行したり、東京から京都に自転車で移動したりする体験を読むとコロナ禍で遠出が厳しい中一緒に旅をし、思い出を分けてもらえた気分になった。

 エッセイは20の話に分かれており、短編なのですぐ読める。20の中から1つでもお気に入りの話を見つけて隙間時間や疲れた時に読んでもらいたい。

50冊多読チャレンジ 達成者インタビュー

林 杏樹(はやし あんじゅ)さん  理工学部生物学科 3年次生

2022年3月31日に『多読チャレンジ』50冊を達成されました。
1年次に引き続き、今回で2度目の達成となります!

 様々なジャンルの本の中から、自分に合ったものを見つけ、主にファンタジーの物語や“Magic tree house”(レベル3)シリーズを中心に読まれたそうです。
 実験で専門用語が多い英語の論文を読む機会があり、前より文章をスラっと読めるようになった気がしますとお話しされていました。

 以下は、ご本人のアンケートによるものです。


Q.『多読チャレンジ』達成の感想を教えてください。または、『多読チャレンジ』達成の為に工夫した事を教えてください。

A.前回は25冊に挑戦したので、今回は50冊を達成するということが目標でした。
私にとっては数が多いと感じたので、シリーズ物を読むようにしてどんどん読み進めました。冒険したり動物が出てくる話が好きなので、そのような本を積極的に読んでやる気につなげました。

Q.『多読チャレンジ』を終えて実感した効果を教えてください。

A.文法などを深く考えることなく、文章が入ってくるようになったと感じています。授業などで英語を読む機会があっても、読むスピードは上がっていると感じました。

Q.チャレンジする図書はどのように選びましたか?

A.タイトルや表紙の絵を見て、内容を想像して選ぶことが多かったです。知っているタイトルがあると読んでみることが多く、絵がかわいらしいものも選んでいました。展示棚にあったBook Reviewは目にすることが多かったので一部参考にしていました。

☆おすすめの本として写真の“The cobble street cousins”(レベル2)のシリーズを紹介してくれました。絵がかわいらしくてお気に入りだそうです。


 甲南大学図書館では、多読チャレンジャーを随時募集中です。
 英語多読学習に興味のある方は図書館1階カウンターでエントリーしてみてください!
 達成すればKONANライブラリサーティフィケイトの2級以上の要件にも適用されます!